問答無用のパワーを誇る奔放なライヴ・パフォーマンスと、ディスコなプロダクションで破竹の進撃を続けるthe telephones。EMI Music Japanとの成婚第2弾となるアルバム『DANCE FLOOR MONSTERS』は、バンドの攻撃的なスタイルがより生々しくストレートに映し出されている(ちなみに第1弾アイテムは「テレフォンズのテレフォンカード」)。しかし同時に4人は、ポストパンクやガレージ、ロッキンなエレクトロ、マンチェからレイヴィーなニューウェイヴまで多様かつクレヴァーな音楽的バックグラウンドの深さをも共有する。決してコンセプチュアルでなく、むしろ憎めないキャラとバンドの熱量でこうした離れ業をやってのけてしまうのがthe telephonesのthe telephonesたるすごさのゆえんであろう。

Interview & Text : Kenji Komai
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)


■the telephones インタヴュー

──アルバムができて、今どんな気持ちですか?

石毛輝 (Vo,G,Syn):
無理に背伸びをしていないし、なおかつ今まででいちばんクオリティの高い、ようやく「これがthe telephonesです」って言えるようになったアルバムなので、すごい充実感がありますね。


──背伸びをしていないっていうのは?

石毛:
僕はすごくリスナー体質で、まめに海外の動向もチェックしてよく新譜を聴きますし、クラブにも行くようにしているんです。今まではそれをもとに"これをやるべきだ"というのを考えていたんですけれど、今回はとりあえずそういうのを一度置いておいて、いちばんthe telephonesっぽいことをやろうと思って作れた。"日本人でこういう音楽をやっています"って、すごくシンプルなところに行き着いたという感じがします。


──そうした意志というのは、ここ最近の活動の流れのなかで生まれてきたんですか?

石毛:
あぁ、僕的には去年1年のいきなりの支持のされ方にいまだにびっくりしているんです……。フェスティヴァルにも出させてもらって、ものすごい緊張の渦のなかずっとやってたんですけれど、そのフェスが終わって、今年の春に自分たちのツアーをやって、どこもお客さんがいっぱい入って"待ってました!"みたいな感じでいてくれた。それは嬉しいんですけど、すごいプレッシャーにもなって。でもそのプレッシャーにも打ち勝てた自信かな。そこで小細工なんかいらないっていう気持ちになったんですかね。


松本誠治 (Dr):
素直っていう単語のほうがしっくりくると思うんです。"これをやらなきゃな"という強制じゃなく、できることだけをやるっていうことでもなくて、自分たちの性格も含めて、なんでも自分でやれること、やりたいこと、興味があることを着実にできたとナチュラルに思えるようになった、精神的な成長がいちばん大きいかなと思います。


岡本伸明 (Syn,Cowbell,Cho):
それに、この4人のフィーリングやパッションが本能的に近づいたんじゃないかというイメージがあります。


──確かに音の質感としても、前作の『Love&DISCO E.P.』あたりからより太くなっている印象があります。

石毛:
そうですね、タフになっていると思います。たぶん今までは技術的にそういう音が出なかったこともあった。今回は各個人の楽器の演奏レベルも上がったので、ひとつの曲になったというか……ダメですかね?


──(笑)。いやいや! 納得です。それはやっぱりライヴで鍛えられたこと?

石毛:
ツアーがいちばん大きかった。ライヴができることがまず嬉しいことだし、ステージに出てしまえばおバカなパーティ野郎なので、ワッショーイ! ってやって帰るだけで、それはどんなシチュエーションでも、たとえ海外でもその姿勢は変わらないと思います。それに、すごい広いところでやることも増えたので、大勢の人と共有する音楽の力というのはすげえなあと。でもそれをようやく実感できるようになったのが今年で、去年までは僕らがお客さんをアジテートしなきゃいけないのに、逆にお客さんにアジテートされていたみたいな感じだった。だからそういう経験も作品に反映されて、今回がいちばんライヴのエネルギーがちゃんと盤に入れられた気がします。それが最終的にアルバムのテーマにもなりましたね。


──では、当初はそういう狙いでもなかった?

石毛:
最初はEMIから出すということも考えず、単純にキャリアとして次のアルバムを作るなら、と考えていただけでした。僕、曲作るぐらいしか趣味がないので……。それに、僕としてはすごいインディ・ポップ・アルバムを作ろうと勝手に思っていたんです。TILLY AND THE WALLとかBLACK KIDSのような。でもそのインディっぽいことをやることは、僕らにとっては幅を広げることになるんですよ。今回は、いきなり間口を広げてしまうよりも、僕らのいちばん濃度の濃いところをボンと出したほうが世間的にもわかってもらえる気がして、途中から、これ違うなと(笑)、ロックしようぜ!と思って。DEF LEPPARDも言ってましたよね、「レッツ・ゲット・ロック!」と(一同笑)。


──デビューのころから、the telephonesの楽曲って1曲に込められた音の情報力や密度って尋常じゃなかったと思うんです。そこから、今回の曲はぐっと的が絞れてきているような気がします。

石毛:
昔は曲を作る段階から、このバンドのこういう部分を使おうとかいろいろ考えた結果、ああいう曲になっていたんです。けれど今はそういうことをやるのがすごくダサく感じちゃっていて。僕の場合、それをやっていくとどんどんエレクトロに寄っていく傾向にあるんですね。今は、ロックって言ってもエレクトロが当たり前で、新しいバンドだとPASSION PITとかEMPIRE OF THE SUNとか、MGMTの系譜にある超ドリーミーでサイケデリックな感じがロックのスタンダードになっているじゃないですか。僕もそういう音楽が好きですごくやりたいなと思うんですけど、まずそんなに機材がねーよって(一同笑)。それもあるし、今の、クールにやればやるほど、澄ましてればかっこいいっていう風潮が嫌いなんです。僕は、エモーションがあればあるほどロックっていいなと思うので、より生の方向にいったんだと思いますね。シンセが主体のそういうバンドってあんまりライヴがかっこよくないイメージもあるし、岡本の動きが縛られるのもいやだし。今、the telephonesでやるなら、それに対するカウンターとして、すごくシンプルなロックで、どれだけ俺らのオルタナとかニューウェイヴな感じを出せるのかと。それもあって、今回のアルバムはいちばん曲が良くなったんじゃないかなと思います。


──ダンス・ミュージックの良いところも確認しつつ、かっこよすぎるのはアウトだと。

石毛:
今回のアルバムはPRIMAL SCREAMをやろうとしたところもあるんです。『SCREAMADELICA 』の後から、『XTRMNTR』までの音。エレクトロの方向というよりは、その時代のマンチェスターの音に近いことをやろうとしましたね。HAPPY MONDAYSみたいな生音のグルーヴを出したくて、結果的にそうはならなくて、どちらかというとアメリカに寄ってしまったという気はするんですけど、それはそれで良かった。日本人独自のいいとこどりの感じが出ていて、すごいおもしろいなと思うんです。


──今のthe telephonesのなかでは、そんなふうに石毛さんがある程度アイディアを持ってきて、それをバンドでプレイしてみて作るという曲作りのスタイルがいちばんしっくりきているんですか?

長島涼平 (B,Cho):
たぶんそういうやり方が当たり前になってきているんです。


石毛:
それは僕がジャイアンだということもあるんですけど(笑)。こういう曲があったら良さそうと頭のなかで作ってしまうので、逆にリフだけあってそこから組み立てていくというのは難しいかもしれないですね。


──そうしたプロセスながらも、『DANCE FLOOR MONSTERS』には一丸となった豪快なバンド感が出ているというのがおもしろいですよね。

石毛:
4人が4人、ようやくthe telephonesというのを理解してくれたのかなと。気持ち的なところが大きいんじゃないですかね。どうですか?


松本:
そういうところはあるんじゃないかと思います。メンバーそれぞれのツボを考えて石毛も曲を持ってきていると思うので、そこから僕らが読み取るのが基本で、その呼吸が合ってきているんじゃないかなという気がします。


石毛:
単純に、僕ら4人仲がいいので、その仲の良さが音にも出てきたのかなって(一同笑)。人間先行だったので。ようやく音でも仲良くなれたというのはあるかもしれないですね。




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