<MO'SOME TONEBENDER 『STRUGGLE』 Interview>
──10月の週1企画ライヴ"STRIKES TOKYO"は濃かったですね~。
百々:
濃かった~。濃かったですね。
──あれをやったことでバンドが得た成果はなんでしょうか。
百々:
成果ですか? 肉体疲労と寿命が1年ぐらい縮まったのと……(笑)。
──(笑)。
百々:
でも、そうじゃないとモーサムじゃないよなっていう、なんかね、荒ぶる熱いものが出せたので良かったなと思って。
──あの4組(Torio、PHILS EMPIRE、avengers in sci-fi、雅-MIYAVI-)それぞれは全然違うけど、何か共通項もあった感じで。
百々:
そうですね。なんかはみ出し者だけの集まりで(笑)。
──avengersも、ポップだけど腹に何か持ってる感じだし。
百々:
avengersね! なんかヒネクレてるのがいいですね。サウンド聴くと、けっこうポップな面も強いじゃないですか? でもライヴじゃそれをあのテンションと機材でやってるのが、ちょっとアホに見えて良かったです、はい。本人たちにはあんまりおべっか使いたくないんですけど、いや「やられたな~」と思ったりもしてますし。
──バンドの本格始動の狼煙を上げるにはいい企画だったと?
百々:
そうですね。あとはね、けっこうね、ライヴのクオリティ低いな~と思って。
──自分たちがですか?
百々:
そう! ははははは。
──(笑)。
百々:
「みんな上手いなぁ」と思って。「俺らなんだろ? このボロボロの燃費悪~い……トヨタ・ハイエースで」……今、アメ車って言おうと思ったけど、それカッコ良すぎるなと思って(笑)。それでも疾走してる感じというか。
──(笑)。さて、今回のアルバムからは、ものすごい怒りや、聴きようによっては説教じゃないけど……。
百々:
いや、そのふたつの言葉はね、よくインタヴュー中に言っちゃいますね。言っちゃうというか、怒ったり、説教したりしちゃいますね。ま、愚痴とも言いますけど(笑)。
──はは。モーサムの場合、具体的に「この状況ムカつく」みたいなことは……。
百々:
そうそうそう。出してきてなかったんで。どっちかっつうと、それを小バカにするような、ちょっとヒネくれた表現で曲にしたり、暴力的な曲でもオチをつけたりとか、そういうのが多かったんですけど。アレンジで妙な雰囲気を出すっていう。ただね、そうもやってられんくなったなぁっていうぐらい、この中年の怒りがね(笑)。
──わかります。「おいおい!」っていう状況は。
百々:
なんかねぇ。でもさ、若い頃はオッサンとかにバンドやってて、いろいろ文句言われたりして、「チッ」て思ってたんですよね、当時。二十歳そこそこの頃とか、言うことひとつも聞かずにやってきたような人間なんですけど、なんかその頃、説教してたオヤジと一緒なのかな、俺は? って思ったりするけど、でも! 言わざるを得ない。「言わしてもらいます」(笑)。
──その頃言われたことは、今なら納得できるんですか。
百々:
納得というか理解はしますね。まぁ、「売れる曲作れ」とか「ラヴ・ソング作れ」とか。「ポップ・ソング作れるんなら契約してやる」みたいな、ま、そんなはっきり言う人は少ないですけど、結局そういうようなことを。
──でも今の若い世代は案外、聞いちゃうんじゃないですか? ヤワいっていうか。
百々:
そうそう。甘いんですよねぇ。
──説教っぽくなっていきそうな流れですけど(笑)。
百々:
ははははは! 今日の僕は二日酔いというよりも、まだガンガン酔っ払ってる感じなので、止まんなくなっちゃいますよ。だって昨日、結局残ったのが中村達也とウエノコウジと俺、3人だけだったんで、大愚痴大会ですよ。
──いやな感じだなぁ。
百々:
最悪ですよ(笑)。
──でも若いバンドや人にもそうじゃない人も確実にいるワケで。
百々:
ね? 今回のアルバムにも繋がってくるんですけど、それにこう、響くヤツだけに聴いて欲しくて作ったようなとこがあって。
──オッサンの文句を「痛っ!」と思える人?
百々:
うん。「痛っ!」て感じて、それで奮い立って、オリャー! って楽器屋にギター買いに行ったり……行動はそれぞれでいいんですけど。なんか、こみ上げるもんがある人にだけ聴いて欲しいから、もう間口をキュンキュンに狭めてやると思って。
──逆じゃないですか。
百々:
逆(笑)。
──普通(笑)。
百々:
広くしといたほうがいいのかな? そこはだから、コロムビアさまに広めてもらうんですよ。ニューオーディオグラムに草の根運動で(笑)。
──ははは。アルバムの中身ですけど、1曲目の「Hammmmer」は詞曲は百々さんですけど、アレンジのアイデアは藤田さんですか?
百々:
いや、そうでもないですね。ほぼデモから僕が作りこんでいったんで。
──ある種、懐かしいんですよ。イヴェントのSEでもアタリが流れてましたし。
百々:
あのライオット感はホントにモーサムにもぴったりというか。
──今、ここまでベタにやる人は珍しいというか。
百々:
あー、だから、そうすね。アタマで考えてないんですよ、今回は。「ああしてやろう、こうしてやろう」っていうよりも、もっとダイレクトに響くものでいいよなって。今の時代だからこういう音で、とかね? これが新しいからこの音で、とかそういうのは一切ないですね。
──今までもそうじゃなかったのか? と思うんですけど。
百々:
ははは!
──そうじゃなかったのか(笑)。
百々:
そうなんだよ(笑)。
──(笑)、まぁ、歌寄りのアルバムもありましたからね。
百々:
そう、前作は。
──今回は1曲1曲、それぞれ色があると思います。
百々:
でも(今回は)大雑把に、激しいハードなイメージはありますけど、そう言っていただけるとありがたいですね。
──いや、大雑把にハードってことはないと思います。SONIC YOUTHのカヴァーも収録されてますけど、こういうコード感とかサウンドは90年代のオルタナティヴをわかってる人じゃないと出せないと思います。
百々:
あー、はい。洗練とは無縁な演奏でございます(笑)。
──そんなことないですよ! 音もバキバキにいい音で録れてるし。ライヴで披露してた新曲の1曲が「Hammmmer」でしたけど、藤田さんが鍵盤やシンセも担当している今のスタイルがハマってました。
百々:
うん、そうすね。ライヴを想定した曲作りが今回できたので。それはホントに久しぶりだったんですよ。ライヴそっちのけでレコーディングして、ツアー前に悩むっていう状態が続いてたので。それがね、今回、2年あいだ空いちゃいましたけど、それが無駄じゃなかったなって思える実験が、ずっとライヴの現場でできて。で、「あ、こういうライヴ、できるんなら、こういう曲が作りたいな」という、ホントにライヴ・ハウスのステージ上に立ってる俺らをイメージしながら曲作りできたのが、デカかったですね。
──バンド外活動で得たものって、どういうものですか?
百々:
僕は時間が空いたんで、ソロで弾き語りをやったりとか、いろんな人のサポートやったり。まさに昨日、Superflyで弾いてきたり。そういうことをやり出すと、ちょっとモーサムを客観的に見れるようになってきて、良かったなぁ、と思いました。
──外から見ると、どう見えたんですか。
百々:
「ワケわからんなぁ、めんどくさいバンドだなぁ」(笑)。「え? 他のバンドの皆さんて、こんなにサクサク物事進んで行くんですか?」っていう。うちらはもうリーダー不在っていうか、リーダー決めようがないバンドなんで、いろいろめんどくさいなとか、ま、でもそれがネガティヴな意見じゃないところがまた、モーサムの不思議なとこっていうか。そういうめんどくさいバンドだから、なんとか飽きずに続けられてるんだろうなっていうのもあったり。だから、モーサムのハミ出し具合とか浮いてる部分が見えてきて、それが見えたから、ここまでアルバムをギュッと偏ったもの、作れたっていうのはあります。演奏、ひどくてもOKテイクありますからね、今回。
──はっきり言って、ひどいのかひどくないのか分からない領域にありますけど。
百々:
ははは!
──でもギリギリ、ポップっていうか「面白いよね」っていうところで成り立ってる気がします。
百々:
自分らでさえ、「大丈夫かな?」っていうようなものを作んないと……言われて一番イヤなのは、やっぱ「原点回帰」とか「初期衝動を取り戻した」とか、そういうウソくさいことは絶対、言わせたくなかったので、がんばったんですけどね。言われそうだなぁ。
──いや、そういう人には「ボキャブラリーが乏しいですね」って言ってやったらいいんじゃないですか?
百々:
ははは! 言えるかなぁ、今日なら言えるかも(笑)。
──言ってください(笑)。今回は振り切った曲ばかりではありますが、中でも特に面白いことができたな、と思う曲を教えてください。
百々:
そうだなぁ、僕は「Hammmmer」は……先ほど「勇がシークエンスを作ったのか?」みたいな質問があったけど、それはね、今のモーサムのモードに合わせて、「俺だってこういうの、がんばって作ったんだぜ」というか(笑)。がんばって音楽ソフトをいじって……そういう人間じゃないのに、アレなんだよ、だから「初期衝動じゃないんだよ」っていう。
──でも、新しいアプローチをすること自体がテンション高い証拠ですよね。
百々:
うん。あともう1曲は「けだるいDays」で。大体、アルバムには「この曲、ボツるな」っていう曲が、あるポイントを境にギュッとこう、赤丸急上昇して、完成してアルバムに入るっていうのが1、2曲あって、「けだるいDays」はそういう曲なんです。
──どの段階で赤丸急上昇に?
百々:
それはね、メンバー3人答が違うと思うんで、僕の主観ですけど、歌詞が乗って、ですかね。最初はもっと牧歌的なデモで、武井から出てきたんですよね、で、「これじゃ使えんな」っつえ、勇がいじり倒して歪んだシンセとか入れてきて、ちょっとアルバムのテイストに近づいてきた、が! こりゃたぶん歌詞は今回つけれんなって、最後の最後まで置いてたんですけど。歌詞になったイメージが湧いた時に、「あら、これきちゃった。困った、名曲になってしまう」って思いながら歌詞書いて。うん。そういうことあるんですよね。
──この歌詞に出てくる女の子は実在の人物?
百々:
うん。実在の友だちに起こったことで、くも膜下出血で倒れて、半身不随になったけど、もともとアナーキーだったのが、よりパンキッシュになって帰ってきて。講演バンバンやったり、本出したり。で、またその本がすごいいい本で。うわぁって思って、みんなシケた顔して、電車に乗ってらっしゃいますけど、ケータイばかり見てらっしゃいますが、あんた今どんだけ幸せか、ね? 気づきなさいよ、ってふうに思ったんだよな。
──でも、その感じを過剰にセンチメンタルになることなく、普通の退屈な日常と、彼女に怒った悲劇の二重構造的な曲で、全体からイメージさせるというか。
百々:
そうですね。なんか鈍感になっちゃうんですよね。こんなこと言っちゃダメだと思うんですけど、戦争でも起こんないと気づかないでしょうね。
──あとは、この方みたいに自分が病気になるとか。でも、このアルバムが放ってることから、気づくことは多いと思いますよ。
百々:
それはね、ホントあると思うんですよね。まぁ、半分ギャグで間口を狭めるようなことは言っちゃうんですけど、照れ屋さんなんで。でも、絶対、ここから広がりはあると思ってて。ないとやらないんで(笑)。これぐらいのことをやって、あとはいいツアー廻れたら……そこはなんだろね? そこは曲げずにやんないと得るものはないんで。人の言うこと聞いて、「はい」つってやってもそんな、楽しくないっていうのも気づいたので(笑)。
──(笑)。どこら辺で気づいたんでしょうね。
百々:
どこでしょうねぇ(笑)。
