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DISC REVIEW

Before Today / Ariel Pink's Haunted Graffiti

Before Today / Ariel Pink's Haunted Graffiti

CAD3X15CDJ 2,300yen (tax in)
2010.7.21 on sale

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01. Hot Body Rub
02. Bright Lit Blue Skies
03. L'estat (acc. To the widow's maid)
04. Fright Night (Nevermore)
05. Round And Round
06. Beverly Kills
07. Butt-House Blondies
08. Little Wig
09. Can't Hear My Eyes
10. Reminiscences
11. Menopause Man
12. Revolution’s A Lie
13. Phantasma
14. Hold Your Breath And Wait

いま世界で最も注目される音楽メディアのひとつPitchforkが、先日、よりオルタナティヴでレフトフィールドなサウンドを取り上げていくための新ウェブサイト"ALTERED ZONES"をオープンさせた。このウェブサイトでは自主制作や宅録のようなかなりパーソナルなサウンドから、世界でいったい何人が知っているのだというようなカルトな盤を積極的に取り上げているのだが、その裏を返せば、いま主流の裏側で、世界の各地でいかに面白い音楽が生まれているのかを見る者に強烈に叩きつけている。探すことを諦めるな、アンダーグラウンドはまだまだ秘宝のようなサウンドに満ち溢れていると。
LA在住のMarcus Rosenbergを中心とする4人組、Ariel Pink's Haunted Graffitiはまさにそうした風潮を象徴するかのようなグループだ。もともとはMarcus Rosenbergの宅録プロジェクトとしてスタートし、ANIMAL COLLECTIVEのレーベルなどからすでに3枚のアルバムをリリースているが、8トラックのテープ・レコーダーで録音されたそのサウンドは一度耳にした者を虜にしてしまう魔性の魅力を秘めながらも、すべてカルトヒットに止まっていた。
それが、いまや名門4ADと契約を結び、NME紙やPitchforkといった海外メディアが絶賛を送るニューカマーの筆頭に数えられ、ここ最近注目を集めている"チルウェーヴ"なる潮流の父とも呼ばれ、またTHE FLAMING LIPSと一緒にUSツアーをまわるといった話題でも、世を騒がせてる。彼らのサウンドの幹はそれほど大きく変わっていないというのに。
彼らのサウンドは、ディスコ、ソウル、ファンク、ロック、プログレ、グラムロック、アンビエント……、実に多様な音楽のエレメントを独特のローファイな空間の中に放り込み、ブレンドし、さらにそれをの古びたラジカセから放出したような、一風変わった味わいを持つ。無論、ただの懐古趣味ではない。そしてこれが不思議とポップで、強力な中毒性を持っているのだ。このサウンドになぜ僕らがいま惹きつけられるのか、それはまだ謎である。ともかく"いま"という時代が彼らの音を求め、その説得力を確かなものにしていることは間違いない。Ariel Pink's Haunted Graffitiという現代のミステリーを、どうかいまこそ聴いていただきたい!!


[2010-07-21]
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