2006年9月に"スクリーモ最終型"として、南カリフォルニアのオレンジ・カウンティからデビューしたSAOSIN。感情の振幅をそのまま表すかのようなCove Reberのハイトーン・ヴォイスと、ダイナミックでドラマチックなサウンド展開で日本でも高い人気を呼んでいる。今年のSUMMER SONICでも圧倒的なパフォーマンスを見せつけたSAOSINが約2年半ぶりとなるアルバム『IN SEARCH OF SOLID GROUND』をリリース。さらなるスケール感を伴った新作について、ヴォーカルのCove ReberとベースのChris Sorensonに話を聞いた。

Interview & Text : Akihiko Okabe


■SAOSIN インタヴュー

──今、ワープト・ツアーの真っ最中だよね。調子はどう?

Chris :
ワープト・ツアーは最高のサマー・ツアーだけど、かなりハードでもある。天候が急変したり、朝早いステージだったり、時にはステージ上で頭にくることもある。でも、俺たちは最高の時間を過ごしているよ。


──SAOSINはいつもツアーで世界各地を回っているイメージがあるんだけど、昨年の後半はいつもよりセーブしていた?

Chris :
うん、セルフ・タイトル(のデビュー・アルバム)をリリースしてから、約3年が経った。だから何か新曲を出すタイミングだと感じた。それでほぼ1年をソング・ライティング、レコーディング、リ・レコーディングで過ごし、今回の『IN SEARCH OF SOLID GROUND』という形にして終えたんだ。


──オフはどういう方法でリフレッシュしてるの? オフも音楽漬け?

Chris :
うん、音楽はいつだって俺たちが本当に楽しめるものさ。数日前、ジョージア州アトランタで1日オフがあったんで、TOOLのライヴを観に行ったよ。マジでスゴかった。


──最近は聴いているのは?

Chris :
俺はJENIFEREVERやJEFF BUCKLEY、DEFTONESや日本のバンドをたくさん聴いてる。MONOとENVYも好きだ。こういうバンドを聴いて成長したし、今もなおインスパイアされているんだ。


──以前、Chrisは「ライヴで演奏するために曲を作ってるんだ」と言ってたけれど、曲作りするうえでもライヴ映えするものを意識しているのかな?

Chris :
というか、ライヴでもその曲が持つエネルギーをきちんと伝えるべきだと意識しているんだ。俺たちはライヴが大好きで、単純に単音を重ねるだけじゃなく調子良くエネルギッシュなものにしたいのさ。


──レコーディングの模様をライヴ・ストリーミングで全世界に発信したのは、いいものを見せられるという自信があったから?

Chris :
クリエイティヴな過程を世界じゅうの人に見せたかったんだ。スタジオに入ったことがない人たちには、覆い隠されているミステリーみたいなものだから。


──曲のほとんどはHURLEYのスタジオでセッションすることによって練り上げたもの?

Chris :
俺達は曲の大半をHURLEYのスタジオで書いた。それから複数のプロデューサーと作業をして、5曲はセルフ・プロデュースでレコードを完成させた。いい経験になったよ。


──今回はプロデュースのみならず、ミックスまで自分たちが手がけているよね。自分たちが納得のいくものを追い求めた結果、そうなったのかな?

Chris :
イエス。あるトラックを何人かのミキサーに送ったんだけど、Beau (Burchell)のミックスがベストだってことに落ち着いたんだ。Beauは本当に素晴らしいエンジニアで、"正式な"リリースに、やっと彼の力を活用できたのは良かったよ。


──自分たちでプロデュースできるんだという自信もついた?

Chris :
いいプロデューサーは、レコードの決定的な要素になりうるけれど、俺たちの場合はアルバム収録曲の何曲かを自分たちでプロデュースすることが最善だったんだ。


──共同プロデューサーにButch WalkerとJohn Feldmanを起用した理由は?

Chris :
俺たちはSOUTHGANG時代からソロ・ワークまで、ずっとButch Walkerのファンだったから。ロックとメタルをルーツに持つポップ・プロデューサーっていうアイディアが気に入ってた。John Feldmanのプロデュース・ワークはスゴくユニークなサウンドだったし、数年前から友だちだったし。彼らから多くのことを学んだけど、同時に何曲かでは自分たちでやれる能力があるってことをしっかりと学習したね。


──リード・トラックとなる「CHANGING」は今までにないタイプの曲だと思うんだけど、クレジットにあるLucas Bankerはどういう人なの?

Chris :
この曲を書いたライターのひとり。俺たちがこれまでにトライしなかったスタイルの曲で、書き上げるまでは自分たち自身が気に入るかどうかもわからなかった。でも、メンバー間での反応がかなり良かったから"何でダメなんだ?"って言うことになった。ファンのリアクションも同じであることを願うよ。深い曲なんだ。


──アルバム全体はよりドラマティックに、よりダイナミックに、よりメランコリックにという印象を受けたんだけど、それらに付け加えるとしたら?

Chris :
君は実にうまくまとめてくれたと思うよ。楽曲は前作よりずっとダークになったけど、意図的なものじゃないんだ。曲を書いたその時の流れのままさ。俺たちはこのレコードで、単純に俺たちの"サウンド"を創り出して、それをほんの少しだけ強調したかったんだ。


──自分たちなりののテーマやコンセプトは?

Chris :
タイトルがすべてを物語っている。"IN SEARCH OF SOLID GROUND"、つまり自分がどこにいるかわからなくて、自分が何をしているのかもわかっていない。そしてもっと重要なことは、自分がこれからどこへ行くのか (も理解していない)。セイオシンは、全員で座ってこのレコードの曲を書こうとしたときに、何も確信するものがなかった。それは怖かったし、同時にエキサイティングなことでもあった。俺たちはこのレコードでいろいろと違うことを試した。なぜならば自分たちが何をやっているかわかっていなかったからで、だからこそできたんだと思う。


──アルバムの最初から最後まで大きなうねりのなかに巻き込まれていくような感覚があったんだけど、SAOSINのライヴにも同じことが言えるよね。

Chris :
このアルバムは実にいい感じに流れていると思う。それに、ここにはすべての人にとっての何かがある。日本に戻って、フルセットでプレイしたいよ。そうすれば、経験のすべてを"ライヴ"で伝えることができるから。それに、セットに込めるオリジナルかつヴィジュアルなアイディアを実際に見せられるし。次行くときは (イヴェントではなく)通常のプロダクションでやれることを願ってる。だって、俺たちのベーシックなクラブ・ショウは日本でもスゴく良かったからね。


──自分たちのなかで新境地だと思う曲は?

Chris :
『THE ALARMING SOUND OF A STILL SMALL VOICE』はとてもユニークな響きの曲だと思う。ヴォーカル録りをやっていたときはマイケル・ジャクソンの初期のレコーディングに影響を受けてたし、 ELLIOTTみたいなバンドや昔のブルーズ・ギター・プレイにも影響されてた。俺たちにとっては音楽的な挑戦の楽曲だったし、何かもう恐るべきことだったね。


──プレイするうえで心がけたことは?

Chris :
アルバムのサウンドがユニークなものになるように心がけた。SAOSIN"サウンド"から離れるってことじゃなくね。


Cove :
自分はもっと正直になることを心がけてた。前のアルバムは、新作より明らかにぼんやりとして漠然としたものだった。思うに、自分自身に正直になることを知らなかったからだと。だから、正直になること、誠実になることは俺がこのレコードの歌詞を書く時に一番心がけたことだよ。


──歌詞はよりパーソナルなものになってるけど、これらは実体験に基づいたものなの?

Cove :
歌詞の多くは、過去3年間の実体験に基づいている。バンドのみんなは、自分自身を (歌詞で)表現するという自由をかなり与えてくれるし、このレコードを作るうえで感じたのは、メンバーの誰をもがっかりさせなかったということ。このレコードは自分にとって、とても個人的なものなんだ。


──歌詞のなかには君と僕が存在するけど、それは男女の関係だけでなく、何かに置き換えたものだったりするのかな?

Cove :
このバンドで過ごした5年間に起きた変化はものすごかった。個人的な人生だけじゃなく、バンド内での人間関係でもいろいろと大変な時期を過ごしてきた。リスナーに届く曲の多くは、2人の間での内容に聴こえるかもしれない。でも、この2人の人間は多くの時間を過ごした僕自身の分身でもある。多くの人がこのレコード、自分の歌詞に共感できると思う。とてもパーソナルだし、みんなが自分たちにとってのパーソナルな歌詞だと捉えてくれることを願っている。

──今回のアルバムを象徴している曲はどれだと思う?

Chris :
「FIREFLIES (LIGHT MESSENGERS)」か「ON MY OWN」が象徴的なんじゃないかな。「FIREFLIES」の"輝き続けて小さな蛍"という歌詞は、何事もうまくいかないように見えるときでも希望を持ち続けるということを歌ってるんだ。




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