<Nothing's Carved In Stone インタヴュー>
──今回のDVDに収録された赤坂BLITZのライヴは、みなさんの中でどんな位置づけですか?どんな思いで当日は臨んでいたんでしょう?
村松拓:
ツアーを23本まわった後だったから、みんなでガッといこうぜ! という気持ちとカタルシスが、うまくオーディエンスにも伝わったんじゃないかなと思います。
生形真一:
大きなツアーは2回目ですけれど、ツアー中は2か月くらい一緒にいるから、ライヴについていろいろな話もできるし、やるごとに毎回どんどん良くなっていった。そんなツアーのファイナルだったので、気合いも入るし、終わってしまうという寂しさもあるし、いろんな感情があるライヴだったと思います。追加公演もありましたけれど、やはり感慨みたいなものがありました。
日向秀和:
いいツアーでしたよ。セカンドをひっさげてだったので、ようやくバンドとしての意志が座ってきたというか。最初のツアーって模索しているところに向かってやっきになっている感じがよかった。その熱量のツアーだったような気がするんだけれど、今回はある程度見せてきたところで向かっていたから、いい感じに落ち着いている部分も感じていたんです。がむしゃら感というよりは、あうんの呼吸というか、「俺たちがんばろうぜ!」みたいなノリというよりは、もう少し物事をドライに捉えているというか。どのライヴもツアー・ファイナルの気持ちでやってるけれど、すごく目標に向けてやってることが蓄積されていく感覚は、回を重ねるごとに感じました。追加公演もあったんだけれど、ブリッツのほうが終わった感はあって。追加のLIQUIDROOMのほうががむしゃらな感じがして面白かったね。
大喜多崇規:
いいグルーヴがあったんじゃないかと思います。僕らの演奏の揺れとお客さんの乗ってる揺れというのがすごい良かった。ツアーを続けて、感覚が鋭くなっているから、時間をゆっくり感じながら演奏できたんです。もっと精度を上げたいと思いながらやってるんですけど、自分のなかでまるでツアーの初日のような緊張感もあったりして。
──『Sands of Time』はファースト・アルバムとはまた違う完成度がある作品だと思うんです。『PARALLEL LIVES』は4人の個性のぶつかり合いによるヒリヒリした魅力があって、セカンドはもっとバンドとしての一体感を追求されていたんじゃないかと感じるんです。ツアーを重ねてセカンドの楽曲をプレイするなかで感じたことは?
生形:
自分でもあらためて、他のバンドに比べて、うちのバンドはライヴと音源でずいぶん雰囲気が違うなとは感じていて。それは何かな?って考えたりもするんですけれど、オン/オフが激しいのかなという気がします。どんなにライヴ・レコーディングで一発で録ったとしても、そこにはお客さんがいないから、音源はライヴのようにはならない。いまはなるべく生っぽく録ってるんですけど、ライヴはそこにお客さんがいて、俺らはそこでやりとりをしているから、ライヴはやっぱり音がより外に向けた音になってくるのかなと最近特に思います。
村松:
バンド感はもともとあると思いますけど、ツアーをやればビルドアップされるし。
日向:
演劇とかお笑いのライブに近いよね。音楽性自体はマニアックなことをやってると思うし、その日の空気感をお客さんにいかにして届けるかっていうのは、ひょうきんに演じていたほうがぜったい届くと思う。熱を持って、それをめちゃくちゃにクールに表現するというのもバンドとしてはありなんだろうけど、僕らはそうではない。もっと近い距離で「こういう音楽なんだよ、どう?」という距離感で伝えていきたいと思っているから。そこはみんな同じ意見なんじゃないかと思います。
──DVDでは手持ちのカメラと引きのカメラを組み合わせることで、オーディエンスの爆発ぶりとか会場の熱気がすごく生々しく捉えられています。前のDVDと違う手法をとろうという狙いはあったのですか?
生形:
特典の部分は前回はオフショットをすごく多く入れたから考えましたけれど、ライヴを見せるのがうちは一番早いというのがあるので、そこは変わらないですね。俺ら結成してまだ2年だけど、内容の濃いことをやってると思うんです。会うたびに曲を作るし。そういう意味でもファーストの頃と比べると変わっているのが解ってもらえると思う。
──ギミックの少ない、正攻法のライブ作品になってると思いますが、明らかにそうしたバンドの進化は収められていますよね。この日のセット・リストはなにかテーマがあったんですか?
日向:
ツアー中とあんまり変わっていないよね。
生形:
ツアーの最初の何本かはたくさん話して毎回変えていくんです。固まってからそのまま続けて、またちょっとこなれてきたら変えたり。だからあまりファイナルだからこうしようというのはなかったですね。
大喜多:
できるだけいっぱい曲をやりたいなと思って。そのなかで自分たちが気持ちいい並びにしたつもりです。
日向:
ファーストの頃って盛り上げようと必死だったけど、勝手に盛り上がってくれてる感が出てたから、そこで曲が浸透したんだと思いました。一年経つとすごく曲を聴いてくれて、例えばある曲のイントロを弾いただけでもウォー! となってくれたりというので、やりやすくなりました。
──楽曲の伝えたいポイントがきちんとオーディエンスに届いているという実感が?
日向:
そうそう、曲の良さがちゃんと伝わってるというのはすごく思います。しかも、ツアーがはじまってからファイナルまでの期間でもお客さんはたくさん聴いてくれていると思うから、ファイナルの頃にはより乗ってくれる。ここでこうなってるっていう一体感が増していると思います。
──ステージの上でもいいリアクションが返ってきてるということを感じながらプレイされているんですね。
生形:
それはすごく感じますね。俺たちが弾いてこう乗ってたら、同じ乗り方をしてくれる。
──逆にファーストの頃のライヴは、お客さんとのコミュニケーションの点で不安もあったのですか?
生形:
けっこうお客さんがどうしていいか解らないという様子もありましたね。
──でも今回の作品でも、演奏に対してダイレクトな反応をかえすフロアの様子が映されますけれど、すごくいい状態でバンドとオーディエンスが楽しんでいるなと思いました。
生形:
バランスはすごくいい気がしますね。さっきひなっちも言ったけど、俺たちなるべく自然体でやってるから。人間だからミスするのも隠さないし、だからライヴ・ハウスもそういう雰囲気になるのかなと思います。
──作品にはボーナス影像として、ブリッツ以外にも初日の横浜BAY HALLや京都の磔磔、前のツアーの渋谷AXでのパフォーマンスも収められていますが、ツアー最中の印象に残っている出来事はありますか?
日向:
俺、拓とチューしたよね
生形:
それドアップでガンガン映ってるよ(笑)。
大喜多:
ベイホールの時に(お客さんが盛り上がりすぎて)建物が揺れて、シーケンスのマシンが停止してしまったんです。それで、機材をチェンジしている間に、みんなのアドリブがはじまってセッションしたんです。その次から、防震マットを引くようになって、それからノー・トラブルになりました。
生形:
でもあの日から、前回のツアーと明かに違うなと思った。
──緊張感というよりは、そうしたトラブルも含めてみんなで共有しようというムードがありましたものね。
生形:
待っててくれた感もすごい伝わってきたから。
日向:
こんなにお客さんは俺らのこと待っててくれたんだ! ってびっくりしちゃって。あとHINTOの(林)束紗ちゃんがかわいかったのが印象的でしたね。(一同笑)
村松:
磔磔でやれたことは良かったよね。
──ボーナス映像として収められていますよね。臨場感あって、よかったです。
村松:
お客さんの熱気が伝わりやすかったです。ほかにもいろいろあったことはあったんだけど……全部が楽しかったです。
日向:
そりゃものすごい勢いで、ここではちょっと語れないことも多すぎちゃって(笑)。
生形:
まぁバンドが転がってるってことだよね。
──アルバムが2枚になって、レパートリーが2倍になったということは、一晩のセットで表現できる曲のバリエーションもかなり広がったと思うんですが、より自分たちの目指すライヴがしやすくなったということは?
生形:
ヴァリエーションが増えるといろんなパターンでライヴが組み立てられるから、いろいろ試しました。最終的に残ったライヴの選曲って、今の俺らに一番必要な、俺ららしさのあるもの。もちろん他の曲がダメとかじゃなくて、今の俺たちの気持ちやテンションに合ってるものって、限られてくるんですよね。
──実験的なことをやりつつも、NCISが演奏するとポップになり、ロックになる、ということはあると思うんです。
日向:
基本的にはメンバーみんなエモーショナルなところがすごく好きじゃないですか。マニアックなことをやってもロックになるというのは、すごくエモーショナルなライブをすることで、その熱感がお客さんにも伝わると思うんです。みんなエモーショナルであることがロックである、という解釈をしているんじゃないかな。サウンドがどうというのではなくて、たたずまいがロックだし、伝えたいと思うことがポピュラリティだということで、すごく理にかなっているバンドだなと思います。
──でもメンバーの共通項をあえてディスカッションしたりということはしないんですよね。
生形:
ぜんぜんしないよね。
日向:
かっこいいじゃん! と思うことだけをかぶせ合っていく感じです。無理強いをせず、みんなで高め合っていくからかな。
大喜多:
その通りです。そういうのをシナシー効果というんですよ。かっこいいことを素直にかっこいいと思って、それに自分のエッセンスを入れるとちゃんとバンドになる、というのが僕らのかたちなんだと思います。マニアックなことはやってるけど、楽しくしたいし、乗れないと嫌なんです。これはバンドを始めたときから思っていることですね。
日向:
五拍子乗せなくてどうするの!みたいなね。
大喜多:
演奏もあるけれど、最終的に拓の歌にギュッと集約させてオーディエンスにどうだ! って託す。だから今回初めて「Sleepless Youth」が入っているんですけれど、今の段階で入れることができてよかったなって。スタッフにも感謝だし、メンバーにも感謝だし、付いてきてくれたお客さんにも。嬉しいくて自分で聴き直しました。元気な曲もあるし、「Palm」のようなきれいな曲もあるし、全部が気に入ってる曲なんですけど。
日向:
「Sleepless Youth」いい曲だね。
──「Palm」のようなメロウな曲でもNCISがやると、すごく開放感のある曲になるというのがすごいNCISというバンドの魅力だなと再確認しました。
日向:
みんな持ち前の明るさでがんばってますから。
生形:
曲やプレイに性格が出るからね。
──ツアー中は新しい曲のアイディアが浮かんでもなかなか曲作りのモードにはならないものですか?
生形:
ちょっとはやったけどね。リハでセッションして、それを次の作品のネタにしたりはしますね。今回もふたつくらいあります。これからちゃんと作ろうと思っています。
──それでは、2011年のNCISのモードとしては?
生形:
もう次のツアーのことまでは考えてます。曲作りも新しいことをトライしていきたいけど、演奏しているのは4人だからまったく違うものはできないからね。俺たちがいいと思うものを作るのがまずは最低の条件ですね。
村松:
どういう風になるのかは解らないですけど、転がってく感はこのまま続いていくんじゃないかな。転がっていくと一緒にいろんなものが付いてくるから、その感覚でもうちょっと進めていきたい。オーディエンスも巻き込んで一緒に転がっていきたいなと思っています。
──フロントに立つ村松さんにも、オーディエンスの反応がヴィヴィッドに返ってきていますよね。
村松:
そうですよね。なんなんだろうこいつ、とかいう見られ方は最近はないです(笑)。それはみんなのおかげです。
日向:
もうみんなの拓ちゃんだから。(一同笑)
──今回のライヴDVDは、ファンの方が見たかったNCISが見られる、嬉しい作品だと思います。作品としてのクオリティも高いので、単純なライブの記録とか追体験というだけでなく、この作品をきっかけにNCISを聴くということもぜんぜんオーケーじゃないですか。
日向:
友達に「このバンドかっこいいよ」って伝えてほしいですよね。
生形:
だってこのDVD見てライヴに来てくれたら、もっといいライヴを見せられる。やっぱそこは俺ら自信あるし、そのためのDVDでもあったりする。俺らはそうやって育ってきたから、ライヴって楽しいし感動もする、その血を伝えていきたいです。
