<LITTLE TEMPO 『太陽の花嫁』 Interview>

ある日の穏やかな昼下がり、怪しげなオーラを放ちながら近所の公園を散歩する土生氏。この後、取材班は驚くべき光景を目にすることに(次の写真へ続く)!!
──もうすでにリリースされてますけど、評判は?
土生:
リリースしてから、急にモテちって、花嫁にしてくれっていうギャルが殺到していて嬉しい悲鳴だよ。
──妻子持ちなのに(笑)。
土生:
そこに、男としてのジレンマを非常に感じつつあります。
──Fela Kutiみたいに。
土生:
そう、Fela Kuti状態にしたいんだけど、なかなかそうもいかないしさ、バビロン・システムが……。
──作品を出した後のジレンマ(笑)。3年ぶりの作品ですが。いつもインタヴューの時には、やっぱり自然にできたものでしかないって言われてますが……。
土生:
それ以外はないんで、それ以上言うこともないんです(キッパリ)。
──やっぱり……。
土生:
いいじゃん、もう、作品の話以外すれば。
──ギャルの?
土生:
そうだよ。それがイイ! 『remix』誌(註:質問者がかつて在籍していた音楽雑誌。現在は休刊)で合コン・カラオケ大会開くとか。あ、『remix』誌じゃないんだよね、もう。
──はい。今回はNew Audiogramというウェブマガジンっす。
土生:
オレ、パソコン持ってないからその時点ですでに話がわからないんだよね。
──ダハハ。
土生:
完全に乗り遅れたんだよ(泣)。
──『山と海』で変わった部分ってありますね。
土生:
ない(即答)!。
──やっぱり……。タイミング的に3年ぶりですが、このリリースのタイミングは?
土生:
まぁ、石の上にも3年という言葉があるように、3年ぐらい熟成させないとイイものができないっていう俺の信念の上で3年という期間を選んだんだよね。
──制作は今年前半という感じですか?
土生:
新年会にたこ焼きパーティがあったから、そのときにデモ・テープを聴いて。そのたこ焼きパーティで決起集会。たこ焼きは玄(田村玄一)さんが作ってて。玄さんはたこ焼きは作ってたけど、そのときはデモ・テープ聴いてなかった。
──ダハハ。
土生:
聴いてなかった。そこは俺は知ってんだけど。
──でも、やるぞと。
土生:
そう。
──アルバムにつながる楽曲とか、デモとかスケッチ的なものは貯めてたんですか?
土生:
そう。
──話を膨らまそうとしないですね(笑)。尺埋まるのかなぁ……、怖いなぁ。初期以来のひさびさの打ち込みってなにか心境の変化でも?
土生:
別に。
──うっ。
土生:
いいね、答えこれだけ。さっぱりしてて(笑)。
──途中で地震もあったわけですけど。音楽に対する向き合い方とか変化した部分ってありますか?
土生:
色々ありすぎちゃって、わからない。ただ、音楽だけは真剣にやろうとおもっているよ。Bob Marleyが歌っていてることはリアルに感じるし。いままでみえなかったものが、はっきりとみてきた。俺らは歌詞のある音楽じゃないから、言葉で表現できないけど、そういう部分に対しては楽器で強くメッセージを発していこうかなと思ってる。

土生氏が散歩していると、犬が親しげに歩み寄ってきた。後に土生氏に訊くと「ついつい(ヴァイブス)が合っちゃうんだよね」とのこと。これが彼のいうテレパシーか!? さらにこの後、小鳥や猫、たちも集まり、しばし和やかな歓談が繰り広げられた。まさに奇跡!!
──あえて、そういうもの、周りにはシンガーもいるわけだから、メッセージを乗せた曲を作ろうと思ったりとかは思わなかったですか?
土生:
俺が歌上手ければいちばんいいんだけどさ、なかなか歌上手くならないからさ。歌入れは、俺が歌上手くなったときに取っとこうかなと。やるときは、全部俺の歌入りで。もちろんラヴァーズ・ロックで、全部歌詞は日本語で。うっとりするような。
──ギャルを口説く。
土生:
口説かなくても寄ってくるようにしたいなあ~(笑)
──リトルテンポの場合、その存在、音楽自体が、人間らしくあれというか、そういうメッセージみたいなものがあるじゃないですか。
土生:
それに対する答えは……"だって 人間だもの。たけし"。 "相田みつを かよ"(一人突っ込み、笑)。居酒屋のトイレによくあるね。
──『太陽の花嫁』は『山と海』の延長戦というか、根本的に流れているものは一緒ですよね?
土生:
……"だって 人間だもの"(大爆笑)
──制作中のメンバー間の話なんかは?
土生:
それもまったくない。
──集まったらこうなってたと。
土生:
そう。音で会話してるから、普通の会話したくないんだよね。むかついたりするから。
──ハハハ。
土生:
音だったら前向きに捉えて調和していくんだけど、会話だと調和にならないでむかついていくんだよね。なんかしんないけど、カチンときたりするから、あえてそういうことは避けたいと。だから言葉じゃない部分でコミニケーションを築いて、美しい世界を築くと。それが、これからの人間のあり方。
──LITTLE TEMPOは壮大なプロジェクトっすね。
土生:
そうだよ。言葉はそのうちいらなくなるんだよ。マジで。本当だよ。くだらない話してるから、喧嘩になんだよ。もう会話しなくてもテレパシーだから。すごい美しい世界が広がって来てるんだよね。
──このCDには、そんなテレパシーが入ってると。
土生:
そうだよ。ある人はそれをテレパシーと言うし、ある人はそれをヴァイブスと言うと。ある人は以心伝心というし。
──そこに打倒バビロン・システムも入ってると。
土生:
そうだよ、攻撃してつぶすんじゃなくて、愛の力で抱擁する。「壊してやる」とか「やってやる」とか言ってると、敵対心が生まれて喧嘩になるから、大きな愛と笑いの力を持って、バビロン・システムを抱擁してあげると。そっちの方が、でかいんだよ。そうなるとバビロン・システムもおとなしくなって、ザイオンに向かうわけだよ。ラスタファーライ!
──まさに『太陽の花嫁』ですね。
土生:
そういうこと。シンクロしたじゃん。
──他のインタヴューで読んだんですが『太陽の花嫁』ってタイトルは、マスタリングに行ったロンドンで、Kenji Jammerさんとの話で出て来たとか。
土生:
ロンドンでケンジ X TICO対談、強力なGサミットが行われたわけですよ。曲名もまったく決まってなくて。
──カヴァー以外は。
土生:
そうそう。それをずっとケンジャーの家でマスタリングまで聴いて。いろいろないい曲名のアイディアが出たんだよね。
──「ときめき☆リダイアル」ですからね。
土生:
もう、「ときめき☆リダイアル」なんて胸キュンしちゃうでしょ! 聴いた?
──もちろん取材なんで聴いて来てますよ(笑)。
土生:
俺の場合はリダイヤルって言っても、こっち(電話のダイヤルをまわす仕草)なんだけどね。ドキドキ感がいいなっていう。
──この曲なんかもそうなんですけど、土生さんのキャラクターも含めて、温かいこの感覚はいわゆるメロウっていう表現のされ方よりも、人情みたいな言葉の方が合ってるのかなと思って。
土生:
人情、良い言葉だね。人の情け。
──人を思う心をというか、メッセージとしての。
土生:
人情だね。いいね。

先ほどの"奇跡"の余韻に打ち震える取材班を尻目に、スワンボートに乗っておどけてみせる土生氏。彼が提唱する新エネルギー“ダイナモ”を実践。こんなお茶目な人柄も土生氏の魅力のひとつだ
──目指す場所、野望ってあるんですか?
土生:
ない。
──リトルテンポでやってみたいことは?
土生:
スノボ!
──え(笑)。
土生:
バンドでやってみたいのはスノボだね。サーっと滑りたいね。去年やったんだよね。地方にライヴに言って、パーカッションの(田鹿)健太と一緒にやったんだよね。それがスゲー楽しくて、スノボくらいできなきゃ、どうするの? まじで。
──俺ダメだと思います。
土生:
河村とは話できない。バビロンに毒されてる(笑)。
──そのぐらいの勘がないと。
土生:
そんなやわな体じゃ、サヴァイヴできないよ。こんな時代になっちゃったら、食い物もなくなるし、自分で採って食うぐらいじゃないと。俺はそういうスタイルにしたいなと。
──リトルテンポはそういうスタイルを啓蒙するバンドだと。
土生:
啓蒙じゃなくて、推奨するバンドだと。推進派だね。
──大自然推進派。
土生:
大自然"超天然"推進派だね。
──前の『山と海』は写真でしたが今回はイラストですね。
土生:
今回は白水(生路:Seiji Big Bird)が書いたんだけど。俺と白水でテレパシー交換したときに、鳥が出て来たんだよ。その交信のとき「じゃあ、小鳥じゃねぇか」って言ったらアイツも「小鳥だね」っていうヴァイブスが返ってきたから。
──フフフ、それでもタイトル決まる前なんですよね。
土生:
そう。
──でも、タイトルとはまってますよね。空のイメージと鳥と。
土生:
希望だしね。
──あと、変化というと大野由美子(Buffalo Daughter)さんみたいないつものゲスト陣に加えてicchieさんが加わってますが。icchieさんのバンドもそうですし、現場ではよく一緒になってますがリトテンの録音自体は初ですよね?
土生:
改めて呼んできたっていう感じでもないから。いつも一緒にやってて、やってて楽しい人たち、愛に満ちあふれた人たちとやると。
──ここ『山と海』以降、かなり細かく回られてると思うんですけど、ライヴでどこが面白かったですか?
土生:
東京以外。東京以外は最高。
──津波の被害が大きかった三陸の沿岸とかは行かれたことありますか?
土生:
前にリクルマイちゃんの故郷の、宮古にライヴに行ってるからね。
──そういう意味では、ミュージシャンの方は前にまわってるから、よりリアルに感じらっしゃる方も多いですよね。
土生:
できることは音楽やって応援するしかないから。余計なことも考えてないし、シンプルに音楽をやってみんな元気になってくれれば良いなと。それは自分も含めてね。やっぱり(震災以降)みんなやられちゃってるから。ほんと、自分が作った音楽で気持ちが癒されたらうれしいんだよね。でも絶対そういう効果が音楽にはあると思うから。
──今年の夏は『太陽と花嫁』をひっさげて怒濤のライヴ攻勢って感じですかね。
土生:
とにかく楽しんでいこうと思っております。ありがとうございました。
──わ、終わった!
