日本武道館、さらに幕張メッセなどの日本屈指の大会場へ、今やワンマン・ライヴで堂々進出。会場の規模にまったくもってひけをとらない大スケールな音像を展開し、音楽ファンに感動を与えているACIDMANが、待望のニュー・アルバム『A beautiful greed』をついに完成させた。激しさや高揚感というロックの醍醐味を失わずに、より広い層のリスナーへもアピールする世界観を開拓している彼らの世界観は、果たしてどんなふうに生まれるのか。ACIDMANサウンドの進化の軌跡と、目指すべき理想をじっくり聞いた。

Interview & Text : Toshitomo Domei
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)


■ACIDMAN インタヴュー

──サウンドにしても楽曲のテイストにしても、またさらに広がりを見せてるなっていうのがまず強烈な第一印象でした。

大木伸夫 (Vo,G) :
うん、そうですね。曲作りでもそうだし、歌詞もそうだし、まだまだ出し切れていない部分をもっともっと搾り出したいなっていうのがすごくあって。へんな例えかもしれないけど……今までが、攻めるにしても、まずは相手の攻撃を待って見極めてから自分も攻撃するようなスタイルだったとしたら、裸でこん棒を持って、ワーッてやってるような(笑)。原始人じゃないけど。


浦山一悟 (Dr) :
野生だ。


大木 :
野生だね(笑)。なんかそういう、良い意味でむさぼるような感じで、いろんなことがやりたくて。だから、音の詰めかたにしても今まで以上にシビアにやっていったし。


浦山 :
ドラムも、大木が描いた世界観をしっかり表現するにあたって、妥協しないで、時間を相当かけましたね。ベースとギターを入れる段階に行くまで、もう延々……。


大木 :
「CARVE WITH THE SENSE」とか、時間かかったね! 10何時間……。


佐藤雅俊 (B) :
ドラム録りだけでね。すごかった!


──「CARVE WITH THE SENSE」は、アルバムの中でも激しい部類に入る曲ですね。その激しさとか、鋭さを出すために多大な時間をかけて。

大木 :
そうですね。その鋭さとか、タイトルにもある"刻む (CARVE)"感じが……。音がしっかり刻めてないと、この曲は成り立たなくて。“スパンッ!"としたものにしてくれって、頑張ってもらいました。


佐藤 :
そのドラムの上にベースとギターがあって、最後に歌があって。それがすべてハマらないと、聴き手を抉れないんですよ。


浦山 :
土台ですからね。ドラムっていう土台がしっかりしないと、そこが出せない。


──という、聴き手を抉る攻撃的な曲あり、厳かな曲ありインストあり……。サウンドのアプローチは、本当に多彩で。

大木 :
はい。そのインスト、「ucess」はドラムが打ち込みだったりして。録った音をさらに細かく直していった曲もあれば、一発に近い感じで録った曲もあるんですよ。


佐藤 :
「Under the rain」とか「HUM」とかは、たしかそうだね。一発に近い。


浦山 :
うん。「I stand free」とか……。


大木 :
「OVER」もそうかな。


佐藤 :
そのへんはもう本当に、バンド全体の体感リズムとか、みんなが一緒に感じてるものの良さが出てる曲なんじゃないかな。


──その録り方は、ACIDMAN的にはもうすっかりなじんでるやりかたなんですか?

大木 :
最初はずっとそうやってたんですよ。初期のころはプロトゥールスとかもずっと使わずに、本当にもう一発録りで。だから、今聴くとめちゃくちゃへたくそなんだけど……。エネルギーはすごく出てるんですよね。それを今は、ちゃんと地に足つけて出したいと思ってるんで、お互いのことをとことんまで分かってないとダメだし。リズムのこともギターも歌も、細かいとこまで分かったうえで緻密にやったり、また逆に、あえて一発録りでやったり。そういうふうに選べるようになっていくことが、今の目標というか。


──オープニングの「A beautiful greed」はピアノ、ラストの「OVER」はストリングスとのアンサンブルが、叙情感みたいなものをすごくよく演出していて。こういうバンドサウンド以外のものの導入は、初期の一発撮りの楽曲にはなかったアプローチというか。

佐藤 :
曲が良く録れるならいいんですよね。今はもう、本当に。曲を良いものとして伝える、そこだけに集中するっていうベクトルにどんどん向いてるなって、今はすごい感じますね。本当に届けたいのは歌であり、歌詩であるメッセージであり、それを表現する曲であり……。そのためだったら、余計なことはべつに何も気にしないっていう意識で。


浦山 :
だから、音作りがどんどんどんシビアになっていくっていう。たったひとつの音が遅かったりするだけでも、歌の流れを一気に止めちゃったりするんで。


大木 :
ピアノにしても弦にしても、もともとは、電気を使わずに楽器で空気を振動させるもので。クラシックはまさにそういう音楽だと思うんですけど、俺、最近そういうのもすごく好きで。人間の原子だったり、素粒子だったり……。そのすべてに、影響を直で与える楽器だと思うんですよね。今、たまたま俺らは電気を使った楽器で音楽をやってるけど、そういう響きもすごく重要じゃないかなって。最初のころは、絶対に3つの音だけ、重ねるギターも裏声もほとんど使わないとかへんにこだわってたんですけど……。そんなのはちっちゃなことなんだっていうことに気づいて。


佐藤 :
曲を表現するうえでそれが必要なら、全然やればいいし。でも逆に、弦にしても鍵盤にしても何が入っても、俺ら3人の基盤の音がしっかりとあれば、っていう。


──どんな演出を使っても、その芯になる演奏が強力じゃないと意味がないし。それはもう、バンドとしてのアイデンティティで。

大木 :
そう。芯がブレなきゃある意味何でもありっていう考えかたですね、今は。


──そういうふうに考え方が変わってきたのは、より広いリスナーに訴えかけたいっていう気持ちがあってのこと、というか?

大木 :
ありますね!それはもう、めちゃめちゃあります。基本は、自分自身に素直で、まっすぐで、スジが通ってる……。自分の心が震えるものを作って、それが何も形を変えることなくいろんな人たちに届くことがベストですよね。ロック・シーンだとかいろんなものが俺らの周りにはもちろんあるわけですけど、とはいえ、俺らがやっているのは"音楽"だし。他のどんなものともフィールドは一緒だから、誰に聴いてもらっても全然いいんです。ただ……カラオケで歌って気持ちいいっていうものだけじゃない音楽もあるんだよっていうこととかは、もっと伝えなきゃいけない。それもいろいろなものの中の一部として存在してもちろんいいけど、もっともっと"本気"が伝わるような音楽をやらなきゃいけないっていうのは、ずっと感じてます。


──ACIDMANも、そのためにもさらにスケールアップできたらいいですね。心が震える、感動を与える音楽のひとつとして。

佐藤 :
そうですね! もう、ジャンルとか関係ないですよ。相手は、全人類で(笑)。でも実際、今も幅は結構広いんですよ。ライヴのアンケートを読んだりすると、"娘が聴いてるのを私も聴いてファンになって今日は親子で来ました"みたいなものがあったり。


──へえぇ〜っ! それは良い話ですね。心震える感覚が、世代を超えて伝わってる。

浦山 :
頑張ります! それをもっと広げられるように、これからも。




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