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LIVE REVIEW

COMEBACK MY DAUGHTERS "Edacious cheers Tour"

2011.10.1 (sat) @ Uguisudani TOKYO KINEMA CLUB, Tokyo

ライヴを観た翌日(10月2日)の朝9時、NHK日曜美術館でフランス画家「モーリス・ドニ」の特集をやっていた。「新しいものを探すのではなく、一生描き続けたいテーマを探した」と彼を評するナレーションが耳に残り、また美術評論家は「一目惚れではないんです。見るうちに引き込まれていくんです」と言っていた。ゴッホやピカソのような派手さはないかもしれない。クリーミーな色使いで日常生活に基づいたアンチーム(親密)な作品を描き続けた画家……、なぜか、昨日観たCOMEBACK MY DAUGHTERSと妙にリンクした。

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4枚目のフル・アルバム『OUTTA HERE』のレコ発ファイナルは、「すっげえいいとこだね!」とメンバー自ら絶賛するほど雰囲気のある会場、東京キネマ倶楽部でおこなわれた。大正ロマンの“洋館”的ムード漂う場内、向かって左には階段があり、その小ステージから一人ずつ登場し、半円形状のステージに5人が立った。厳かな鍵盤が流れ、高本の淡い歌声が乗ると、その後をメンバー全員参加のコーラスが追いかける。まるでゴスペルに似た神聖な空気が広がり、最新作の冒頭曲「Secret Castle」で幕開けした。軽快なリズムを刻む「Why」に移ると、観客は飛び跳ね、被っていたキャップが脱げるほどアコギを弾きまくる高本の姿を見て、「今のエモすぎるねー!」とCHUN2が笑いながらツッコミを入れていた。

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最新作の曲順通りに5曲目「Slow Down」まで進むと、バンドの演奏も激しくなり、モッシュ状態のフロアに小坂がダイヴする。それから緊張の糸は一気にほぐれ、熱くも和やかな時間が流れていく。中盤、深淵な音色でゆったり迫る鍵盤のイントロが印象的な「Carpenteria」ではリバーブをかけたCHUN2のギターも相まって、滋味豊かなメロディが心により一層染み入った。さらに、伸びやかで広がりのある高本の歌声が存分に味わえる「Lavender」~「Bored Rigid」の流れも実に良かった。その過熱した会場を見渡しながら、ふと天井を見上げると、誰も気付かないくらい小さなミラーボールが申し訳なさそうに回っている。キネマ倶楽部のそんなキュートな趣もバンドの色に合っているように思えた。

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後半になるにつれ、演奏は緊張感が増す一方で、曲間のMCはどんどんタガがハズれていく。小坂のロッキーの声マネ、レコーディングン先のNYのトイレをキッチン・ペーパーで詰まらせた高本のエピソード、「ママー!」(2階席でお母さん観覧)と奇声を発した戸川など、挙げればキリがないほどの脱線ネタの数々に、「楽屋みたいな雰囲気で感動もないかもしれないけど、よろしく!」とメンバー自らフォローを入れていたけれど、全くそんなことはなかった。前作『EXPerience』のツアー・ファイナル(渋谷AX)では照明などいろいろと仕込んで臨んだライヴの後にベーシストが脱退、そして、高本曰くワガママで誘うのをためらったという戸川を正式に迎え、最初は全く言葉を交わさなかった小坂と戸川が喋るようになり(←高本が泣けてきたポイントらしい)、初の全9ヵ所ワンマン・ツアーを通して、“いいバンドになった”としみじみと振り返る場面にはホロリときた。

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本編19曲をやり終え、アンコール4曲目のラスト・ソング「Oh Smoke Sister」では戸川がベースを持ったまま突如フロア内に降り、小坂、高本、CHUN2も悪ノリ的にそれに続く。メンバー4人が観客にもみくちゃにされながら演奏し、ステージで苦笑いしながらドラムを叩く中津川の姿……。「結局4枚アルバム作っても、オレたちこんな終わり方なんだね」と零す高本の表情はこの上なく幸せそうに見えた。


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音源はいわばバンドにとって表の顔である。ライヴではメンバー間でジャレ合ったり、ジーンとくる話をしたりと、裏の顔も全開で曝け出していた。しかし、そこに内輪ノリ的なムードはなく、むしろこの会場にいるすべての人が彼らのホームパーティーに招かれたような特別な気分を抱いたのではないだろうか。日常を忘れさせてくれる非日常的な音楽もいい。けれど、日常の延長線上に聴こえてくるCOMEBACK MY DAUGHTERSの音楽も貴重だと思う。いままでも、そして、これからも彼らは自分たちが鳴らしたい音を追求し続けることだろう。そのブレない姿勢と親しみやすい人間性が、音楽そのものに強力な輝きを与えていた。ああ、今後がさらに楽しみになってきた。

Text : Ryosuke Arakane
Photo : Tetsuya Yamakawa


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