本日、10月27日、いよいよ磯部正文のフル・アルバム『SIGN IN TO DISOBEY 』が世に放たれた! 初のソロ名義でのアルバムであり、盟友ヒダカトオルをプロデュースに迎え、會田茂一、田渕ひさ子、恒岡章、伊地知潔、柏倉隆史らこの国が誇る強力ミュージシャンたちを多数サポートに加え、盤石の布陣で制作された本作。身も蓋もない言い方かもしれないが、本作はめちゃくちゃ最高だ。1曲目の「Sound in the glow」を耳にした途端、思わず拳を握り、体を揺らさずにはいられない。そう、胸がウズウズして、無性に走り出したくなる。これぞ磯部正文! そんな極上のキラー・チューンがズラリと11曲。正直、あっという間に聴き終わってしまうだろう。でも何度でも何度でも聴けばいい。こんなにも元気の出るアルバムはそうそうない! というわけで、さっそくだが、この素晴らしい作品を作り上げた磯部正文による最新インタヴューをここにお届けしよう!!


Interview : Ryosuke Arakane
Photo : Kazuma Horiguchi


■磯部正文 『SIGN IN TO DISOBEY』 インタヴュー

──今年7月14日に行われた初ソロ・ライヴ(新代田FEVER)は盛り上がりも凄かったですけど、内容も非常に素晴らしくて。振り返ってみて、どんな感想を持ってます?

磯部 :
ええとですね、あの日までにアルバムのレコーディングを終えて、一息つく暇もなくリハに入ったんですよ。リハ1回目は初めての面々だし、バンドでいっせーので思いっきりやるのは初めてだったので、最初はどうなることやらと思って(笑)。ツネ君(恒岡章)がドラムで、バンドはドラムのテンポで決まるところがあるので、ドラムとベースにテンポを合わせようと。ハスキンの楽曲もやる予定だったから、「ハスキンの音源はこういうテンポだけど、ライヴではこういうテンポでやっていたので……」という説明から入って。まあ、ソロの曲はテンポはそのままだから伝えやすかったんですけど、ハスキン時代の曲の方がテンポは伝えるのが難しかったですね。


──ああ、なるほど。

磯部 :
何回かリハに入って、本番直前のリハではかなり手応えがありましたね。けど、本番では「久々にダイヴあるのかな?」って、ダイヴ予想とかもしてました。


──実際、ダイヴもたくさんありましたね。

磯部 :
はい。ハスキンの曲をやるから、ダイヴあるかもねと思って、避ける練習もしてました(笑)。いいライヴになるだろうという予感はあったし、実際うまくいったというか、自分は無我夢中であまり冷静じゃなかったんですけど。ハスキンやソロの曲を踏まえて、それほど極端に変わることもなくできているのも良かったし。あのメンツでハスキンの曲をやってる不思議さも感じながら、本番に臨んでいたような気がします。


──確かにハスキンとソロの楽曲をライヴで聴いたとき、ほとんど温度差を感じませんでした。

磯部 :
ないように、というのはこっちの狙いとしてもありましたね。ただ、ソロの新曲は聴きモードに入る人もいると思うから、バンドのノリは出していこうね、という話をしてましたね。


──とにかく、あの日はド頭から初期ハスキン・ナンバー4連発でビックリしました。

磯部 :
「ハスキンの曲、ガンガンやっていいじゃないの?」とヒダカさんに言われたから、シメシメと思って。セットリストを考えると、新曲をどんどんやるよりも、最初から飛ばそうかと思って。往年のハスキン・ナンバーを取り入れたんですよね。


──本音のところでは、磯部さんもハスキンの曲をやりたいという気持ちはあった?

磯部 :
そうですね。お客さんも聴きたいだろうし、自分としてもやりたかったし、気持ちは一致してるだろうなと思って。

──なんか、吹っ切れましたよね。

磯部 :
MARS EURYTHMICS(以下、マーズ)の頃は、ハスキンっぽい曲をやっちゃいけないんじゃないかと思ってましたから。ハスキン解散から5年経ちましたから、こういう運命なのかなあって。いろいろ経て、ハスキンを解散してからも音楽活動してますけど、マーズが活動休止になるのも時代の流れというか、メンバーそれぞれの人生もあるし、そのバランスの中で休止になったという。僕自身もヒダカさんに「ソロに切り替われば」と言われたおかげで、音楽活動を続けようと思ったし、ひょっとすると、音楽辞めちゃおうかなと思うこともあったので


──そうなんですか。

磯部 :
マーズのときにテッキン(工藤哲也 / Bass)が入ってくれて、彼に2人目の子供ができたときにバンドを続けられないかも、という深刻な問題になって。家庭やお金の面でも大変でしょうし、テッキンから「イッソン、そろそろ実家に帰ることを考えた方がいいよ」と言われて、エッ!と思ったり。で、それをヒダカさんに言ったら大笑いされて、「磯部さんはまだ続けましよう」って(笑)。そういう後押しはありましたね。


──今年マーズが活動休止になった後は、いろんな気持ちが交錯したと。

磯部 :
気持ちは整理できてませんでしたね。一体どうなるんだろう、どう仕切り直そう、バンドが好きだからバンドをやろうか、弾き語りをやってるからそれを続けようか……。どういう風に音楽の比重を置くのか迷ってましたね。そこでヒダカさんが手伝えることがあれば手伝いますよ、と言ってくれてからヴィジョンが見えてきたんですよ。


──そのヴィジョンというと?

磯部 :
ヒダカさん曰く、コーナーだとアコースティック・ユニットになるからもの足りない。マーズで新しいメンバーを入れてもハスキンとは違うものになる可能性がある。ソロ活動なら、お客さんが求めているものをできる状況を作れるというか、「お客さんはハスキンぽいものを待ってますから」って言われて。もっと言えば、ハスキン、コーナー、マーズの曲だろうが、ソロだったら別にやってもいいし。でもそれに頼ってばかりじゃいけないから、新しい曲をドンと作って、すべてが融合していけるソロ活動にすればいいんじゃないかと。なるほど、その考えいただきますって(笑)。


──ヒダカさんのそうしたアドヴァイスは、寝耳に水みたいな感覚だったんですか。それとも、うっすら自分でも考えていたことでもあった?

磯部 :
棚からボタ餅みたいな、そこでなるほどと思いましたね。自分の考えの中にはなかったです。お客さんにいいものを届けたいという気持ちはありましたけど、考えは分散してましたね。マーズでいい曲を作ればいいのかな、とか考えてましたから。ハスキンのことを自分はそこまで引きずってるつもりはなかったけど、お客さんはかなり大事にしてくれてるというジレンマもあったし……、難しいなあと思って。じゃあ、簡単にハスキンぽい曲を作ってもいいのだろうかって、グルグル考えてましたからね。でも今回ソロになるにあたって、ハスキンぽい曲を作ってしまおうと思って。


──ただ、磯部さんの耳にもハスキンぽい曲を求めるリスナーの声は、何かしらの形で届いていたわけですよね。

磯部 :
いろんなタイプの人がいますからね。僕はそういう意見を聞いて、どうしたものかなあと思って。ハスキン解散以降、ハスキン以外の曲を聴きたくないというお客さんが友達にいるよ、という話を耳にして。フェスに行っても、イッソンが今やってることを観たくないという人もいて……それは結構難しいなと。自分はその考えが少し理解できなくて、自分としてはいいものを届けるんだ、という同じ気持ちでいたから。その辺の気持ちを動かすのは難しいんだろうなと思って……。その悶々とした考えもヒダカさんが「一緒に曲でも作ってみませんか?」と言ってくれたことで解消されましたね。でも曲を作り始めると、わりとダメ出しが多くて。


──はははは。

磯部 :
淡々と「その展開はよろしくない」、「あなたはもっと大きなサビを作れるでしょ」、「今作ってください」というスパルタ形式で、最後には「お客さんが待ってますから」って。その言葉を僕の中では、もうイッソンの曲を聴きたくないと思っているお客さんに届けよう、という意味なのかなと勝手に解釈して。


──振り向かせたいという気持ちも強かった?

磯部 :
それは多分にありましたね。ハスキンのときは純粋に音楽を聴いて、じゃあ自分だったらこんな音楽を作るんだ!という気持ちでやっていたから、そういう感覚でまたやろうと思って。マーズのときはパンク以外の多ジャンルを聴いて、吸収する時期だったと思うし、それはそれで良かったのかなと。でも本来自分が好きなものをやるべきじゃないかと思いましたね。


インタヴューはまだまだ続きます。続きはNew AudiogramのPCページでご覧下さい!!


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