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LIVE REVIEW

LITE "10th"

2013.10.5 (sat) @ LAFORET MUSEUM ROPPONGI, Tokyo

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未知の向こうにこそ面白いものがある……結成10周年ライヴを投げ銭制にするところにLITEというバンドの気質を見る。可能な限り未見のリスナーにも生の演奏を届けたい、それはこれまでの活動と地続きな実に彼ららしい姿勢だ。会場のラフォーレミュージアム六本木は何もないイヴェント・スペースであり、ライヴとなればいかようにもアレンジ可能だが、この日、LITEは360°ほぼ死角なしのセンターステージを選んだ。

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場内が暗転し、メンバーがステージに登場。4人が相対する陣形で楽器を構えただけで、静かな緊張感が満ちる。そこで鳴らされたのは'05年のデビュー・ミニ・アルバム『LITE』からの「Oct」だ。最初のブロックは2本のギターとベースがユニゾンだったり、単音フレーズのアンサンブルが特徴的な初期の2作から披露した。演奏は内側で燃焼するようでどこか儀式的でもある。照明は暗く、コントロールされた空調も手伝って、見る側も自然と五感を研ぎ澄まさざるを得ない。まさにこのニュアンスがこの日彼らが呈示したバンドの態度を象徴していたのではないか。

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打って変わって次のブロックでは最新作『Installation』からループするギターに楠本と武田のナマのギターも重なる色彩豊かな「Echolocation」、同じく新作から進化した彼らのファンクネスが堪能できる「Hunger」、井澤(B)の高速アルペジオがエクストリームな「Tomorrow」と、一気に景色が変わるのだが、この会場の残響やアンビエンスからか、音像からくる印象は非常に明晰で、それが1曲ごと丹念に聴かせる趣向に非常にマッチしている。ちなみにこの日はリリースされた全9タイトルから曲数の差こそあれ、少なくとも1曲は演奏し、LITEのバンド・アンサンブルや曲の構成の変化も楽しんだり検証できるセットリストが組まれたわけだが、1stブロック以降は時系列に沿うというより、10年を俯瞰し、フラットに楽曲として並列したときに見えてくる流れを重視していたのではないかと思う。よく練られた曲順の中でも印象的だったのが、バンドが逡巡の時期を克服し、シンセを導入後のミニ・アルバム『Turns RED EP』からの「The Sun Sank」で聴ける80s感やメタルテイストが文字通り“フュージョン”された構成、楠本と武田のギターが奏でるまるで森や雨や風を想起させる初期ナンバー「Ripple Spread」、ピアノのシーケンスで一気に音の輝度が上がった「7day Cicada」などが演奏された中盤は、新旧どの楽曲も、まるで絵画や写真に対峙するような心地よい集中力を注げた。繰り返しになるが、これはやはり会場がライヴハウスとはまた違う自由度を持ってるからで、オーディエンスとしては実に楽しい経験だった。

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ここでひとつ武田のMCを紹介しよう。「昔、初めて200人ぐらい(のキャパ)で「Oct」やったんですけど、自分では「やった!決まった!」と思った、僕の目の前の女子に「え~?意味わかんなーい」って言われて。それから何枚もアルバムやシングルを出してきても、その「意味わかんない」はまだ頭にあって。今日、10年前のセットを始めにやってみて、自分のギターをコピーしてみたら「意味わかんない」と思った(笑)。だからどこまでも未完成。それをよしとしてるわけじゃないんですけど。もし今日、「意味わかんない」って言った人がここにいたら大感謝ですよ」と、核心を窺わせる発言に、ファンも大きな拍手(笑い込み)を送った。

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後半は、良くも悪しくもその後の彼らを縛ったであろう「これぞポストロック!」な「Ef」が、逡巡を一周した痛快さで、スリリングな抜き差しを体現し、畳み掛けるように山本(Dr)を中心にブレイク&ダッシュする「Image Game」で男子の野太い歓声を誘う。かと思えば、ユーフォリックな「arch」で祝祭感に浸され、本編最後のブロックでは複雑なビートを難なくクラップで盛り上げるファンも頼もしい「Pirates and Parakeets」、人力とエレクトロの高いレベルでの融合を果たした現在地を象徴する1曲「Subaru」で全21曲のステージは終了。見渡すと誰もが充実した笑顔でアンコールを求めている。

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ほどなく再登場した4人は、最後まで気を抜くことなく、この4人でしか鳴らし得ないアンサンブルを深く、しかしスタート時より解放された表情で演奏しきった。体験しなければわからない、自分の感情や肉体の反応がこれほど楽しいライヴがあるだろうか。次の10年も彼らが直感とスキルを磨き続けることを期待してやまない。

Text : Yuka Ishizumi
Photo : Saru




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