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サカナクションの4作目『kikUUiki』のタイトルは、汽空域という山口一郎による造語になっている。海水と淡水が交わる水域=汽水域をアレンジした言葉だそうだが、そうやって白でも黒でもないグレー部分であることの美徳を、彼らは長い間、明確な言葉と形で伝えることを求めていたのかもしれない。どことも接点を持ちどことも相容れないものを提示することで新たな価値観を生み出そうとする彼らは、しかしながら、時として、居場所を探す難しさと格闘してきた。だが、今作で彼らはすべてをフラットにする自信を身につけたようだ。確かに曲によって受ける印象は様々だ。もはや、AとBという相反する二者を結びつけるバンドというだけではないという印象さえある。ここに辿り着いた彼らの思惑はいかなるものか。その手応えはどの程度なのか。ヴォーカル、ギターの山口一郎とドラムの江島啓一が、バンドの立ち位置と、今こそ発信していきたいことを語る。

Interview & Text : Shino Okamura
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)
kikUUiki / サカナクション
VICL-63556 2,800yen (tax in)
2010.3.17 on sale
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  1. intro=汽空域
  2. YES NO
  3. アルクアラウンド
  4. Klee
  5. 21.1
  6. アンダー
  7. シーラカンスと僕
  8. 明日から
  9. 表参道26時
  10. 目が明く藍色
  11. Paradise of Sunny (初回限定盤ボーナストラック)
NATV : サカナクション コメント・ムーヴィー
ニュー・アルバム『kikUUiki』についての
コメント・ムーヴィーをNATVでCHECK!
「目が明く藍色」 Music Video
<サカナクション 山口一郎・江島啓一インタヴュー>
山口 :
僕は大体どんな時も、お話できる機会があれば、こういう取材などでもできるだけ話したいと思っているんです。特に、今回のアルバムはサカナクションにとって"始まり"のアルバムだから。
――"始まり"とは?
山口 :
今回は、自分たちらしさを築けたアルバムだと思うんです。過去の自分たちが探ってきたものが、"あ、そういうことだったんだ"って気づいたアルバムというか。"これいいよね"、"これカッコいいよね"っていうような、瞬間判断していた感覚が今までは漠然としていたのがわかったんですよ。ずっと曲を作り活動をしながら理由を探していたんです。で、その疑問に対して、"汽空域"という言葉が出てきて、自分たちでも"こういうことか!"というのがわかったんです。
 
――それまで、メンバー5人の間で、そういう"この漠然とした感覚って何だろう?"みたいな話はしていたのですか? それとも山口くんの中だけで反芻していたことですか?
山口 :
"これっていいよね"って感覚をプレイで共感することはあっても、実際に話し合ったりすることはなかったですね。
江島 :
共通する感覚はあったんですよね。でも、それを表現する言葉はなかったんです。特殊な共通言語はあったかもしれないですけど、それを人に伝える時にうまく言葉にできなかったというか。他人からは"ロックとエレクトロニックの融合"ってよく言われていたんですけど、自分たちは何となくそれだけじゃないのになと思っていて。
山口 :
それも一面だってことですよね。
江島 :
でも、今回、一郎から"汽空域"って言葉を聞いて、"あ、これだな"って。
山口 :
前の『シンシロ』(2009年)ってアルバムで、ロックとエレクトロニックスの融合ということを狙いとしてやったので、受け入れてもらえたという自覚はありました。その後のライヴとかでも反応がありましたし、自分たちが思っていたような結果だったから嬉しかったんです。けど、でも、それも一面なんですよね。だから、今年出した「アルクアラウンド」ってシングルで立ち位置をちゃんと伝えないといけないって思ったし、今回のアルバムに対してもそうだったし。
――バンドの在り方を常に整理してレジュメしていきながら、作業をしていることになりますね。
山口 :
そうですね。サカナクションでは、言葉とメロディは僕が書いて、曲のアレンジとかは全員でやるんですけど、言葉とメロディは本質部分というか、僕個人の心象風景なんですよね。そこには時代性とかは関係なくて。でも、アレンジは時代に対してどうのとか、シーンに対してどうのとか、そういう部分が関わってくる。自分たちの好きなものを取り入れて、シーンとの関わりの中でどう発信していくかを考える作業は、すごく健全なことだと思いますよ。曲の根幹部分を作る時、僕はいつもフォークを意識しています。学生運動とかの時代のフォーク。そこに自分の花を持たせるわけです。でも、バンドの一員としてのアレンジは違う。そこにはまた別の花を持たせる必要が出てくる。そのために、シーンとの関わりなどを考えるわけです。それを出さない方が不健全な気がしますけどね。それを、そういうことを言うなんてミュージシャンらしくない、とか言われたりするんですよね。そう思ってませんか?
――全然。
山口 :
そうですか。なら良かったです。じゃないと、シーンは作っていけないですから。シーンを作って行くのはミュージシャンで、メディアとかレーベルとかマネージメントがシーンを作っていくならいいですけど、実際はそうじゃないし。ミュージシャンが牙を剥いて、爪を立てていかないといけないと思うし。今、誰でもリスナーが批評家になれる時代だと思うんですよ。Twitterでもそうだしmixiでもそうだし。でも、そういうことが起こることによって、アーティストとして発信しているってことが伝わらなくなってきている。僕はそれをしたいし、そうすることでわかる部分もあると思うんですよ。僕は音楽シーンの仕組みだったり、ミュージシャンとしての葛藤とか人となりみたいなものを教えていきたいし、わかってもらいたい。そうすることで、そのアプローチ自体が戦略ではなく表現として受け取ってもらえるようになると思うんですよ。僕が戦っていきたいのは音楽シーンであり、そこで味方をつけていきたいし、理解してくれる人を増やしたいし、変えたいんですよね。
 
――いくらかの啓蒙的な意識もあると。
山口 :
そういう意味ではありますね。例えば、ライヴのアンケートを見させてもらうと、"サカナクションの音楽を聴いてクラブに行くようになりました"とか、"「ネイティブダンサー」という曲を聴いてやめてたピアノをまた弾くようになりました"とか、"知らなかった音楽を聴くようになりました"とか、そういうことが書いてあるんですよ。それってすごく大きなことだと思うし、手応えとしてあることはあるんですけど、だったら、その一面だけじゃなくもっと伝えていくことがあるし、それをやっていきたいしって思うんですよね。例えば、「アルクアラウンド」で初めてサカナクションを知った人が、今回のアルバムの中の「目が明く藍色」をどう受け止めるのか? っていうところが大事なんですよ。その2曲の距離や在り方を感じてもらうだけでも、きっと爪痕を残せると思うんです。そこにサカナクションらしさがある。で、それが"汽空域"っていうテーマでもあるんですよね。こんなにバラバラなのに、なんかサカナクションなんだよなーっていうね。
――バンドが許容するレンジの広さを、それこそが自分たちだと提案する姿勢、ということですね。
山口 :
そう。サカナクションらしさというスタンダードはこれです、というような感じですね。それを見せることができたと思っています。
――具体的に曲作りのプロセスなども変化したのですか?
山口 :
去年のアルバムまでは、僕が作った原曲をメンバーそれぞれに渡して、各自自宅でアレンジしてきてもらい、で、それをまた僕とそれぞれのパートとで合わせて、そうやって上がってきたものをスタジオで全員でリアレンジするってやり方だったんです。でも、それはそのパートと僕との二人だけの世界で出来上がったものであって、バンドの世界ではないんですよね。でも、今回のアルバムは、僕が原曲を作った後、4人で合わせてもらって、最後に僕がそこに加わるって感じで作ったんです。そういうことをすることによって、僕は俯瞰でバンドを見られるし、バンド・メンバーそれぞれの感覚もこれまで以上に入るようになったし。
江島 :
"(作り方を)変えるから"って予め言われていたわけじゃないんですけど、"変えようとしてるんだな"って何となく感づいてはいましたね。アルバム全曲そうやって作ったわけでもないんですけど、方法論の違いによって出てくるニュアンスが違うんだなってことは体験してみてわかりました。
山口 :
うちのメンバーはそれなりにスキルもあるしプライドも高いんです。今まではそれを僕が抑えていたところがあるんですけど、今回は"サカナクションでどうしたいのか?"ってことを出してあげることで、バンドも大きくなっていくだろうなって予感もしていたんですよね。前のアルバム『シンシロ』で試して、メンバー間の信頼関係が強まったのも大きかったですね。
 
――私は、サカナクションは白でも黒でもないグレーであることの美徳のようなものを伝えようとしているバンドだと思ってきたところがあって。それは、一歩間違ったら、どっちにも行けるけど、どっちでもない、という誤解もはらんでいたと思うんですよ。『シンシロ』でロックとエレクトロニックを融合させてみたというのも、そうした誤解に対する回答だったのではないかと思えていたのですが、実際に、自分たちでもどちらでもない場所にいることのもどかしさを実感していたこともあったのでしょうか?
山口 :
ありましたね。バンドっぽさが垢抜けない田舎っぽいもので、クラブが都会的なものだとか、J-POPとアンダーグラウンドでもいいですけど、かけ離れたものとの間でグラグラグラグラと揺れていたところはあるんです。どこが一番収まりがいいのか? ってことでフワフワしていたのは確かです。だから、"汽空域"という言葉が出てきた時に、あ、これでいいんだ! って。で、それっていうのは、遠い先じゃなく、一歩先の音楽を作るってことなんですよね。
――その"一歩先"というのは大切な感覚ですよね。つまり、あまりにも先過ぎて理解が難しかったり、逆に同じ歩調だからわかり切ってしまったりではなく、ちょっと先にいることでリスナーを引っ張っていくこともできれば、リスナーも少し手を伸ばせば届く。
山口 :
そうです。例えば、それは音の感触でも言えることなんです。音のサラウンドとかLR感って、よほど音楽をちゃんと聴いている人じゃないとわからないじゃないですか。でも、音が右から左にパンパン飛んでいる感じがする! カッコいいわ! ってことは誰でもわかる。だから、僕が良く話しているのは、"高校生にもわかる音を出そう"ってことなんです。今回、シンセ担当の岡崎に言ったのは"5つ音のパターンを考えてきてくれ"と伝えたんです。高校生にもわかる音の違いで考えてきてほしい、と。そうすることで、売れているものを自動的に聴いているリスナーともつながれるし、つながったままでいられるんです。遮断しなくていいんです。最初、僕はJ-POPってどうなんだろう〜? って思っていたんですけど、実際にシーンに入ってみるとそうでもなかった。いいバンドはいいバンドだし、その中でやれることはたくさんある。でも、だからって僕は媚びたくはない。高校生にわかりやすいコードとかメロディを作っても仕方ない。そこは妥協しない。でも、音の質感をわかりやすくすれば伝わるんですよ。それを今回のアルバムで実践してみたというのはありますね。
――そういう意味で、作業中にリファレンスにしていた音楽はありました?
山口 :
今回はあまり用意しませんでしたね。もちろん、リスナーとしての目線はちゃんとあるし、それはミュージシャンとしての意識とリンクする場合もあるんですけど、あまりそこを直結させたりはしませんでした。だって、僕らはKRAFTWERK聴いた後に、Wayne Shorterとかを聴くようなリスナーなんですよ。それを成立させるための"汽空域"なんです。だから、そのために色んな音楽は仕入れるし聴くし楽しむけど、今はそれが自動的に整理されていって自動的に出るって感じですね。参考までにこれを聴こうというようなことではなく。
 
――それは、自分達のような音楽の聴き方、咀嚼の仕方というのを提案したいということでもありますか?
山口 :
それはあります。ただ、それをどこまで広げていけばいいのか、となると難しい。ただ、僕らは一つのカルチャーになれればいいなと思っています。YMOみたいにね。何か面白いことをしたいというところから生まれで、そこからテクノ・ポップというのも出来て、主流ではなかったかもしれないけど、今聴いても楽しいと思えるわけじゃないですか。あとは細野晴臣さん。はっぴいえんどからYMOになってアイドルに曲提供して、今はまたカントリーをやってる。色んなことをやってるけど、ちゃんとカルチャーとしてシーンを泳いでいますよね。僕らも、そうやって、何が面白くて何がつまらないのか、みたいなことをキッチリ言っていきたいですね。自分のことしか考えない、カッコつけのバンドにはならずに、ちゃんとシーンを見据えながらやっていきたいですね。
SAKANAQUARIUM 2010 kikUUiki
DATE : 2010.4.2 (fri)
VENUE : Namba HATCH, Osaka
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : GREENS 06-6882-1224
DATE : 2010.4.9 (fri)
VENUE : Nagoya CLUB DIAMOND HALL, Aichi
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : JAILHOUSE 052-936-6041
DATE : 2010.4.11 (sun)
VENUE : Niigata CLUB JUNK BOX, Niigata
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : FOB NIIGATA 025-229-5000
DATE : 2010.4.16 (fri)
VENUE : Sendai DARWIN, Miyagi
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : NEWS PROMOTION 022-266-7555
DATE : 2010.4.17 (sat)
VENUE : Koriyama HIP SHOT JAPAN, Fukushima
OPEN : 17:30 / START : 18:30
INFO : NEWS PROMOTION 022-266-7555
DATE : 2010.4.24 (sat)
VENUE : Kagoshima CAPARVO HALL, Kagoshima
OPEN : 17:30 / START : 18:30
INFO : KYODO INFOMATION 092-715-8900
DATE : 2010.4.25 (sun)
VENUE : Fukuoka DRUM LOGOS, Fukuoka
OPEN : 17:00 / START : 18:00
INFO : KYODO INFOMATION 092-715-8900
DATE : 2010.4.28 (wed)
VENUE : Hiroshima NAMIKI JUNCTION, Hiroshima
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : YUMEBANCHI HIROSHIMA 082-249-3571
DATE : 2010.4.29 (thu)
VENUE : Okayama IMAGE, Okayama
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : YUMEBANCHI OKAYAMA 086-231-3531
DATE : 2010.5.1 (sat)
VENUE : Kyoto MUSE, Kyoto
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : KYODO TICKET CENTER 06-7732-8888
DATE : 2010.5.2 (sun)
VENUE : Kanazawa AZ, Ishikawa
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : FOB KANAZAWA 076-232-2424
DATE : 2010.5.8 (sat)
VENUE : ZEPP SAPPORO, Hokkaido
OPEN : 17:00 / START : 18:00
INFO : MOUNT ALIVE 011-211-5600
DATE : 2010.5.15 (sat)
VENUE : Shinkiba STUDIO COAST, Tokyo
OPEN : 17:00 / START : 18:00
INFO : VINTAGE ROCK 03-5486-1099
DATE : 2010.5.23 (sun)
VENUE : ZEPP OSAKA, Osaka
OPEN : 17:00 / START : 18:00
INFO : GREENS 06-6882-1224
DATE : 2010.5.28 (fri)
VENUE : ZEPP TOKYO, Tokyo
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : VINTAGE ROCK 03-5486-1099
サカナクション サイン入りポスター プレゼント
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締め切り:4月30日

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