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LIVE REVIEW

THE BACK HORN "KYO-MEIツアー 〜リヴスコール~"

2013.1.6 (sun) @ 日本武道館

日本武道館でのライヴは通算2回目となるTHE BACK HORN。2008年の前回は結成10周年の公演だったこともあり祝福されている感じがあったものの、今回は "KYO-MEIツアー ~リヴスコール~" ツアーの中でのひとつのライヴということもあり、緊張感がある、とドラムスの松田は途中のMCで打ち明けた。

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ステージは、その2012年にリリースされたアルバム『リヴスコール』のオープニングと同じく「トロイメライ」~「シリウス」という流れで、剥き出しのフォーピースのアンサンブルが武道館の空気を震わせる。『リヴスコール』の楽曲は、彼らの音楽の変遷のなかでも、とりわけシンプルで勝負に挑んでいると思う。武道館という大きな舞台でも、バンドが目指している濃密な空間を確かに表出しているのはさすがだ。

偏狭な意見で恐縮だが、自分にとってTHE BACK HORNの音楽に登場する主人公はいつも、たとえ満身創痍であろうとも昂然と胸を張って立っている印象がある。『リヴスコール』は人間の影の部分を画すことなく表現してきた彼らの、骨格そのものが伝わってくる作品だ。この武道館公演では、そのパワーをツアーのなかで磨き上げてきたテンションで増幅させていた。

疾走感溢れる「自由」を含む後半の怒涛の展開も興奮したけれど、個人的には、エモーショナルな「いつものドアを」そしてイマジネイティヴな「風の詩を」への展開は、アルバムと同じく彼らの音楽的懐の深さを感じられる場面だった。

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震災後、音楽を復興の力に、というメッセージを彼らは実行してきた。音楽をやっている瞬間、ライヴで一体感を感じている瞬間、ひとりで作品を聴いている瞬間は没頭できる──。「このような時期だからこそ音楽の力を実感した」と彼らは回想する。その思いとオーディエンスのヴァイブが頂点に達したのが、本編の最後の「世界中に花束を」だった、バックのスクリーンに映されたメンバーの姿、禁欲的なイメージのある彼らのあんなに清々しい表情を見られたことが嬉しかった。

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アンコールには「ミュージック」「ラピスラズリ」と『リヴスコール』後半のドラマティックなナンバーをプレイ。派手な効果は最低限に、岡峰の奔放なベースプレイ、松田のダイナミックなドラミング、菅波の適所にエフェクティヴな効果を加えつつ時にフリーキーに振りきれるギターワーク、そして山田のどこまでもストレートで生命力を感じさせるボーカルをどれだけそのまま聴かせるかに注力させた演出が見事だった。アンコールのラスト「サイレン」で会場の客電が付けられると、それまでの緊張が一気にほどけるような開放感が武道館内を包んだ。

すべての演奏が終わると、スクリーンに映画のエンドロールのように、ツアー各地の模様が流れた。結成15周年を迎えさらに精力的に活動を続けるTHE BACK HORN、ライヴCD『KYO-MEIツアー ~リヴスコール』が2月6日発売、そしてこの武道館の模様を収めたライヴDVDも3月27日に発売が決定した。そして、3月15日(金)には渋谷O-EASTで開催されるNew Audiogram ver.6.1にOGRE YOU ASSHOLEとともに出演する。

Text : Kenji Komai
Photo : Yoshika Horita

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