2011.8.31 (wed) @ Shibuya CLUB QUATTRO, Tokyo
ACTs : mudy on the 昨晩 / ストレイテナー
8月10日にリリースされたセカンド・アルバム『mudy in squall』のリリ―スから最も近いタイミングでのライブが今回の名古屋と渋谷でのリリース・パーティとなったmudy on the 昨晩。ちなみに名古屋のゲストにはTHE NOVEMBERS、そしてこの日は意外といえば意外な先輩、ストレイテナーがトップバッター。客電が落ち、大歓声の中メンバー登場。イントロからして音が太い! いきなりアルバムのオープニング・ナンバーである「A LONG WAY TO NOWHERE」でスタート。いきなりやってきてどでかいグルーヴと曲の良さでオーディエンスを唸らせてしまう、どこか外タレみたいなムードがこの日のストレイテナーにはあった。



続々、「VANDALISM」、「VANISH」のオリジナル・ヴァージョンを連打。人力ダンス・ナンバーでもあるのだが、あくまでギター・ロック・バンドとしての厚みや、いい意味での荒さが新作以降のモードを体現。1時間強のセットだったが後半にもってきた「Lightning」でのホリエの鍵盤やOJのコーラスもアレンジとしての美しさを生々しさが上回っていたし、これまでだってアンセミックだった「Melodic Storm」は、この先の見えない時代にさらに“もっとタフに、もっとやさしくなろうぜ“と精神的に共闘する気持ちをアゲてくれたし、ラストの「BERSERKER TUNE」まで全力かつリラックスしたスタンスが印象的だった。9月22日、同じくここクアトロからスタートするアルバム・ツアーを前にこの全開っぷり。ホントに何度でも何度でもバンドであることの意味を更新するストレイテナー、ここにあり、だった。


ストレイテナーのアクトですでに全力を出したオーディエンスがドリンクの交換に長蛇の列を作る中、綿密に転換作業が進み、再びmudy on the 昨晩のアクトへの臨戦態勢が整った中、メンバーが意気揚々と登場。こちらも1曲目はセカンド・アルバム『mudy in squall』から「PERSON! PERSON!!」。ラテンのりの陽のテンションが幕開きにふさわしい。そういえば、ホリエもMCで言っていたが「mudyもレコ発だけど、俺たちもレコ発です」。そうなのだ。お互いに世に出たばかりの新作を携えた前のめり感が共通している。そしてことmudy on the 昨晩に関して言えばこの「PERSON! PERSON!!」のミュージック・ヴィデオは、オバカなことを大真面目にやってこその完成度というか(板前姿のスナイパー、とかもうワケがわかりませんが、ぜひご覧あれ)、演奏は真剣そのものなのだが、男子特有の会話のバトルが音になったような抜き差しは数多のインスト・バンドにはないユーモアすら湛えている。

フロント3本のギターが“喋り”あい、リズム隊が関節技をキメる……その勢いが高速回転してライヴは進む。初期からなじみの「パウゼ」は変拍子でありつつ、ギターサウンドのポップさが無二カタルシスさえ放つ痛快さ。どんなムチャぶりをされても付いて行きたくなる、そんな人懐こい(音懐こい?)アンサンブルが特に光る曲と言えるだろう。そして3本のギターが絶妙に違う個性の音ながらユニゾンするヴァースが気持ちいい「ZITTA」。ファンもブレイクのポイントを心得ていて、ハコ全体で曲を表現しているような一体感が発現。これは気持ちいい! そして不穏なフィードバックノイズすらアレンジとして聴かせてしまった感のある「秘密」、セカンド・アルバムの9曲目であり、mudy on the 昨晩というインスト・バンドのスタンスを能弁に物語る「メッセージとは」では、海や滝や、鳥の群れなんかが脳内にフラッシュするようなイマジネーションの広がるサウンドスケープの体現に驚いた。


後半戦突入前にようやく、フルサワがMCらしいMC。“なんでテナーと? と思う人もいるだろうけど、僕はmudyの前のバンドでコピーしたりしてて、今回のアルバムですごい自信もできたんで、ひなっちさんに出てもらえないか? って電話をしたんですよ”と告白(!)。ちなみにコピーしてたことをホリエに“ウソつけ”と一蹴されたらしく、ひときわ笑いが……。そしてグッとテンポを上げて4つ打ち~スカっぽい2ビートへとめまぐるしく変化する「Your entrails and laughter.」、ラテンなリズムをハンドクラップがさらに押し上げていく「ユアイへ」、恐らくこんな高速でジャズ要素やオサレ系メジャー7thをぶちこむのは彼らぐらいであろう「YOUTH」の“しゃらくさいものを徹底的に宇宙の彼方へ投げ捨てる”ような若さ。


本編ラストの「this squall」も「YOUTH」をさらに加速させたような展開で、正直11曲じゃあ物足りない。途中まで躊躇してた女の子も誰の真似でもないダンスを踊り始めたばかりだというのに! で、当然沸き起こるアンコール。テナーTシャツを着て再登場したメンバーは満面の笑み。“歌があるとかないとかどっちでもいい。そんなふうに音楽聴いてないしね? ねぇ!?”と、勝利宣言とも再確認ともとれるフルサワのMCに歓声で応えるオーディエンス。この楽しさは誰に習ったわけでもない、今、ここにいるバンドとオーディエンスで発明してきた楽しさだ……そんな力強い確信に貫かれた、驚きと笑顔の一夜。10月から始まるリリースツアー"ファインディング・アディ"では今回の倍ぐらいのセットリストを期待したいものだ。
Text : Yuka Ishizumi
Photo : Rui Hashimoto (SOUND SHOOTER)
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