ハイトーン・ヴォイスを駆使する男女ツイン・ヴォーカルで異彩を放つ、凛として時雨。彼らが5月13日にリリースした3rdアルバム『just A moment』は、ダイナミックなサウンドと変幻自在なアレンジ、そして音質へのこだわりに満ちた1枚となった。メジャー・デビュー後もDIY精神をつらぬく3人に、新作について話を聞いた。

Interview & Text : Reiko Tsuzura


■凛として時雨 インタヴュー

――凛として時雨には複雑な構成をもつ楽曲が多くありますが、曲を作るときは何をモチーフにすることが多いですか?

TK:
ギターのフレーズが多いですね。アレンジ方法はかなりアナログな感じで、僕がふたりにひとつずつ口頭で指示していくんです。「ここで音を止めるから、ここでドラムがはいって」とか、細かい作業を言葉で伝えていきます。


ピエール中野:
とはいっても詳しい指定のはいった譜面を渡されるわけじゃないので、そこでそれぞれが好きなことをやるというか。言われたとおりに再現する場合もあるし、自分で作っていく場合もあるので、「オマエはこう言うけどオレはこう叩きたいんだバカヤロー!」みたいなことはないです(笑)。


TK:
到達点がわからないまま、3人で音を出しながら探っていくこともけっこうあります。レコーディングと曲作りを一緒に進めてしまうので、僕に比べたら、ふたりはわけがわからずに作ってる感じだと思います(笑)。


345:
ひとつのリフから曲を作りはじめる場合は、どこがAメロかもわからないしね(笑)。


ピエール中野:
「これでいいの? これでいいの?」って言いながら、探っていく感じです。


TK:
で、気づけば曲ができてるという(笑)。


――到達点を定めずにアレンジを進めて、完成形の決め手となるのは?

TK:
明確なボーダーラインはないんですけど、時間が経つとわかることが多いかな。自分をフラットな状態に戻して、プレイバックを繰り返したときに、いちど掴んだ感覚を得ることができたら、構築の作業は終わります。


――なるほど。Kitajimaさんの頭の中には初めからイメージする音が鳴っていて、それをセッション兼レコーディングで形にしていくという流れなんですね。

TK:
そうですね。音色まで含めて曲作りしないと、僕はちょっと曲のイメージがわかないんです。いまは3人で表現したい音を自分が一番出せると思ってるので、レコーディングは曲作りの過程のひとつだと考えてます。ただ僕はエンジニアの学校に行ったわけじゃないし、いまだにマイクの向きを間違えてセッティングしたりもするし(笑)。作品を作っていくごとにいろいろ学んで、こういう音で時雨をパッケージしたいっていう理想に少しずつ近づいていってる感じです。


──メジャー・デビューすることで、レコーディング環境もかなり変わったと思いますが。

TK:
いや、録ってる場所がいつものリハーサル・スタジオだったりするんで、メジャーになっても変わらずにいけた感覚がありますね。そこからさらに「足りないものがあれば用意するから」とスタッフに言われて、大きなスタジオで録ってみたり、好きなエンジニアさんと一緒にやらせてもらったりと、プラスの部分もありつつ。


──それはいい環境ですね。さらに時雨はミックスまで自分たちで手がけていますが、とくに「seacret cm」はKitajimaさんがユニゾンで歌っているように聴こえて、ふしぎなミックスだなあと思いました。

TK:
あれはまったく同じ歌声をステレオのL/Rで振り分けて、タイムを少しずらしてるんです。左右で時間軸がずれて聴こえてくるので、音が立体的に聴こえるという仕組みです。


──おもしろいですねえ。そういうアイディアはどうやって思いつくんですか?

TK:
僕はプロのエンジニアではないので、マイクを立てる本数にしても、ミックスする回数にしても、実際の作業に関われる機会が圧倒的に少ないんですよね。だから自分がレコーディングするときに、なるべくいろんなことを試していこうという気持ちが強いんです。


──「思いついた、やってみよう!」という作業の連続なんですね。

TK:
そう、時雨は思いつきの集合体なんで(笑)。思いつきといえば「seacret cm」ではギターのチューニングを少し変えてみたんですよ。この曲はシンプルに聴こえるんですけど、じつはそういう突発的な思いつきによる仕掛けがたくさん詰まっていて、僕以外のふたりはレコーディング中、仕上がりの予想がまったくつかなかったと思います。


──ギターのチューニングがズレていたら、ベースの音を重ねるときに違和感を覚えそうですけど。

345:
というか、チューニングがズレてることを、いま知りました(笑)。


ピエール中野:
こういう取材の場で初めて知ることばっかりです、オレたちは(笑)。


345:
知らないし、聞かないしね(笑)。


──歌はどのように構築していくんですか?

TK:
歌に関してはけっこうフラットに考えていて、楽器の一部だと思ってますね。


──たとえば「JPOP Xfile」は345さんの叫ぶ"JPOP!"という言葉が強烈な印象を残しますが。

TK:
「コレにした意味はなんですか?」って聞かれても「とくに意味はないんですけど、これじゃなきゃダメなんです」っていう……なんでもいいようで、なんでもよくない感覚が時雨には多い気がします。


──言葉の意味というより、言葉の持つムードや響きが大事だったり。

TK:
そうそう。音を出した瞬間や、言葉を発したときに感じたもの。そういう感覚的にいいと思ったものを、どんどんつなげていく感じなので。


──確かに、なぜかはわからないんですけど、「JPOP Xfile」は345さんが"JPOP!"と叫んでることに意味があるんだと思います。

TK:
345は最初、歌うのをすごい嫌がってたんですけどね(笑)。


345:
だって、そのほかの歌詞はいっさいわからなくて、一番最初に出てきた言葉が"JPOP"だったから。いきなり「ここで"JPOP"って叫んで!」って言われたら嫌じゃないですか(笑)。


──ホントに歌も到達点を定めずに録ってるんですね(笑)。では中野さんと345さんは曲作りのとき、なにを指針に音を出していますか?

ピエール中野:
曲を作ってるときはギターをよく聴いてますね。ギターのリフに対して、どんなリズムをはめていこうかなっていうのはよく考えます。


──ギター・リフのすきまを埋めていくようなドラミングが多いですよね。

ピエール中野:
もともとそういうドラムが好きなんで、結果的にそうなってるんだと思う。リズムは変則的だけど、ひとつひとつのリズム・パターンはわりとすんなり決まりますね。


345:
私も曲を作ってるときは、ギターを聴きながら探っていく感じかな。


──そのせいか、ニュー・アルバム『just A moment』では歌とギターのメロディが際だったリリカルな曲が多いなと感じました。

TK:
そこは今回、とくに意識してなくて。じつは「JPOP Xfile」をはじめ、いくつかの曲は何年か前に作ったんですよ。だからアルバムとして10曲を集めて、全体的にメロディが際だって聴こえてくるというのは、逆に不思議な感じがしますね。


──目的地を定めずに作った時雨の"いま"が『just A moment』だとすれば、まだまだこれから変化がありそうですね。

TK:
あるかもしれない。ドラムが打ち込みになったりして(笑)。


345:
ライヴは当て振りになったりしてね(笑)。


ピエール中野:
ははははは! そうなったら俺ダンサーになる!! メンバーも増やそう!!!




■Present!!
凛として時雨メンバーの直筆サイン入りNew Audiogram Tシャツ(グレー:Youth-Lサイズ&グリーン:Lサイズ)を抽選で2名様にプレゼントします。ご希望の方は下記のリンクから ・住所 ・お名前 ・年齢 ・電話番号・この記事やNew Audiogram全体についての感想を記入の上、メールをお送りください。
締め切り:6月15日


グレーをご希望の方の
ご応募はコチラから

(メーラーが起動します)
応募は締め切りました
グリーンをご希望の方の
ご応募はコチラから

(メーラーが起動します)
応募は締め切りました

注)New AudiogramのMOBILEニュースメールに登録したメールアドレスからご応募ください。まだMOBILEニュースメールに登録していない方は下記よりMOBILEニュースメールに登録してから、ご応募ください。登録されていないメールアドレスで応募されますと、自動的にメールニュースに登録されますのでご了承ください。
MOBILEニュースメール配信登録
※syncthings.comからのメールを受信できるよう設定してから、空メールを送信してください。



■□無料着うたフル□■
トクするi-MUSICはコチラ♪