2013.5.28 (tue) @ The Globe Tokyo
*写真は全て翌5月29日公演のものです。ご了承ください。
5月22日に、ライヴ・ドキュメントDVD『えん。』とカヴァー・アルバム第2弾『LOVER ALBUM 2』を同時リリースしたばかりのクラムボンが、シェイクスピア芝居のお膝元、東京グローブ座で4days公演を開催。アルバムでカヴァーしたバンドをはじめ、彼らの好きなアーティストを迎え2マンで行われたこのイベントは "clammbon faVS!!!" と名付けられ、ワンマンやフェスとはまったく違う雰囲気が漂うライヴを展開した。
円形の客席と高い天井、ゆったり間隔をとった客席に、劇場に足を踏み入れた観客たちは戸惑い気味。その緊張感からか、初日のトップ、HUSKING BEEのメンバーがステージに現れても、座ったままで拍手や歓声を送る様子がほほえましかった。
ハスキンとクラムボンの付き合いは長い。2002年に発表したリアレンジ・アルバム『Re-clammbon』に磯部正文(G,Vo)が参加したのはもう11年も前のこと。その後、2005年にハスキンが解散して、昨年7年ぶりに再結成を果たしてこの日がある。
<Music begin…>という磯部の声が響いて「#4」からライヴがスタート。疾走感とともに、歌詞の世界観、磯部と平林一哉(G,Vo)のツイン・ヴォーカルやコーラスワークが生み出すセンチメンタルな風景が、グローブ座をライヴハウスへと変えていく。中でも、「The Steady-State Theory」「欠けボタンの浜」「摩訶不思議テーゼ」など、英語詞と日本語詞のバランスや豊かな表現を伴った楽曲たちが観客を動かしていく。
そして、彼らの本編最後は、原田郁子がコーラス参加した「一道のイデア」。アルバムが発売された当時(2002年『The Steady-state theory』)は、パンクロック・バンドとクラムボン、という違和感から話題になった記憶があるけれど、実際はむしろ、その親和性に驚きを覚えたほど。このライヴでもそうした側面が改めて感じられたと思う。
続くのはクラムボン。早速原田が会場を煽ってスタンディングになったことに、観客もホッと一安心(笑)。「サラウンド」「はなればなれ」から、今作『LOVER ALBUM 2』の目玉といえる、中森明菜の名曲「DESIRE-情熱-」のカヴァーを披露。ジャズ風アレンジかつアルバムよりさらにタメにタメる展開で、かっこいいけど笑える1曲に。続くアニメ「けいおん」の劇中歌「U & I」では、小さな子どものような声で歌う原田の声が、本能に訴えてくるよう。なにか気を惹かれて、そのまま歌の世界に引き込まれてしまう。
ここで、磯部を迎えたアコースティック・アレンジの「タイムリミット」から、「波よせて」、ここ数年の彼らのライヴのハイライト、「バイタルサイン」へ。3人それぞれの思いを吐き出すような激しいパフォーマンスは、暴力的というより祈りの姿のように見えるから不思議だ。この後、ワンマンだとこの後もうひと盛り上がり…となるところを、「シカゴ」で本編は終了。とはいえ会場のほぼ全員が、「まだあの曲やってない!」と内心思っていたことだろう。
「じつは、1曲飛ばしました、ごめんなさい!」というミトの告白から始まったアンコールでは、磯部、平林も加わって、待ちかねていた「新利の風」。この顔ぶれでの演奏も、彼らが活動を続けているからこそまた見られたことを思うと感慨深い。そして、他にもたくさん聴きたい曲があったような気がしたけれど(カコとカツミとか)、2バンド合同によるハスキンの「雲のいびき」で初日のフィナーレ。終わってみるとあっという間の3時間は、ひたすら、音楽を通してバンド同士のつながりを感じ、そこからしか生まれない音楽に心を動かされ続けていた時間だった。
Text : Ayumi Tsuchizawa
Photo : Yoshiharu Ota *写真は全て翌5月29日公演のものです。
clammbom Set List
01. サラウンド
02. はなればなれ
03. DESIRE 〜情熱〜
04. U & I
05. Re-タイムリミット w/磯部正文
06. 波よせて
07. バイタルサイン
08.シカゴ
En1. 新利の風 w/磯部正文&平林一哉
En2. 雲のいびき w/HUSKING BEE