エレクトロ、ハウス、ヒップホップ、ロックを縦横無尽にクラッシュさせる2ピースDJバンド、DEXPISTOLS。彼らのレーベルであるROC TRAX、そして日本のストリート・シーンの鼓動を伝えるコンピレーション第三弾『LESSON.06 "ROC TRAX JAM"』が完成した。ロックの初期衝動をも呑み込んだグルーヴがROC TRAXというフィルターを通して、全世界へと発信されていく。DEXPISTOLSが目指すところ、そして1stアルバムを同時リリースした M.S.K.、この後にアルバム・リリースが控えているMYSS、TAAR、GALBITCHらROC TRAXのファミリーたちの魅力をDJ DARUMAとDJ MAARが語ってくれた。

Interview & Text : Keisuke Tsuchiya
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)


■DEXPISTOLS インタヴュー

──まずはROC TRAXクルーのボスである、DEXPISTOLSの自己紹介からお願いします。

DJ DARUMA :
DEXPISTOLSはDJ活動および作品リリースをしてるユニットで、今回自分たちの運営するROC TRAXのコンピ『LESSON.06 "ROC TRAX JAM"』をリリースしました。


──ROC TRAXをレーベルとして本格始動させたきっかけは?

DJ DARUMA :
前回メジャーで『ROC TRAX presents LESSON.05 "SATURDAYS"』を出して、今回もいろいろなとこからお話をいただいたんですけど、やりたいこととのバランスが取れるとこがなくて。やっぱり、 DEXだけじゃなくレーベル丸ごとってなると難しいんですよね。それならインディって立ち位置で、自分で動かした方がいいんじゃないかって思ったんです。


DJ MAAR :
やっぱり、できたものを新鮮なうちに出したいんです。フットワーク軽く自分たちの手の届く範囲で管理したいってことでは、インディが今の自分たちのやりたいことが一番やれる状況かなって。今後、シングル、アルバムもいろいろ出したいし、オレらがプロデュースする作品も出していきたいので。


──では、ROC TRAXクルーのオリジナル音源集の2作目になる新作『LESSON.06 "ROC TRAX JAM"』について話を聞かせてください。

DJ DARUMA :
前回は『"SATURDAYS"』、土曜日ってコンセプトが先にあってそれぞれ曲を作っていったんです。でも今回は、みんなが出したいものを持ち寄ったコンピだし、ある意味ジャムセッション的な感じもして『"ROC TRAX JAM"』ってタイトルにしたんです。あと(90年前後に)流行ってたJAMって単語を今もう一度使いたくて。それが結果的に新作のコンセプトになったかなって思ってます。


──ROC TRAXのアーティストと新作の楽曲に触れていきましょう。まずはDEXの新曲3曲について。前よりもアーリー90's感が出てる感じがありますね。

DJ MAAR :
DJをやるときは年代関係なく、常にそのとき面白いと思うものかけてるから、楽曲も今オレらが面白いと思うものをアウトプットしたって感じなんです。とはいえ元々ハウス好きだったし、最近のハウス・リヴァイヴァルはいいなと思うのでその影響も受けつつ、自分たちなりに昇華した楽曲って感じですね。


──クラブ・シーンでの90'sリヴァイヴァル感はありますよね。でもトラックを作ってる人はまだ少ないかも。もしかしたらこれから増えてくるのかなって。

DJ DARUMA :
Beatport(ダンスミュージックのダウンロードサイト)ですごく散らばってるのを集めてて、その感じが今一番楽しいんですよ。80年代後半から90年代初期のハウスって、僕ら世代はすごく影響受けたんです。なおかつ今の子にもフレッシュだと思う。ハウス・ブームがここからどう発展するのか分からないけど、僕は伸びてほしいなと。


──ラフ感や何じゃこれは? 感もあるし、改めて聴くとカッコいいんですよね。

DJ DARUMA :
まさに。やっぱりちょっと前のエレクトロのときはアンセムが多かった。 JUSTICEやKLAXONSがかかって盛りあがるって感じだったけど、今はアンセムありきじゃなくてもっとフィジカルな部分に訴えかける楽曲が多いので、それがDJしててもワクワクしますね。


──次は、ファーストアルバム『MASK MASK MASK』を同時リリースするM.S.K.。

DJ MAAR :
オレの中学からの同級生で、昔一緒にDJや曲作りもしてて、お互い似たような挫折をくらったりしてきた仲なんです(笑)。M.S.K.は、日本で初めてフランスのInstitubesからリリースしたアーティストでもあり、ROC TRAXではエンジニアとして、テクニカルな面を見てもらってます。レーベル初のアルバム・アーティストにもなるけど、『MASK MASK MASK』はそれにふさわしい内容ですね。スキルもすごいし、世界に出しても引けを取らない内容です。本人のキャラは相当変わり者だけど(笑)。


──MFSBの「K-JEE」のカヴァーは懐かしくもあり、若い人には新鮮だろうなと。あとアルバムに収録の「SIDE STORY」は、2008年にBeatportのエレクトロニカ部門で10位に入ってたんですね。

DJ DARUMA :
そうなんです。TIGAのチャートに3位に入ったのものあって。


──(笑)。では、ヴォーカルのループが印象的なアップ・チューン「OIL MONEY」のTAAR。

DJ MAAR :
ひと回り下のオレの弟なんです。イギリスに留学して向うのシーンの影響もガッツリくらって最近帰ってきて。元々バンドで曲を作ってたけど、最近は打ち込みもやるようになって、聴かせてもらったら意外とカッコよかったんでこのコンピで初登場させました。


──次は、ダークめでグイグイ突き進むような「LUFTWAFFE」のGALBITCH。

DJ DARUMA :
彼らしいダークなトラックですね。僕好きです。


DJ MAAR :
彼本来好きな世界観をやってますね。DJや曲のスキルもあるし注目してます。今年はさらにヤバいDJになってくると思いますね。


──続いては、アコーディオンと跳ねたビート感が絶妙な「FLY HIGH」を披露するGAINES & Mr.Q。

DJ DARUMA :
GAINESはKIBOOとKOBOOの双子ユニット。で、Mr.Qはラッパ我リヤのQくんなんです。ラップのスキルを活かしたカッコいいトラックだなって。


──次はガシガシでレイヴィーな音を聴かせるMYSS。

DJ DARUMA :
今年卒業だけど美大生の2人組。元々僕らがDJしてたときに曲を渡してくれたんです。音源もらうことは多いけど、渡されたときの感じって結構重要で。ただ色気の無い不織布に入ったCD-Rを渡されるより、そこでのアピールも欲しいと常々思ってるんです。彼らはロゴを手書きしてていいなと思って。で、MySpaceを見たらトップページもちゃんとしてたんです。曲もいいし、ウチでやらない? って話してからやっと2年越しで形になりました。次に、単体でアルバムを出す予定です。彼らは爆発する可能性も秘めてるかなと思ってます。


──では、キラキラした爽快なメロディの光る「ATMOSPHERE」のDJ YAN。

DJ DARUMA :
ハウス・ダンス界で有名な伝説のROOTSっていうチームがあって、彼はその1 人なんです。DJもやり始めて、渋谷のLA FABRIQUEで僕も一緒にDJやってたんです。制作もやってるので、もちろん一緒にやろうと。日曜の昼間みたいなさわやかないい感じの曲です。


──最後は、ヴォコーダーの入ったディスコ / ブギー感のある「LDS」のBAZZ。

DJ MAAR :
若いDJで話題になってて、オレもミックスを何個かダウンロードして聴いたらカッコよかった。でも会ったらモロ普通のヤツで、音とのギャップが面白くて(笑)。で、送ってきた曲またカッコよかった。それが「LDS」だったんです。 DJ聴いてても訳の分からないヤバさもあるし、新世代だなって思いますね。


DJ DARUMA :
90年生まれの20歳のニュー・ジェネレーションが来たなって(笑)。オレら世代とは確実にDJの考え方、感覚が違うんですよ。それが面白い。ハウス・クラシック、ディスコネタが新しく感じるみたいですね。僕らの持ってる90年代って強みだけど、それを知らない強さを彼やTAARからは感じますね。


──では、新作コンピができあがって、どんな感想を抱きましたか。

DJ DARUMA :
前回、何もないとこに蒔いた種がちゃんと芽が出たなって成長を感じるし、すごく気に入ってます。


DJ MAAR :
レーベル第1弾として、これから面白いことをやれる余韻を残しつつ、初期衝動的な勢いのある、今表現できるものがナチュラルに作れたなって思ってますね。


──では、ROC TRAXの主宰者として、DEXPISTOLSとして、これからどんなとこを目指していきたいですか。

DJ MAAR :
レーベルとしてコンスタントにリリースを続けて、エレクトロってムーヴメントでちょっと大きくなった日本のダンス・ミュージックのシーンをいろんな意味で定着させたいんです。海外から情報は入ってくるけど、でも日本と海外のシーンって音楽って、まったく違う。そういう意味では、オレらもっとやらなきゃいけないことも増えてきたと思っていて。


DJ DARUMA :
とにかく次に繋げていくことと、自分たちで切り開いていくってことですね。上の世代のDJから僕らが出てくるまで10年かかった。自分たちは、風穴を開けたと思うんです。日本各地にいいDJがいるし、これからは下の世代を、開けた穴から早く上に行こうぜって連れてくような作業をしていかなきゃって。それで20歳の子がFUJI ROCKのステージに立つ日が来たらいいなって。そのためにも、まずはROC TRAXのクルーが楽曲もDJもがんばると。で、これくらいならオレもできるって人が出てきたらうれしいですね。そうやってシーンが大きくなっていけばなと思ってます。




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