2009.7.15 (wed) @ LIQUIDROOM ebisu, Tokyo
ギターに生形真一 (ELLEGARDEN)、ベースに日向秀和 (ストレイテナー)、ドラムに大喜多崇規 (Dr、FULLARMOR)、そしてヴォーカル&ギターに村松拓 (ABSTRACT MASH)という強者メンツで結成されたNothing's Carved In Stone(以下、NCIS)。5月にデビュー・アルバム『PARALLEL LIVES』を発表した彼らが、対バンツアーの"PARALLEL LIVES TOUR"経て、ワンマン・ツアー"POLYPOID TOUR"を敢行。そのツアー・ファイナルが恵比寿リキッドルームで行われた。
超満員の観客から大歓声が巻き起こるなか、村松の「イェーッ!」というシャウトが響きわたると、アルバムのオープニングを飾る「Isolation」でライヴがスタート。2月の代官山UNITでのファースト・ライヴのときは勢い全開の荒っぽさがたまらなく良かったが、アルバムを引っ提げての全国ツアーで鍛えられたバンドは、一体感や表現力がさらに増し、ひと回りスケールの大きいバンドへと早くも変貌を遂げていた。
ガッシガシにギターを弾きまくる生方、ヘヴィさと勢いを兼ね備えた大喜多のドラミング、これでもかといわんばかりに動き回るベースラインを弾き倒す日向、そしてギターをかき鳴らしながらクールでエモーショナルなヴォーカルを聴かせていく村松。緩急を織り交ぜた4人のコンビネーションはとにかく熱い。泣きメロ激情ポストロックとでもいうような「November 15th」、それぞれの楽器が重なりあってドラマチックな展開を見せる「Hand In Hand」、静けさとヘヴィさと明るさが混在する三拍子のナンバー「New Day」など、音源以上にダイナミズムを感じさせる演奏で観客をグイグイと魅了していく。
MCでは、村松と観客の「ワッショイ!」コール&レスポンスもあったりと、フレンドリーなコミュニケーションで会場のいい空気が作り上げていく。そして生方から「ツアー中に作った曲をやります」と告げられると、アルバムの世界観とはひと味違うポップさのある「あぽろん2号」を披露。NCISのサウンドはまだまだ広がっていく、そんな予感を感じさせるナンバーだった。
さてライヴは終盤戦を迎えると、個々のエネルギーを爆発させるかのごとく「Diachronic」「Moving In Slow-Motion」「Same Circle」と立て続けに怒涛の勢いを見せつけ、会場は大ヒートアップ。熱気渦巻く観客に応えてのアンコールでは、「曲がないからセッションやります」という生方の声から、4人のジャムが繰り広げられた。緻密に決め込まれたサウンドだけでなく、自由さを持ち合わせているのも彼らの強みだろう。そして、大歓声の中、最後の最後に「Isolation」をもう一度演奏してライヴはフィニッシュ!
彼らのサウンドは、センシティヴでいて力強さを持つメロディラインを軸に、エモ、マスロック、メタル、ギターロック、ジャムバンドなど、さまざまな要素を垣間見ることができる。メンバーひとりひとりが個性を放射していくような圧倒的な演奏力で、そうした楽曲の持つパワーを最大限に引き出すパフォーマンスを見せてくれた。だが、ここは彼らにとってのスタート地点にすぎない。ちょっと大げさだが、彼らには世界基準のロックの可能性といったものを感じてしかたがないからだ。NCISは、ここからさらにすごいもんを見せてくれるはず。そんな期待を抱かせてくれるこの日のライヴだった。
Text : Keisuke Tsuchiya
Photo : Rui Hashimoto
PARALLEL LIVES Nothing's Carved In Stone |