| ハマケンのこと、たまに見かけんだよ俺。たまに西荻の駅の後ろからぴったり付いていったりしてる |
| ええーっ、なんすかそれ? |
| 声掛けないで、後ろからぴったり付いてくの。ものすっごいぴったりくっついてんのに気がつかない。2回くらいあるよ |
| ひどい(笑)。声掛けてくださいよー |
| そんな両者の出会いは、2004年2月の<極東最前線>での共演なんですよね。 |
| じゃあ4年くらい前か。その前に一度ライヴ観に来てくれたんですよね。M.A.G.Oと僕らで一緒に対バンして、その時に吉野さん来てて。そこでライヴ誘ってもらって |
| もう俺は狙いをつけてたからね。テレビで見たんだよ、最初。ひどくふざけた歌だなぁ、でもおもしろいと思って |
| ははは! |
| 最初はもっとシブい人たち、なんかジャズ畑の人たちかと思ったけど、CD買ってみたら雰囲気も全然違って。どういう人たちなんだろうと思ってライヴ観に行ったの。若者ってあり余る力でギター掻き鳴らしたり、とにかくヴォリューム上げたりするんだけど、そういうんじゃねぇんだサケロックは。ふざけてんのに意外と玄人好きする音楽だし、技術もしっかりしてるし、だけどジャズみたいに構えてるんじゃなくて普通に楽しんでる。俺らが若いころパンクロック鳴らして楽しんでた感覚に近いのに、アプローチがこうっていうのがおもしろくて。なんか違うもんが始まってるなぁ、新しいオルタナティヴのアプローチの仕方だなぁって思ったな |
| でも俺、全然考えてなかったですよ。いまだにオルタナティヴの意味がわからない(一同笑)。でも打ち上げでそう言ってもらえた時は嬉しかったですよ。それまで、なんかパンク・バンドが俺らをおもしろ半分に誘ってきたんじゃないかって敵愾心に燃えてたんだけど(笑)、話してみたらすごい理解してくれてて。こんなに音楽違っても繋がるところがあるんだなって |
| 吉野さん、対バンはいつも直に誘うんですか。 |
| そうですよ。直接ライヴ観に行ったり、出てくださいって電話したり |
| すごいアンテナですよね。すごいディープなところまで及んでる |
| 一応つねに“なんか悪い子いねぇがー"って思ってんの(笑)。でも自分が好きになる人たちって別にジャンルとか関係ないもんね。シーンみたいな、村みたいになってんのはおもしろくないし、俺そういうの嫌いなの。ベタベタ慣れ合っちゃってさ、気持ち悪いんだよ |
| でも気持ちはわかります。この前インタビューで「サケロックはつねにアウェイ感があって、アウェイ、アウェイでここまで来ましたよね」って言われたのがすごい嬉しくて。そう見られてるのも嬉しいし、自分たちもそういう気持ちでいたいし。もちろん仲良いバンドはいるんだけど、お互いアウェイ感を持ってないと |
| 絶対大事。俺そういうのはセンスだと思う。その感覚を持てるか持てないかのセンス。バンドやっていくと、どうしても大きなものに取り込まれちゃうのよ。何かに取り込まれそうになって、そこがまた居心地良かったりするとどっぷり浸かっちゃうじゃない。それは安直だし楽なんだけど、アウェイでいるっていうのは、つねに自分たちを意識して支えていかなきゃいけないことで。それは感覚的な問題だと思いますよ。このコンピのバンドもだいたいそうだよね。シーンとかじゃなくて、もっとバンドとしてユニーク。その人っぽい、人間っぽい感じが出てるから。そういう人たちを見ると誘いたくなる |
| でも俺らも考えるんですよ。イースタンぐらいの年になって、若いミュージシャンをいろいろ誘って月に1回こういうライヴができるかって。そう考えるとすごいこと続けてるなぁって思いますよ。しかも吉野さん「若いってカッコ悪い」って言ってますよね。俺、それが座右の銘で |
| だって若さって不自由だもん。自意識も過剰だし、ルールが厳密すぎる。“これやったらカッコ悪い"っていうのがすっごい厳密にあって。男の子は喧嘩負けたらカッコ悪いって思ってるし、若いころなんてギラギラだもんね。絶対負けらんない、やるからには勝つしかないって思ってて。今、全然負けても平気だもんね。年取るとどんどん自由になってきてすっげぇ嬉しい。まぁほんとは若くても同じなんだけどね。それに気づくまでには年取る必要があった |
| そうっすよね。俺も早く年取りたい |
| 自由だよ。でもそのぶん物考えないと。物考えないで年だけ取るとほんとにカッコ悪くなる気はする。年寄りはますます考えないと |
| 極東最前線がそうですよね。これはほんとに考えて、葛藤してこなかったらできないだろうなって思う。俺らもやってみたいっすけどね。こういうイベント、いつかやりたいです |