2009.3.14 (sat) @ LIQUIDROOM ebisu, Tokyo
アルバム『Hymn To The Immortal Wind』発表後のワールド・ツアー。その2日目となる東京公演。開演前のフロアには朗々としたオペラが流れているし、暗転と同時に巻き起こるのは「ウォー」の歓声ではなく誠意のこもった拍手である。普通のロック・バンドの普通のライヴハウスとは一線を画した雰囲気。それがMONOらしいといえば、非常にらしいのだけど。


オルゴールのようなグロッケンとギターのアルペジオから、ライヴは静かに始まる。もの悲しくメランコリックな旋律は、たとえば凍てついた氷原に一人残されたような、または静かな森の中に落ちる水の一滴になったような、あるいは宇宙に漂う塵の中に寄るべなく浮かんでいるような、そんなイメージを喚起させるもの。想像する景色は十人十色であろうが、そのどれもが“孤独”をまざまざと感じさせるものであることは共通しているだろう。


そして曲が進むにつれて、もの悲しい孤独のイメージは、濁流にのまれ、あるいは得体の知れない引力に吸い込まれ、とにかく巨大な力に押し流されていく実感へと変わっていく。なすすべもなく得体の知れぬ力の中心へと引き寄せられていく。それが何なのか演奏中はさっぱりわからないのだけど、演奏が終わった後の残響音の大きさで、あの巨大なエネルギーの正体が、具体的にはバスドラムのすさまじい連打であり絶え間なく続くギター・ノイズであった、と気づかされるのだ。手に負えないようなイメージの暴走は、生身のバンド・サウンドによってもたらされた“体験”だった。言い換えるとMONOの演奏は、人の想像力を刺激するツールとしてではなく、実体験をともなうエネルギーの塊として君臨する。想像力こそが大事だと語るインストゥルメンタル・バンドが百花繚乱の昨今だが、だからこそ、この違いは非常に大きい。世界を相手に10年闘ってきたバンドの説得力をはっきり思い知らされた気分だ。


もっとも、メランコリックに始まり巨大な轟音に移り変わるという曲の構成はどれも似ているから、冷静に見ればパターン化、マンネリ化を指摘することも不可能ではない。実際、数年前までのMONOはそのパターンに自らハマり込んでいたようにも思う。だが、絶望ではなく勇気を描きたかったという新作を完成させた今、楽曲が見せる景色は確実に変わってきている。後半になればなるほど凍てついた“孤独”の色は薄れ、むしろ燃え上がる炎の中で天に昇っていくような、眩しい太陽の中心に向かって突き進んでいくような、“光”と“熱”のイメージが強くなっていく。その眩しさに眼がつむれるかと思ったラストの「EVERLASTING LIGHT」は圧巻。仕切り直しのアンコールなど計画せず、ただただ、うっとりした恍惚の余韻だけを残して去っていったのも非常にすばらしかった。
Text : Eriko Ishii
Ryo Nakajima (SyncThings)
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