2010.1.14 (thu) @ ZEPP TOKYO, Tokyo
東京では、このRODRIGO Y GABRIELAの公演と同じ日に、GIRLSの初来日公演も行われていた。ヤングな洋楽リスナーはみんなそっちだろうな、こっちはきっとオッサンばっかりだろうな、ははは、でもいいもんね、なんて乾いた気持ちで会場に入ると、これが案外若い客層。ギッシリ満員というわけにはいかなかったが、それぞれに彼らの音楽を熟知したような熱心なファンでいっぱいだ。

RODRIGO Y GABRIELAは、2000年頃から活動する、メキシコ出身のRodrigo Sanchezと、Gabriela Quinteroによる男女ギター・デュオ・ユニット。ギター・デュオと言ってもそこにまったく内向性はなく、むしろほとばしるほどにパッションあふれる演奏が身上で、アコースティック・ギターのイメージを大きく塗り替えるほどのアグレッシヴなパフォーマンスが特徴的だ。ヴォーカルはいないのに、日本盤の邦題にあてがわれた『激情~』『格闘弦』といった言葉も言い得て妙な、独創的かつ熱血ギター奏法が、雄弁に彼らの音楽に向うエナジェティックな姿勢を物語っている。

この日のステージもRodrigoとGabrielaのふたりだけ。楽器も基本的にそれぞれが持つアコースティック・ギターがメインで、ボディを叩きながらパーカッシヴに鳴らしてはビートを刻んだり、メロディのリフを織り込んでいくなど、各々ひとりでいくつもの役をこなしていく。目をつむって聴いていると、何人ものメンバーが舞台を占拠しているようにさえ思えるほど。だが、よく見れば、ふたりの役割もそれなりに分かれており、例えば、Rodrigoはソロを弾くことが多く、Gabrielaはリズム・ギターに徹することが少なくない。知的な横顔で情熱的なメロディを奏でるRodrigoは時折一歩下がってGabrielaに譲ってみる余裕も見せ、女性とは思えぬ腕力で弦をハジくGabrielaはムード・メイカーとして客席を鼓舞する役割も担うなど、ふたりの対等な関係もそこに伺い知ることができた。

昨年発表された4作目のスタジオ・アルバム『11:11』(邦題『格闘弦 / 11:11』)からのナンバーが中心。Jimi Hendrix、Carlos Santana、Pink Floyd、John McLaughlin、Astor Piazzollaなど、彼らがリスナーとしても、ミュージシャンとしても影響を受けてきたアーティストへの敬意をそれぞれ表現したオリジナル曲を集めたアルバムだったが、この日のライヴは、ふたりからそれら先達へ捧げられたオマージュのよう。METALLICAのメンバーがライヴに飛び入りしてくれた時の様子をカタコトの日本語混じりで話すなど、MC以外でマイクに向うことはもちろん一切なかったというのに、彼らの演奏からはよっぽど多くを語るよりも饒舌に先達への愛が感じられた。


また、ほとんどの曲が日本では初めてプレイされるナンバーだったというのに、オーディエンスの反応もすこぶるよく、彼らの意志をしっかり受け取っているかのようにそのパフォーマンスの一挙手一投足についていっている様子も感動的。アンコールではGabrielaが、パーカッシヴな演奏をダウン・ストロークとアップ・ストロークを交えながら丁寧に解説するシーンも。とはいえ、ギター・ワーク・ショップさながらのそんなトークも、ひとたび演奏が始まれば弦がハジけ散らんばかりのパワフルな演奏で一気に汗と化す。理知的なのにフィジカル。肉感的なのにインテリジェント。それがこのふたりの合言葉であるかのようなステージだった。

Text : Shino Okamura
Photo : Ryota Mori
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LIVE REVIEW : RODRIGO Y GABRIELA "JAPAN TOUR 2010"
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