もはやSAKEROCKのハマケン(浜野謙太)の余技とは言わせない!? のは当然として、今夏の各地の夏フェスで、ワカモノをぶっといグルーヴでもって、横にノル快感を叩き込み、日本語ファンクならではの(いや、むしろハマケン個人の資質か?)リアルな今の、決して明るくはない状況を切り取り、時に内省的ですらある歌詞の個性も相まって、独自の境地に向かう在日ファンク。決して調子に乗ってるワケではないけれど、次のアクションはなんとゲストを迎えての3ヶ月連続シングル・リリース。因みに10月はYOUR SONG IS GOODのサイトウ"JxJx"ジュン、サイプレス上野とロベルト吉野のMC、サイプレス上野、12月はTHE BAWDIESのROY! と、あまりのふり幅に興味をそそられずにはいられない。面白いのはわかるけど、なんでそこまで? フロントマン・浜野謙太に迫った。

Interview : Yuka Ishizumi


■New Audiogram:在日ファンク ヤリ逃げシングル3部作 インタヴュー

――1stアルバムの頃と、バンドをやる意義だったり、そういうところは変わってきていますか?

浜野:
変わってきましたねぇ。だんだんいろんな人が在日ファンクを見てくれるようになって、勢いだけとか、"SAKEROCKのハマケンがふざけてるだけ"っていうんでは面白くないっていうのは、外からも内からもそうなってきたんで、メンバーにも今さら"出会えてきた"というか(笑)。在日ファンクにしかできない感じになってきたというか。インタヴューをしたりとか、評価されたりとかしたのを見て、自分たちが"ここら辺に行くべきなんじゃないか?"というのがだんだん分かってきたというか……今の時代の僕らは、かつての黒人がやったような"人権を勝ち取ろう!"っていうことではない、別の形のファンクをやらないとなぁと思うんですよ。


――むしろ、一部のセレブは黒人アーティストが多いですからね。

浜野:
そう。でも、俺らがちょっと戦っていかないといけないとは思ってて。それはイケイケで激しい、ほとばしる演奏をしてても、ほとばしる意見じゃなくていいっていうか、もっと後ろ向きのことで戦ってもいいのかな? みたいな。"俺はこれがどうしてもできない"とか、"引きこもっちゃう"とか、いうことが、僕らにとってリアルなことなんで。そういうのとファンクは意外と相反することではないんじゃないかっていうのは、僕だけじゃなくてメンバーともども気づいてきてて、っていう感じですね。だから、最近バンドになってきたというか。メンバーに頼れるようになってきたのが嬉しくて(笑)。


――1stアルバムでの浜野さんの挫折感とか迷いが出た歌詞も、ファンクと相性いいんだ!? って感じるところはありましたからね。

浜野:
そうなんですよ。割と"ハマケンのギャグだろ"っていう人が多くて、それでもいいっちゃいいんですけど(笑)。でも、在日ファンクがさっき言ったみたいなところに行っとくべきなんじゃないか? ってみんなが、なりつつあるんで。まぁ、それが濃厚に出ちゃったらどうなるのかちょっと怖い感じもするんですけど。


――でも、今回のシングルのカップリングもその方向性で言うと、いいじゃないですか?

浜野:
そう! だんだん、最近できてる新曲のほとんどが暗くて。怨念みたいなのが多い(笑)。


――70年代の黒人がやってたレベル・ミュージックとしてのファンクは、むしろ今の日本のほうが初期のパンクみたいな意味でアリなんじゃないかと思うんですけど。

浜野:
そうですよね。こないだザ・たこさん(大阪のファンク・バンド)の安藤さんと飲んで、意気投合して語ったんですけど、"今のバンドは数学のバンドが多すぎる! これとこれを足したらこういう音になる"みたいな。それはそれでよくできてるんだけど、そうじゃなくて"俺らは国語なんや!"って、安藤さんが(笑)。で、"あ、俺は社会だな"と思ったんですよ、その時。


――(笑)。

浜野:
"俺は社会がいいなぁ"と思って。国語も数学もやっぱ社会で変わっていくし、昔は意義があった音楽が、今、日本人がコピーしてただの数学になっちゃってるっていうのは、音楽を社会として見てないからなんじゃないかなと思って。


――数学は様式美とも言えますね。

浜野:
そう、そうなんですよ。そういう見方もあるじゃないですか。僕、大学は完全に"社会系"の大学だったんですけど……和光大学っていう、知る人ぞ知る大学なんですけど(笑)。


――いえいえ、すごい才能を多数、輩出してきたじゃないですか。

浜野:
で、そこで僕がいちばん好きだった先生は、生物の先生なんですよ。でもやっぱり、生物も社会によって要求されるものも違うし、解釈も違うから、やっぱり歴史の流れの上で生物学を見なきゃいけないんだ、って言ってて。"あ〜、そうだな"と思って。もう、音楽に限らず全部、数学的に解釈しようとしちゃってる流れっていうのはあるんじゃないかなと思って。


――わかりやすいたとえですよね。音楽を社会として見てないこと自体がいい・悪いじゃなくて、そういうふうに解釈する音楽家がいないと、音楽が一色になっちゃいますよね。

浜野:
そうなんですよね。ジャンル分けも、なんかすごく平坦な感じになってきてるし。


――じゃあ、これからはジャンル分けを"国語・算数・理科・社会"的に(笑)。

浜野:
いいっすねぇ(笑)。そういう別の角度から見るって。


――社会派ですらなくて、"社会バンド"とかね。なるほど、在日ファンクが回りはじめて、むしろ浜野さんは冷静になってきてるんじゃないですか?

浜野:
ああ、そうかもしんないですね。


――そんなふうにバンドを見られるようになったワケで。

浜野:
そうですね。たとえば、前は歌詞ってあんまり好きじゃなかったんですけど、最近は、"あ、やっぱ面白いな"と思い始めてて。


――それもやっぱり、オリジナル新曲に出ていると思います。じゃあ、肝心のタイトル・チューンの話をしたいんですが、3連続シングルの特設サイトに"今年はこれでやり逃げだ!"みたいなことが謳われていて、それはこの勢いに乗じてみたいなことなんですか?

浜野:
そうですね(笑)。ま、とにかく在日ファンク、ここで生きてるよ! みたいなことも言っておきたかったし、これはSAKEROCKで学んだことなんですけど、くだらないというか、くだらないけどなんか笑えるようなことをやっとくべきだなぁと思って。そしたらレーベルの担当の人が、"3連続シングルとかどうですか?"とかつって。すげぇくだらないと思って。アイドルしかやってないんですよね、今、見てみると(笑)。関ジャニ∞とかしかやってないんですよ。それを僕らのレベルでやるっていうのは面白いんじゃないかと。"CDが売れない! どうしたらいんだ!?"じゃなくて、こういう自称アイドルといった感じで……担当者がやっていいって言うんだったら、やっちゃおう、みたいな(笑)。


――(笑)。

浜野:
大多数の人は僕のことを、"ジェームス・ブラウン(以下、JB)になりたくてやってるんでしょ?"みたいな感じに見てるだろうから、じゃあ、それ気取りであの時代の人たちみたいにバブリーにシングルを連発しよう、と。どれだけ成りきるか? みたいのって、重要だと思うんですね。


インタヴューはまだまだ続きます。続きはNew AudiogramのPCページでご覧下さい!!


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