2010.6.2 (wed) @ SHIBUYA O-NEST, Tokyo
浅野忠信とブライアン・バートンルイスのツイン・ヴォーカルを軸とする5人組ハードコア・バンドで、5月に出た3rdアルバム『IRAFAS』のレコ発ライヴ。浅野は登場するやいなやハイテンションで観客をアジりまくり、1曲目「THRILLER」でラップとも絶叫ともつかぬ言葉の連射を浴びせかけ、観客もすかさずモッシュの嵐でそれに応え、いきなりピークの様相だった。


そもそもSAFARIの大きな軸となっているのが、浅野の手によるポジティヴであり反逆的な歌詞で、それは典型的なパンクの精神性といえるものだ。いわばしごく単純なメッセージなのだが、それを浅野が歌うとやたらと説得力がある。このバンドでの彼は、映像作品の中でのクールなイメージではなく、“普段と違ってこんな才能もあるんだぜ”的な気取りもなく、思いっきりプリミティヴでピュアなパンク歌手に徹していると思う。さしてオシャレでもないバンドTシャツだけの姿で、「昨日までの俺はもう捨てたんだ」「人生毎日夜遊びだよ」などと絶え間なくわめき散らす彼の姿は、普段とのギャップがデカいだけに魅力的なのだ。アタマではなくカラダで音楽やってる、とでも言うべきか。


またそれだけではなく、浅野とブライアンのツイン・ヴォーカル・スタイルになっているのが、このバンドのキモだろう。野太い声で歌いまくる浅野とは対照的に、ブライアンは終始甲高い声でシャウトを繰り返し、声質のまったく異なるふたりの掛け合いがユニークな味を生んでいる。ブライアンはラジオ番組で浅野と意気投合し、そのノリでこのバンドに加入したらしいが、そんな成り行きのわりには絶妙のコンビといえそうだ。あんなに話し好きで陽気なブライアンが、ライヴ中にほとんどMCをせず、超マジな表情でヴォーカルに徹していたのが印象的だった。浅野もブライアンも、このバンドを真剣に楽しんでいるということなのだろう。


演奏の方はシンプルで明快な80年代的ハードコア・サウンドだが、バンドのアンサンブルは鉄壁だし自由度や柔軟性もけっこう高い。特に瞬発力のある演奏でブライアンが“ワケケケ!”などと奇声を発して展開していくあたり、同じツイン・ヴォーカル編成だった90年代のボアダムスを思わせるようなところもあり、なかなか一筋縄ではいかないところがおもしろい。だから一本調子にならないし、まだまだ広がっていく可能性もありそうだ。

ライヴは『IRAFAS』からの曲を中心に間髪入れず演奏していき、観客も終始ヒート・アップしていたが、中盤で浅野が「盛り上がってるの前だけじゃん。だからもう最後の曲だよ」などと言って終わりかけるようなひと幕も。ラストには浅野が「みんな最高、俺も最高、それが証明された!!」と絶叫し、新作の中でも特にハードな「何も感じないのか?」を演奏して終わった。正味1時間ほど。これほどのテンションだとそれが限界なのだろう。溜め込んだエネルギーを一気に爆発させたような、痛快極まりないライヴだった。
Text : Mamoru Koyama
Photo : Hajime Kamiiisaka