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10 YEARS OF ALL TOMORROW'S PARTIES The 3rd day
[2010-05-13 01:01]

@ Butlins in Minehead 13 Dec 2009

不甲斐ない通信状態で引き続き申し訳ありません。ですが、PENTAXの一眼デジカメも入手しましたので、今後ますます気張ってレポートすべく、溜め込んでしまいました2009年~2010年初めに記録したUKでのライブ状況をここで一気にお届けを完了させます。度々滞ってしまい申し訳ありませんでした!


では、ATP最終日をお伝えします。と言うのも、この日は3日目と言うこともあり、我が一同は前日の夜更かしもあり、ゆったりと昼過ぎから出動すると言った具合でスタート。最初はSHELLACの二度目のステージを観るべくCENTRE STAGEから…と予定していたのですが、上記の理由によって最後の2曲程度を遠目で観ることしか出来ませんでした。不覚!

この日は終始、我々は宿と会場エリアを行き来しており、疲れなのかアルコール無しには出動できない身体になっているのか、一同ステージへの本気度が二の次になり出している状態で、また戻ってみればDEERHOOFが会場をアーティな雰囲気に包んでいる終盤でした。日本でこれまた何度かライブを目にしており、イギリスでは初めてのステージ鑑賞となりました。この日本人女性ボーカルを擁する、現在日本在住だとも言われるDEERHOOF、その会場がATPであろうともいつものペースを全く崩さず、ふんわりと巧みなテクニックがシーソーの上でガツンと音がし続けている様な、そんな世界を余すこと無く披露していました。余談ではあるのですが、私がイギリスに来て知り合うバンドさんにはDEEFHOOFファンも本当に多く、ここUKでもとても人気があり、フォロワーの様なバンドも沢山出現しています。

さて、この日のメインステージで私達が最初に観たのはDEVENDRA BANHART、デヴェさんです。実はATP中、このSSWの方がどう言った人なのか知識にないなと思っていたら、帰ってから何のことはない、あのXLから出ていたフリークフォークの人だったのか!と気付くような感覚で、彼のステージを観た事を前置きしておきます…。

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が、同行の女子が「イケてるから!特にルックスが!」と捲し立てるので、他に特に観る予定のものもなく、皆に帯同して観に行きました。「イケてる」と言う言葉の通り?、オーディエンスは今までになく女性の率が高く、今大会中一番ATPらしくない盛り上がり方と言えばそうでした(笑)。彼のステージング目当ての女性が多く、確かに終始魅力的なステージングさばきを魅せ付け、孤高のグルーヴにラテンの香りも濃厚な良質で軽くサイケなメロディが、セクシーなボーカルと共に踊っている、そんな印象でバンドと共に会場を盛り上げていました。ATPらしくない、とは言ったものの、誰もが楽しめ、かつ心地よいリズムに安心して身を任せられるスタイルには、やはりアーティストとして確立されたものが感じられました。
ステージ終了後、その同行のドイツ人の子はもはや「言わんこっちゃない~」と、ドヤ顔で恍惚としていました(笑)。
しかし、私の技量と熱意の欠如からか、彼の顔が良く見えているような写真がありませんでした…苦笑

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代わりと言ってはアレなのですが、おまけ程度にデヴェさんを鑑賞する皆さんの図も宜しければお楽しみ下さい(笑)。

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続いては、同ステージでイギリスではATP出演常連では収まらず、ATP代表バンドの一つとも言えるぐらいだと聞いている、EXPLOSIONS IN THE SKYの登場です。メインの大会場も既に彼ら観たさの人々で満員になっており、登場するやいなや会場全体の興奮度が幾分も高まったのが肌で感じられるほどでした。

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個人的には日本にツアーに来た際彼らのライブを経験はしているのですが、これほどUKで人気があったとは予想しておらず、終始オーディエンスの熱烈なステージへの視線も含めて会場の雰囲気を楽しみました。

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演奏はと言えば、冒頭は出音がこのメイン会場に回り切らず、一歩引いた目線で会場全体を感じ取っていると、彼らの轟音メインのアンサンブルが今ひとつ物足りなく感じる部分があったのですが、中盤から尻上がりに弦の奥行きが会場や空気に馴染んで来て、メンバーのボルテージも上がり、当然会場もより一層の盛り上がりを見せていました。

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彼らのステージが終了後も、会場全体が余韻に浸っているのもまた興味深いワンシーンでした。

その後、再度一旦宿へ直走り、アルコールの充填も完了し、陽も深く落ちる頃、今回の3日間に渡るATPを締めくくるヘッドライナーの時間となりました。アメリカより90年代オルタナティヴを語るには欠かせない彼ら、MARS VOLTAです。
今や幸運なことだったとも思える事に、AT THE DRIVE-INの時代から周りに熱烈なファンが多かったこともあり、幾度と無くこのエル・パソが生んだオマーとセドリックの完璧な掛け合いのステージに肖って来ている中で、今回初めてイギリスの地でも最新形の彼らによるサイケデリアを目にすることが出来ました。

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ATDI時代とは違い、MARS VOLTAとしてオリジナリティ溢れるサイケデリアの中心で、変わらぬ熱い感情表現を見せ、一曲が長いことでも有名であったりコンディションによりステージ内容の差が顕著でることも知られる彼らではありますが、この日は特にセドリックの調子が良さそうで、楽しそうに歌い上げていた。

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声の伸びも、抜け切るようになり出してからは尋常ではない程のテンションを生み出していて、「長い」と言われる一曲間のなかでも、中弛みも飽きも全く感じさせないMARS VOLTAにしか見せることの出来ない、激情とサイケの狭間に生まれるコスモが出来上がっていました。

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終始、大会場をものにしている様に、私も集中が途切れることなく、あっと言う間にATPが私達に届けようとする代表バンドの一つによるステージの時間は過ぎ去って行きました。

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そして、この、生の大御所バンド達の演奏に身を委ねながら衣食住をする非現実的な村落にでも迷い込んだかのような生活現場から現実への帰還も、名残惜しくもあと僅か。会場内を今一度うろついている内に、LIGHTNING BOLTをこのATPで目撃できたのも最後の一曲分だけになり、その足で、このATPの10周年を最後に締めくくってくれたのが、マス・ロックの草分け時代のひとバンドでもあるPOLVO。また数曲しか観ることが出来ませんでしたが、ここ最近UKでも盛り上がる若手マスロックのそれとは全く違う、勇み足の無いドッシリしと響く演奏が印象に残っています。

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所謂“チラ見”が頻発してしまった最終日、ご紹介しているバンドの中で写真が用意できなかった物も多く、すみません…。

ですが、少しでも、ATPの人里離れた地でのちょっとおかしな3日間の“音衣食住”を感じ取って頂けたら幸いです。
また今年も、自分のバックグラウンドと符合するようなATPがあれば行く事もあるかも知れません。