2011年3月11日の東日本大震災以降、数多くのミュージシャンがアクションを起こした。AA=もまた、復興支援を目的としたプロジェクトAA= AiD(エーエーイコール・エイド)として、即座に行動を開始。サポート・メンバーのTakayoshi Shirakawa(BACK DROP BOMB)、Minoru Kojima、金子ノブアキ(RIZE)を筆頭に、難波章浩(Hi-STANDARD)、Kj(Dragon Ash)ハヤシ(POLYSICS)、HIROSUKE(BALZAC)、K(Pay money To my Pain)、Masato(coldrain)、SUGA(dustbox)、生形真一(Nothing's Carved In Stone)をゲストに迎え、7月1日に復興支援ソング「We're not alone」を無料配信した。
同時に、AA=通算3枚目となるフル・アルバム『#3』にも着手。過去2枚の作品を経て成熟させた現代のインダストリアル・ロックと、3.11以降のリアルな感情が融合した本作。特別な年に生まれたAA=『#3』の真意を、上田剛士に聞いてみた。


Text & Interview : G.N.PRINCE


■AA= 『#3』 Interview

──アルバム制作の過程で、東日本大震災が起こったと思います。3.11以前と以降とでは、何かアルバム制作や内容に影響したことはありましたか?

上田剛士:
アイディアに関しては前作以降から断片的にあって、それらの幾つかは今回の曲に反映されています。ただ、震災以前に実作業していたものに関しては一度リセットして、発表する作品をどういうものにするかなど、考え方の変化が出たのは事実です。収録曲で最初に完成したのは、やっぱり「We're not alone」でしたね。震災が起きてすぐに作りはじめた曲でしたから。


──「We're not alone」が完成して、7月1日にフリー配信されました。その後、アルバムに対してはどんな風に向き合っていこうと考えていましたか?

上田剛士:
毎作品に言えることですが、全体像の青写真が浮かんでそこに向かって進むわけではなく、今現在自分が思うこと、自分から出てくるものを書き留めて表現していく。今回もそれは同じでしたね。自分の中でリアルなもの、納得できるものをチョイスしていく、それがAA=の基本的な形というか。中には変化を加えて作るものもありますが、基本は気持ちのまま。やっぱり2011年は特別な年なので、その時々で感じた影響は強く出ていると思います。ただそれは、意識的に出そうと思ってやっているわけではなく、自分の中で感情も表現もリアルなもの、それが今回は『#3』という形になったということですね。


──仮に2011年にアルバムが発表されなかったとしたら、内容は違うものになったんでしょうか。

上田剛士:
常に曲作りはしているので、作品が発表されてもされなくても、内容としては同じになったと思いますね。


──前作『#2』はAA=のメンバー同士が会わないというレコーディング形式でしたが、今回はどんなスタイルで進めたんですか?

上田剛士:
今回も皆でスタジオに入ったりはしていないですね。自分の機材をいじって作ったデモを渡して、それぞれのパートを生音に差し替えたりディスカッションしたり、作り方は『#2』に近いかもしれません。


──2011年のリアルが凝縮された楽曲陣ですが、冒頭から気持ちが感じられる内容でした。

上田剛士:
2曲目の「WORKING CLASS」の曲のフレーズが浮かんだ時は、冒頭の「#3 INTRO」に続く本編の1曲目というエネルギーを自分の中でも持っていましたね。そういう意味で、音の塊やパンチ力みたいなものは考えていました。


──リリックに関しては、リスナーそれぞれの感じ方や考え方で良いと思いますが、ご自身としてはどんな思いで書かれたんですか?

上田剛士:
確かに歌詞に関しては、実際に聴いたり読んだりしてもらって、受け取る側それぞれの判断で構わないと思います。ある意味、そこで曲は完成すると思いますし、こちらから明確にこうだと提示するのは自分のタイプではないですから。「WORKING CLASS」で書かれている世界観は、『#1』や『#2』でも共通しているんですが、ある種の不公平感に対する疑問符であったり、抵抗であったり、受け入れられない気持ち、まずそれが最初にくる感じですよね。それが今の世界の問題でもあると思うし、解決できずにずっと続いている問題だとも思っています。


──そのメッセージは、昔から一貫していますよね。

上田剛士:
そうですね。大きなテーマというか、自分の活動の根本にあるものはどの作品もあまり変わっていないですよね。不公平感に対しての嫌悪感は世の中の問題点として存在していると思うし、特に2011年はそれが分かりやすく世の中に見えたと思える年なので、自分もより分かりやすい表現になっているのかもしれない。それもあえて分かりやすくしたわけではなく、今の状況からそういった影響を受けたから作品に反映されたのかなと思ってます。


──3曲目の「DISTORTION」のリリックも、AA=らしいテイストと内容ですね。

上田剛士:
この曲は、「WORKING CLASS」との対立軸がテーマですね。支配する側と自分がどう闘うか、そういった内容が書かれています。


──上田さんにとって“闘う"とは?

上田剛士:
自分はミュージシャンとして在りたいので、自分の音や自分の言葉で表現することが自分の闘い方ですよね。自分の武器は楽器であり音そのものだと思いますし、僕は音には力があると思っていますから。それは、世の中を変えるとか大きいことではないけれど、ただ、必ず意味があるものだと思っています。誰かに届けることが出来る強いものが音にはあると思うので、それが自分自身の一番の武器であり闘い方ですよね。


──長いキャリアの中で、音の力を感じる場面はたくさんあったと思います。2011年は震災もあり、AA=としては“AA= AiD"という復興支援プロジェクトでの活動もはじまりました。その中で、あらためて音の力を感じたことはありましたか?

上田剛士:
やっぱり音楽で人が繋がっていることは感じましたね。多くの人が何かに向かって進む時に、音楽はひとつの指針に成り得るし、皆が共有できるものとして存在することが出来る。思想と言ってしまうと難解で曖昧になってしまう可能性もありますが、音楽はそうじゃなくて人々の気持ちを共有するものとして、良い作用に働くことがあるなと。規制させる感じもなく、皆で共有もできて、個々が自由でいられながらもひとつにまとまれる。集会やプロパガンダとは違った方法が生み出す力ですよね。




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