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ミドリというバンドは、まず間違いなく根っこに衝動性を強く持っている。時にパンキッシュとかスカムっぽいという言葉に置き換えられるそんな攻撃的な部分は、彼女たちの出自がボアダムズからあふりらんぽへと続く関西アンダーグラウンドにあることを今なお証明したものだ。だが、一方で、これほど音楽的にディグを続けようとするバンドもいないのではないかとさえ思えるほど、演奏面もアレンジ面もどんどん進化している。ニュー・アルバム『shinsekai』は、根っこにある衝動性は動かさずに、即興を含めてジャズ・マナーに沿った演奏技術を施しながらも、歌謡曲にも匹敵するような人なつこさを伴った大傑作だ。後藤まりこは、もうステージでセーラー服を着ていない。アイドル風センチメンタルな曲もあれば、ハジメが歌うシティ・ポップス調の曲もある。だが、演奏とアレンジはとことんエクレクティックで破壊力抜群だ。そういう意味では、日本で最もエッジーなポップ・アマルガム(化合物)はミドリである、と断言したい。

Interview & Text : Shino Okamura
shinsekai / ミドリ
AICL-2122 2,800yen (tax in)
2010.5.19 on sale
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  1. 凡庸VS茫洋
  2. さよなら、パーフェクトワールド。
  3. メカ
  4. スピードビート
  5. 春メロ
  6. リズム
  7. あたし、ギターになっちゃった!!!!!!
  8. 鉄塔の上の2人
  9. どんぞこ
<ミドリ インタヴュー>
――新しいアルバムの紙資料のプロフィール欄に、"昨年12月下旬 ハジメ、童貞喪失"とあるんだけど、これはネタ?
ハジメ :
いや、ホンマです(笑)。
――ずいぶん引っ張ったねー。
後藤まりこ :
ハジメは望んでいたけど、向こうが望んでなかったりして、ここまできたという(笑)。で、翌日、メール・マガジンでも配信してん。
ハジメ :
親からも電話かかってきたり(笑)。そんなつもりもなかったんですけど、そんな大騒ぎになるんだって。
――で、今回のアルバム制作にも大きく影響したと。
小銭喜剛 :
ま、"shinsekai"(新世界)だし(笑)。
ハジメ :
プレイヤーとして一皮剥けたか、と(笑)。
――まさに"一皮"! 実際、もうすごくジャスト!なアルバムだと思いましたよ。素晴らしい! すごくいいアルバム!
後藤 :
ありがとうー! でも、ジャストって何に? 時代に?
――ミドリというバンドに。今の4人になって音楽性がこれほどジャストに絡まった作品も初めてかと。
後藤 :
嬉しいー。時代にジャストかと思た。
――じゃあ、後藤さんは今度のアルバム、時代にジャスト・フィットしていると思う?
後藤 :
思わん。でも、前のアルバムは元々時代とジャスト・フィットしない4人が順応しようとがんばってたとは思う。でも出来んかった。
――そこに対する反省が今回のアルバム制作の前段階にまずあった、と?
ハジメ :
まあ、順番に、ですよね。シングルの「swing」があって、DVDの『初体験』があって、後藤さんはセーラー服を着なくなって…って。この2年でちょっとづつ自然になっていった感じはありますね。
――徐々に時代に迎合しなくなっていったと。じゃあ、2年前、時代にジャスト・フィットさせようとしていた本音はどういうものだったの?
後藤 :
売れたかった。メジャーだし、みたいなのを重く受け止めてたん、ボクが。"売れたい"って言うんのもダサい。じゃあ、どうしよう? みたいな感じで、なんか、もう、アカンかった、あの時。でも、やっぱり普通でええんやなって思えてきて。ボク、アップダウンが激しい人間やし、しんどい時はしんどいって正直に言うたらええんやって。しんどいのにしんどないフリしてたことも前はよくあって。そんなん、アカンやん? でも、今は"しんどいねん!"って言える。
小銭 :
しんどそうやなって気づく時もありましたね。
ハジメ :
後藤さんはフロントマンだし、ミドリってエキセントリックなものを期待されているところもあるし、背負うものが大きいから。それってすごいことですよね。僕らよりか目線を気にするだろうし、プレッシャーもあったと思いますね。
――それによって、ミドリというバンドの、後藤まりこというミュージシャンの本質が出てないな、という危惧もあった?
ハジメ :
うーん…難しい質問ですね。ある程度は仕方ないとは思うんですよ。でも、僕らとしてはもっと普通に音楽をやっている自覚があったし。
後藤 :
なんかな、セーラー服がユニフォームみたいになってしもたんがキツかってん。
小銭 :
わしらは周りからどう思われてるかっていうのは今イチわかっとらんかって。こうせなアカン! みたいなストレスはなかったんです。ただ、もっといい音楽やらな! 頑張らな! みたいな気持ちだけだったんですよ。(後藤さんの)セーラー服も、いつでも好きな時に脱いだらええやん、やめたらええやんって思ってたし。
岩見のとっつあん :
僕も、今、後藤さんから"セーラー服、キツかった"って聞いて"あ、そうだったんだ"って。
後藤 :
ボクが気にし過ぎなんかなあ…。
――そんなことないでしょ。特に岩見さんが加入して今の4人になってから、音楽性は明らかに進化してきていたし、洗練されてきていたし。いつまでもエキセントリックなところとかセーラー服とかばかりを期待されてもしんどい、というのはよくわかる。
後藤 :
やっぱそうやんなあ。
小銭 :
バンドとしては常に新しいことをやろうという意識がありますからね。
後藤 :
ただ、ボクなんかは音楽のことようわからんから、進化してるとかってわからへん。岩見さんとかハジメは音楽詳しいから、もしかしたら、ボクとは違うしんどさみたいなのを感じていたかもしれへん。
ハジメ :
まあ、それを何とかしようとしたのが今度のアルバムなんですけどね。
――ニュー・アルバムにはオーソドックスなポップ・ミュージックのフォーマットに沿った曲、かなりメロディアスな方向に開かれた曲も揃ってますよね。で、この変化が、時代にジャストでいなくてもいいから、自分達らしくあろうとした一つの回答であると。
ハジメ :
そうです。だから、決してポップなものを作ろうとした結果ではないですね。ただ、これは僕個人の見方なんですけど、すごく歌を中心に置いたアルバムやとは思うんですね。ポップ・ミュージックのイメージってやっぱり歌が真ん中にあるって感じじゃないですか。それでポップに聴こえるって人もいるかもしれないですね。実際、僕もそういう音楽が好きだし、そうしたかったっていうのもあるし。けど、ま、それでも"ミドリ流"ですけど。
――「スピードビート」とかね、そういう意味では超ポップでしょ。
後藤 :
へえ、そなんや!(笑)。
ハジメ :
Aメロ、Bメロ、サビ、みたいなのがハッキリありますからね。
――ただ、演奏は即興的な展開も含めてかなりジャズ・マナーに沿ったものが多い。そこが面白いと思いますよ。前はパンク・ロックのような衝動性が根っこにあるがあまり、音楽性の多様さとかがあまり伝わっていなかったけど、今回は演奏やアレンジの機微がしっかり出た曲が多いですよね。
岩見 :
そこは確かに僕がジャズ好きなんで、影響を与えちゃってるところはありますね。やっぱり即興で作る曲もありますし。
後藤 :
「スピードビート」は"せーのでドン!"やったな。でも、こっちゃん(小銭)、これドラム叩けんかった(笑)。
小銭 :
あー、リズムが決まらへんかって。最初全然違うリズムで雰囲気も違って。
ハジメ :
先にベースとピアノのリフが出来た。
後藤 :
で、"こっちゃん、どいて。ボクがドラム叩くから"って(笑)。
小銭 :
そしたらホンマにカッコいいリズムになった。
ハジメ :
ちょっとトラックっぽい。しかも、歌が真ん中にあって、"せーの"で作ってるという(笑)。
――新しい作り方をした曲は?
後藤 :
「春メロ」!。
ハジメ :
この曲は、僕が歌う曲を入れましょうということになって。で、以前、mf247で僕がソロ名義で配信していたインストの曲を元にして作りました。いつもメロディは後藤さんが作るんですけど、これは僕が歌うってことが前提だったから最初からメロディ・ラインもピアノで作りました。他にも結構色々と作り方を試した曲がありますね。「鉄塔の上の2人」とか。
後藤 :
なんかな、ボク、怒ってん。"また一緒や!"、"また同じ展開や!"って。今までにないくらい怒ったな。
――それは、似たようなタイプの曲しかなかなか出来なかったから?
後藤 :
そう。すごーい怒った。ボク、レスポンスが早いのが好きなんやけど、ハジメとかこっちゃんはすぐボーッとするから怒るねん(笑)。岩見さんはジャズの人やから反応早いけど、ホンマ、遅くて怒った。
ハジメ :
(苦笑)いや、ま、同じような曲が出来るのを変えたくて、今回は歌とメロディが真ん中にある曲を作ったんじゃないかと。
小銭 :
確かに、今回は歌を今以上に気にして演奏したかも。
後藤 :
それは、声に?。
小銭 :
いや、歌っているメロディに。
後藤 :
そやな。ボクな、2ndアルバムの『セカンド♡』が一番好きで。そこに戻りたかったっていうのがある。『清水』とか『あらためまして、はじめまして、ミドリです。』とかは、ええねんけど飽きる(笑)。でもな、『セカンド♡』は“"聴きたない!"って思うところもあるけど、一回再生したら最後まで聴いてしまうんや。耳に留まるから飽きひんねん。
――前作とかは何がマズかったと?
後藤 :
客観性がないとこ。ツメも甘いし。早いことせな、早いことせな…って思っていたら、あんなんになった。雑! いい意味での荒っぽさじゃなく、雑! 小手先やった。曲はいいんやけど、作品として…なあ。
ハジメ :
じゃあ、『セカンド♡』が何が良かったって、新曲をライヴでこなしていて、録音までに時間があったってことですよね。そういう意味で、今回は丁寧にやろうって意識はありましたね。
後藤 :
曲に対する愛情。曲と自分たちとの距離みたいなもの。自分のものにするってこと、長く聴ける曲を作りたかってん。
ハジメ :
確かに今回は最後までフレーズや歌詞を考える時間を作るようにしましたからね。
――平たく言えば、演奏の面白さとかも大事だけど、楽曲指向が強くなってきたってことなのかな?
ハジメ :
ライヴで長くやれる曲がいいってことですよね。『セカンド♡』の曲って今もライヴのハイライトとかでやってますから。
――その結果、歌指向のメロディアスでポップな作風になったと。そこに、新しい音楽的な影響も出てる?
ハジメ :
ああ、僕個人は日本の昔の歌とかを聴いてましたね。はっぴいえんどとか、荒井時代のユーミンとか。洋楽とかメタルとかじゃなくて(笑)。まあ、なんにせよ、歌のある音楽を聴いてましたね。
後藤 :
ボクはリストを聴いてた。『愛の夢』。
――なるほどね。リストの『愛の夢』とユーミン、時代もジャンルも違うけど、符合するものがあるかもね。どちらもメロディアスで情景描写が達者でメランコリックで。
ハジメ :
ああ、そうかもしれないですね。
後藤 :
どっちも憂いがあるな。それが今回出てるんかな。ええ曲作りたいもんな。
ハジメ :
ずっとこういう気持ちではいたんですけどね。いつ聴いてもいいなと思えるような、残っていく曲を作りたいですね。実は、まあ、アルバム作り終わった後の話なんですけど、AC/DCのライヴを見にいきまして。ああ、変わらないっていいなって思ったんです。彼らも最初からスタンダードを目指していたんじゃなくて、いつのまにかスタンダードになったんだと思うんですね。ずっと攻めていって、気づいたらスタンダード。何年か先にその結果が出るっていうのがいいですね。
後藤 :
わざとはできひんけどな。狙って出来たらそれはそれですごいけど、そんなんできひんわ。中田ヤスタカとか(笑)。
――まあ、そうかな。
後藤 :
でも、ボクらは狙ってできひん。時間かけてやるしかないな。
――でも、今回のアルバムの曲の歌詞の中には、今まで関西弁だったのに、標準語で綴られたものがあるよね。今までは、言わば"メス"っぽい表現だったのが、"女の子"っぽい表現になってる。こういうのもスタンダードを目指すための冒険、実験なのかな?
後藤 :
あー、あれ、オシャレやろ?(笑) なんか夜っぽい感じせえへん?。
ハジメ :
都会の夜って感じ。アーバンな感じ。
後藤 :
うん、でも、なんか、違うこと試してみたかってん。そういう気分やったってこともあるけど、とにかく今までと同じことはやりたくなかったし、自分に正直に表現したかってん。
ハジメ :
そこはやっぱり"新世界"ですから。
後藤 :
そう。本当にそれだけで作ったアルバムやな。そういう意味ではすごい満足してる。
NATV : ミドリ コメント・ムーヴィー
ニュー・アルバム『shinsekai』についての
コメント・ムーヴィーをNATVでCHECK!
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ミドリ : LIVE SCHEDULE
ミドリワンマンツアー2010 "新世界ツアー"
DATE : 2010.6.11 (fri)
VENUE : Sapporo CUBE GARDEN, Hokkaido
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : 3110音頭 011-211-8284
DATE : 2010.6.13 (sun)
VENUE : Sendai DARWIN, Miyagi
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : GIP 022-222-9999
DATE : 2010.6.18 (fri)
VENUE : Nagoya CLUB QUATTRO, Aichi
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : SUNDAY FOLK 052-320-9100
DATE : 2010.6.19 (sat)
VENUE : Osaka BIG CAT, Osaka
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : SHIMIZU ONSEN 06-6357-3666
DATE : 2010.6.23 (wed)
VENUE : Fukuoka DRUM BE-1, Fukuoka
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : TSUKUSU 092-771-9009
DATE : 2010.6.25 (fri)
VENUE : Hiroshima CLUB QUATTRO, Hiroshima
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : CANDY PROMOTION 082-249-8334
DATE : 2010.7.2 (fri)
VENUE : Shibuya AX, Tokyo
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : HOT STUFF 03-5720-9999
ミドリ OFFICIAL WEBSITE
http://midori072.com/