2010年のBOOM BOOM SATELLITESはとにかくすさまじかった。5月に最新アルバムとなる『TO THE LOVELESS』を投下し、その直後から全国17ヶ所をまわるライヴ・ハウス・ツアーをかまし、過去最高のライヴとの呼び声も高かったフジロックの GREEN STAGEでのライヴを筆頭に数々のフェスを席巻、さらにはバンド初となるアリーナ・ツアー、その後にはアメリカでのベスト盤リリース、そしてアメリカ・ツアーを成功させる……などなど、とにかく常にど派手なトピックがついてまわり、そして結果的にも大きな成功を収めた1年であった。この度、2月23日にリリースされる最新ライヴDVD + CDとなる『EXPERIENCED』はそんな彼らの充実の1年を象徴する(あるいはひとつのクライマックスでもあった)幕張イヴェント・ホールでのライヴを収録したもの。今回は本作についてはもちろん、2010年という大きな年を経てBOOM BOOM SATELLITESが次にどこへ向かうのか、そういった点についても語っていただいた。また先日よりNew Audiogramで『BOOM BOOM SATELLITES BLOG』もスタートしたので、ぜひこちらも楽しみにしていただきたい!!


Text : New Audiogram
Interview Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)



■BOOM BOOM SATELLITES 『EXPERIENCED』Interview

──昨年10月にUSツアーを約1ヵ月に渡っておこないましたが、その感想から教えてもらえますか?

川島:
昨年、アメリカ用のベスト盤をリリースしたので、そのためのツアーでもあったんですけど。久しぶりにあれだけの都市を回って、何度行っても一筋縄ではいかないというか、ここにも音楽を伝える場所があるんだって実感しました。またツアーをやりたいという思いを新たにできましたし、ずっと待ってくれた人に会えたことも良かったですね。


──幕張のライヴを終えて、バンドとして自信を持ってまわれたところもあるんじゃないですか?

中野:
それは全然ありますよ。ただ、どこの国に行ってもやることは変わらないですけどね。


──そして、今作は幕張のライヴをCD&DVDの2枚組としてリリースしますよね。僕も現場でライヴを観させてもらい、本当に素晴らしいショウだったんですが。今回、最新作『TO THE LOVELESS』レコ発でライヴ・ハウス・ツアーを17ヶ所を終えた後、アリーナ・ツアー5ヶ所という流れでしたが、振り返ってみてどうでしたか?

中野:
すごく充実感があったし、まだまだ届けなきゃいけない場所があるんだって実感しながら回りました。ライヴ・ハウス・ツアーはステージと客席の距離が近いから、コミュニケーションが成立してるという幸福感を感じたし。ただ、そういう日々を過ごす中で、去年フジロックのGREEN STAGEに出ると、観客とのコミュニケーションの取り方が会場の規模ひとつだけで何もかも変わるんだなと思って。そういう難しさを味わいながら、アリーナ・ツアーに突入したんですよね。


──サポート・ドラマーの福田さんを含めたバンド・グルーヴを固める上でも大事なツアーでした?

中野:
昔のファンは前のドラムと比べるかもしれないけど、優劣はないし、バンドが新しくなって良かったなと思いますね。やっぱり、タイプの違うドラマーなので新鮮な気持ちでライヴに向かえてます。


川島:
ドラマーがチェンジして、バンド内部はまだ柔らかい状態だったと思うんですよ。今回のライヴ・ハウス・ツアーは、バンドを鍛え上げるチャンスだと思って。バンド・サウンド自体は揺るぎない、強固なものになっている気はしますね。あと、毎日音楽を伝えて、届けて、観客が喜ぶ姿を間近で体感することは、僕にとってすごく幸せなことだったから。だけど、その中でいろいろと考えさせられることもあって。一体、音楽を届けるとはどういうことなんだろ? と。フェスを終えた後、再び自分たちのツアーに戻ってみて、音楽を奏でる姿勢自体は何も変わらない、変えられないなと改めて感じたんですよね。そういう気持ちで幕張を迎えることができたから。すごく実りの多い時間を過ごせましたね。


──フェスでは何か戸惑いでもあったんですか?

川島:
演奏するときの姿勢だったり、迷いがない自分を手に入れることができたんじゃないかなと思って。会場によって、狭い、広い、いろいろ条件が違うけど、そういう経験を経たことで精神的にも鍛え抜かれたんじゃないですかね。


──幕張では心にブレがなくやれたと?

川島:
そうですね。ただ、そういう迷いや葛藤はずっと続くと思うんですけど……。


──そして、幕張のライヴでは特別な演出がありましたよね。

中野:
うん、スピーカーから客席の距離が決まるから、スピーカーよりステージが前に出る分には全然OKなんですよ。より一体感が味わえるようにしたいなと思って。まあ、それほど驚かせようという気持ちはなかったんですけどね。実際ステージの上に乗ると、小さくて狭くて(笑)、自分のスペースがないんですよ。あのステージ自体も実は2メートルぐらいあって、落ちると大変なことになるから。意外と演奏する方はストレスがいっぱいあったけど、観客が目の前にいて、ステージと一体になっていく様を見ていると、やって良かったですね。


──照明や巨大スクリーンなど、視覚的要素も凝ってましたよね。

中野:
そうですね。ものすごく力を注いだわけじゃないけど、一つひとつがちゃんと機能したから、そう思ってもらえたんじゃないかな。あの日のためだけに手書きでアニメーションを作ったり、丁寧に作られたステージだと思います。バンドが奏でるサウンドがあった上で、エンターテイメントの幅を広げたかったので。 LEDのスクリーンだけを最初から最後まで観るライヴもあるけど、それとは本質的には違うことをやろうとしているし。極論を言えば、映像がなくてもその場にいる人たちをちゃんと感動させて帰すことができなきゃいけないと思うんですよ。そういう意味では、ライヴ・ハウスとそんなに大きくは変わらないんじゃないかな。


川島:
U2のように光と音のエンターテイメントみたいなすごいショウというより、曲に寄り添った展開を考えたんですよ。僕らが作ったPVとリンクしてる部分だったり、そこから広がる世界観だったり、楽曲やセット・リストに自然と呼ばれて作られたものだと思うから。仰々しさが目立つものではなく、ライヴ・ショウとしてアートも機能したので、うまくいったんじゃないですかね。リハーサルのときにちょっとステージを外側から見たんですけど、すごく感動的だったし、これならお客さんにも喜んでもらえたんじゃないかなって。




インタヴューはまだまだ続きます。このインタヴューの完全ヴァージョンはNew AudiogramのPCページで公開中!!