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FACT "JAPAN TOUR '10"

メジャー第2弾作『in the blink of an eye』発表後という絶好のタイミングで、昨年は海外のツアーやフェスに精力的に打って出ていたFACTがようやく"JAPAN TOUR"を決行した。東名阪クアトロ公演は即完となり、急遽追加公演となったこの日もフロアは満杯状態だ。

まずはFACTとレーベル・メイトのSEVENTH TARZ ARMSTRONGが、開演時刻の19時前にプレイを開始。ビッチなMCで挑発しまくる女性シンガーの艶めいた歌を軸に、ポップ性あふれるロックを強烈にアピールする。ここから海外勢が2バンド続いた。カナダ発の5人組TEN SECOND EPICはインディ・ロックらしい土臭さと、空に抜けていくような爽快メロで聴く者を力強く引き込む。そして、SENSES FAILのキャンセルにより（残念！）、急遽抜擢されたのがオーストラリア発の5人組CLOSURE IN MOSCOWだ。中性的な声音が魅力的なヴォーカルを武器に、オペラ風エモと表現したくなる剛柔自在のダイナミズムに唸らされた。こいつらカッコイイ！

残すはあのバンドだけだ。バックドロップに"FACT"と書かれたフラッグが掲げられると、大拍手＆大歓声の凄まじい熱気が立ち昇る。一発目は意表を突いて「Pressure」で始まり、ステージからはダッチワイフが投げ込まれると、会場は瞬時にカオスの様相を呈す。その火に油を注ぐように、昨年出たメジャー第1弾作収録の「los angels」、「a fact of life」と畳みかけ、ファンにも耳なじみの深い曲だけあって、クラウドサーファーが途切れることはない。Hiroの繊細かつ高音を駆使したメロディアスな歌声は光っているし、左右を陣取るKazuki、Takahiroの両ギタリストはメタリックな強靭リフで攻め立てる一方、インパクト絶大のシャウトで援護射撃する。また、Tomohiroが堅実なベース・プレイで土台をガッチリ支え、左腕骨折から完全復帰したEijiのパワフル・ドラムも聴き応えたっぷりである。

中盤手前には最新2ndフルから「this is the end」、「slip of the lip」、「1-3」と三連発放ち、とりわけ彼らの新アンセム・ソングと言える「slip～」の抜群のキャッチー性は、ライヴでも特段の映えっぷりだった。「今日のライヴはDVDになるんで、ガンガン来ちゃってください。まだこんなもんじゃないでしょ！」とHiroが煽ると、後半も「paradox」や、坂本龍一の原曲を換骨奪胎したカヴァー「merry christmas mr.lowrence」で観客の心を奪う。ラスト曲はこれまた意表を突き、メンバー自身も「懐かしい」とこぼしていた1分足らずの激速スクリーモ・ナンバー「Deviation」で颯爽と駆け抜け、1時間50分に及ぶライヴは幕を閉じた。会場全体が右肩上がりに、天井知らずの活気を帯びていく。この灼熱ムードこそ、今のFACTの勢いを物語っている。

Text : Ryosuke Arakane

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