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今年の4月に『Within and Without』を発表したWASHED OUTと双璧をなす、チルウェイヴ/グローファイにおける最重要アーティストのひとり、NEON INDIANことAlan Palomo。彼が2009年に発表したデビュー・アルバム『Psychic Charms』は、同年にWASHED OUTが世に送り出した「Life Of Leisure」ともに、チルウェイヴという新たな潮流が生まれつつあることを世に伝えたまさに金字塔的な作品として知られている。かのTHE FLAMING LIPSのWayne CoyneもそのAlan Palomoのサウンドに魅せられたひとりで、その後、THE FLAMING LIPSとAlan Palomoはツアーを一緒にまわり、またコラボレート作品までリリースするに至っている。またMASSIVE ATTACKやPHOENIXといった大物たちもまた彼をステージに招いている。とにもかくにもAlan Palomoは、いまやチルウェイヴ/グローファイといった枠組みを越え、世界で最も注目されるエレクトロニック・ミュージックのプロデューサーのひとりとなったと言える。そのAlan Palomoがついにセカンド・アルバム『ERA EXTRANA』を完成させた。THE FLAMING LIPSとの仕事でも知られるDave Fridmannがミックスを手掛け、また祖国アメリカを離れ、フィンランドで制作およびレコーディングをおこなったという本作は、『Psychic Charms』を超えるスケール感、そしてSFめいた独特のトリップ感を増幅させている。彼自身が本作について「地球の端っこにいる気持ちを味わいたいなら、この本作を聴くことが近道だよ」と説明するように、ハマって聴くと、かなり遠くに飛ばされてしまう。素晴らしく幻想的で、心地の良いトリップが味わえる。まあ、とにかく聴いていただきたい。スペイン語で「人びとが常に何かを恋しがる時代」という意味が込められた本作『ERA EXTRANA』について、Alan Palomoがインタヴューに答えてくれた。

Interview : Naohiro Kato
ERA EXTRANA / NEON INDIAN
YRCG-90063 2,300yen (tax in)
2011.9.7 on sale
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  1. Heart: Attack
  2. Polish Girl
  3. The Blindside Kiss
  4. Hex Girlfriend
  5. Heart: Decay
  6. Fallout
  7. Era Extrana
  8. Halogen (I Could Be A Shadow)
  9. Future Sick
  10. Suns Irrupt
  11. Heart: Release
  12. Arcade Blues (Single)
  13. Eras Ending Above Us
※14曲目から25曲目は前作『PSYCHIC CHASMS』/日本初回盤のみ『PSYCHIC CHASMS』の全12曲をボーナス・トラックとして追加収録。
NEON INDIAN / HEART : DECAY
 
NEON INDIAN / HEART: ATTACK
<NEON INDIAN 『ERA EXTRANA』 Interview>
──本作はフィンランドのヘルシンキで書かれ、またかの地でレコーディングもおこなったとのことですが、なぜヘルシンキだったのでしょうか?
Alan Palomo:
ツアーで何回か訪れたことがあり、とにかく美しい場所だなと思ったんだ。しばらく滞在したいと思える場所だったから、ヘルシンキを選んだんだよ。
──あなたはこのアルバムを「地球の端っこにいる気持ちを味わいたいなら、この本作を聴くことが近道だよ」と説明していますが、本当に、まさにそうだなって思いました。世界の端っこというか、まるで世界中でたったひとり自分だけが生きているような、ある種のSF的な世界観といか……、なんとも不思議な感覚になります。
Alan Palomo:
今まではスタジオで作業したことがなかったけど、今回はDave Fridmann(MERCURY REVの第4のメンバーにして、THE FLAMING LIPS、WEEZER、LONGWAVE、MOGWAI、NUMBER GIRLなどの数々の名作を手掛けてきたスーパー・プロデューサー)のスタジオで作業できたおかげで空間を意識することができた。サウンドを囲むちょっとした空間を作れる可能性が大きく広がったんだ。自分がサウンド的に面白いと思うレコードは、そういう空間でレコーディングされたものばかりだったし、スタジオを使うっていうアイディアが壁を取り払って、自分が創り出したかったものを作るのに大きな役割を果たしたと思うよ。
──アルバムを通して、何かひとつの壮大なSF映画を観たような感覚というか、ストーリー性のようなものを感じましたが、何かコンセプトめいたものはあったのでしょうか?
Alan Palomo:
具体的なコンセプトはないな。けど、今回のアルバムではプロダクションのコンセプトはあった。前のアルバムとは全然違うプロダクションにしたいと思っていたんだ。で、それをどうはじめたらいいのかわからなかったんだけど、ニューヨークで捜し出したドリーム・シンセをアルバムに取入れることにして、それをどうやって使うかを勉強したんだ。それがひとつきっかけになった。音のそれぞれが個性的だから、それをどう組み合わせたらベストになるかを見つけ出さないといけなかったんだ。前作が作ったすべてのトラックに後からメチャクチャな光沢を加えたものとしたら、今回のアルバムは、すでにメチャクチャなサウンドをどう調整するかっていうプロセスのもと作られたアルバムだ。
──アルバム・タイトルにもなっている楽曲「ERA EXTRANA」にはどんな意味が込められているのでしょうか?
Alan Palomo:
この言葉はスペイン語で、「strange=おかしな」って意味と、もうひとつ「to miss=見失う、恋しがること」っていう意味がある。だから主に、このタイトルの意味は「missing era (=人々が常に何かを恋しがる時代)」ってことなんだ。テクノロジーが進化した今の時代、人々は皆世間に取り残されて、何かを探して、常に何かが欲しいと待ちこがれてる。そんな意味なんだ。しかも、昔の70年代や80年代の映画なんかで未来とされてきた世界が今僕たちの目の前にある。それもなんかストレンジな感じがするだろ? そういった意味も含んでるんだ。
──あなたの音楽を紐解くうえで、SF観のようなものも重要な要素をとしてあるのではないかと感じましたが、影響を受けたSF映画、小説などがあれば、教えてください。
Alan Palomo:
映画からは大きな影響を受けたよ。最初のレコードの時は『冬の旅』や『マイ・プライベート・アイダホ』、『ストロツェック』を見てた。そういった、だらしがないのになぜか愛らしいキャラクターがでてくる映画を沢山みてたんだ。それが、頭の中にある曲と歌詞、ストーリーを形にするのに役立ったんだ。その見解から物事を見れたり、キャラクターの中に入ってみたりして。今回の新しいレコードでは『ブレードランナー』みたいな作品が頭の中にうかんできたんだ。そういう映画で未来とされてきた世界は、今の自分たちにとってはもう有り得ない世界じゃない。僕たちは今、その世界の目と鼻の先にいるのさ。本は、音楽から休憩したい時にはいつだって最適。クリエイティヴな状態からちょっと距離を置くために、両極端な小説をいつも探すようにしてるんだ。つまり、バランスだね。
──改めてNEON INDIANというプロジェクト名の由来を教えてください。
Alan Palomo:
この名前は、僕が考えたとは言えないんだ(笑)。高校の終わりの頃にGhosthustlerというエレクロ・バンドをはじめたんだ。その時に友だちのアリシアが、冗談で言ってきたんだ。「あなたがGhosthustlerってバンドをやるなら、私だって自分のバンドをはじめるわ。何て名前にしようかな……、そうだNEON INDIANにするわ!」ってね。でも彼女と彼女の友だちは全然楽器が弾けなかったから、彼女たちのMyspaceのページは2、3年空っぽのままだったんだ(笑)。で、僕が新しいプロジェクトのために音楽を書きはじめたとき、主題や歌詞のほとんどが彼女についてだったことに気づいたんだ。だから、高校の廊下で思い付いただけで実際は存在しなかったそのバンドの名前が、このプロジェクトの呼び名にうってつけだと思ったのさ。
 
──あなたの書く歌詞は、幻想的で、どこか浮世離れした白昼夢のような魅力があり、それがサウンドとも非常にマッチしていると思います。歌詞を書くうえで意識していることはどのようなことですか? また作曲、作詞、どちらが先なのですか?
Alan Palomo:
歌詞のアイディアは自分の中の経験から生まれるんだ。普段はシンプルなループから曲を作って、そのループに色々と重ねてくんだ。重ねるのが歌詞だったりもするし、曲だったりもする。どちらが先か決まりはないよ。
──本作はアルバムの中に「Heart: Attack」、「Heart: Decay」、「Heart:Release」という関連する3つのインタルードが収録されていますが、これらの楽曲のコンセプトについて教えてください。
Alan Palomo:
まず、いろんなパターンを試していく過程で、同じ曲の似たようなヴァージョンが3つできたんだ。インストのコンビネーションで作ったんだけど、最終的にその同じサウンドを使った3曲を全部を入れたかった。で3部の構成にしたんだ。繋がってるけど繋がってない3曲。リンクしてるけど、わけて違う音楽のピースにしたんだ。
──4曲目の「HEX GIRLFRIEND」はストリートのひとこまというか、ドラッグをキメすぎた女の子の話ですが、本作の中では数少ないある風景の描写になっていると思います。これはフィンランドで実際に遭遇した出来事からインスパイアされた歌詞なのですか?
Alan Palomo:
いや、そんなことはないよ。この曲の歌詞は、とてもパーソナルなんだ。自分だけが知ってるストーリー。この曲は特に自分の中で秘めておきたいんだ(笑)。
──前にWASHED OUTにインタヴューをした時に、彼はあなたの音楽にグラムロックを感じると言っていましたが、実際にグラムロックからの影響はありますか?
Alan Palomo:
そういう部分も見えなくはないよね。自分の中での大きな影響のひとつは、テレビで「Virginia Plain」をプレイしてるROXY MUSIC。バンドの中のひとりのメンバーが、ノブが詰まったブリーフケースを楽器にしてるんだけど、それがすごくおかしなサウンドを奏でてて衝撃的だった。そんなものが存在してるっていうのにもビックリだったし、全国放送で放送されてて、しばらくずっとハマってたんだ。そのサウンドがグラムロックっぽさを生み出したかどうかはわからないけど、精神がそこにあったのは確かだよ。
──『Psychic Chasms』以降、様々な共演やステージを経てたことは、あなた自身の音楽や表現活動にどのような影響を与えたと思いますか? 中でもTHE FLAMING LIPSとの共演、またコレボレート作品は話題を呼びましたが、彼らとの仕事はどういうものでしたか?
Alan Palomo:
THE FLAMING LIPSには、ちょうど1年前に会ったんだ。ツアー中にね。Wayne Coyneがショーでポートランドに来た時だった。その時彼は、Ariel Pinkと来てたんだけど、知り合いになって、いつか一緒に何かやろうってことで連絡先を交換したんだ。そしたらこのアルバムのためにDave Fridmannのスタジオで機材の作業をしてたら、彼らがレコーディングのために来て、偶然「ヘイ!」って感じで声をかけられた。で、せっかく一緒にスタジオにいるんだから、何かやってみようぜって話になって、コラボが実現したんだよ。いろいろとインスパイアされたよ。すごくサイケデリックで、プロダクションがライヴ・ショウみたいだった。それぞれが違うことをやって、合わせてどうなるかを見るって感じ。それぞれが適当に勝手に音を出してるように見えて、3時間後にはそれが曲になってるんだ。すごいよね。
 
──そのDave Fridmannとの仕事はいかがだったでしょうか? また彼はあなたのサウンドに何をもたらしてくれましたか?
Alan Palomo:
彼との作業は最高だったよ。面白かったしね。彼と自分、両方にとって色々と学べるチャンスだったんだ。彼にとっては、完全なエレクトロニック・レコードを手掛ける初めての経験になったし、僕にとっては初めてスタジオでのレコーディングが経験できた。だから、お互いにとってすごくよかったんだ。彼を起用したのは、僕が最初に友達からもらったミックスCDの最初の曲が、MERCURY REVの『Deserter's Songs』の「Holes」だったんだ。
──あなた自身のことについても教えてください。生まれも育ちもテキサスなのですか?
Alan Palomo:
生まれはメキシコ。アメリカに越してきたのは5歳の時。最初に住んだのはテキサスのサン・アントニオだった。テキサスは、僕が人生のほとんどを過ごしてきた場所なんだ。それからは色んな場所に住んでる。オースティンにダラス、デントンとかね。
──最初に作りはじめた音楽はどのようなものでしたか?
Alan Palomo:
これまでに影響を受けたのは、シューゲイザー、ポスト・パンク、エレクトロなんかだよ。で、一番影響を受けたのはNEW ORDER。自分をエレクトロにハマらせた曲は、彼らの「Bizarre Love Triangle」は本当に大好きだ。とにかくパーフェクトで、ロマンティック・フィーリングが詰まっている。しかしこれが自分の生涯のお気に入りソングになるとはね、はははは。
──他にも影響を受けた作品などがあれば教えてください。
Alan Palomo:
YELLOW MAGIC ORCHESTRAの『Solid State Survivor』、M83の『Deas Cities, Red Seas & Lost Ghosts」。あ、待って、やっぱり2枚目変えてもいいかな? BOARDS OF CANADAの『Music Has The Right To Children』。あとは、ちょっと変だけど、Bill Nelsonの『Sounding The Ritual Echo』。いやー、たくさんありすぎて、いま思いつくのはこれだけだな。
──バンドなどをやっていた経験は?
Alan Palomo:
Ghosthustlerが自分が人生で一番最初にはじめたバンドだったよ。
 
──NEON INDIANを名乗り、作品を作りはじめた頃、どのような方向性を考えていましたか?
Alan Palomo:
自分自身の人生と経験だけをベースにした音楽を作ろうと思って、NEON INDIANをはじめたんだ。ある要素を磨くっていうプロセスを気にせずに自由に曲を書く事に集中できる、そんなプロジェクトをやってみたかったんだ。
──『Psychic Chasms』以降、あなたのサウンドは、チルウェイヴ、グローファイと呼ばれるシーンの代表として語られるようになりましたが、同じくそのシーンの代表として挙げられWASHED OUTやToro y Moiなどにシンパシーを感じることはありますか?
Alan Palomo:
こういう質問をされるまで、チルウェイヴ世代なんていうのがあることも知らなかった。2008年とか2009年って、従来の音楽カルチャーが崩れた時だったよね。パンク・ロックがラップトップで作られる様になったんだから。ギターや安いアンプの代わりに、曲作りのプロダクションをインターネットで学ぶ人たちがでてきたわけだよね。でもそういう人たちは、ダンス・ミュージックの前に聴いてた音楽の感性も持ってるだろ? My Bloody Valentineとか、シューゲイズ・バンドとか、そういったインディ・ロック・カルチャーの感性。それをシンセ・ポップで表現してる、それが共通点かな。
──今回ジャケットのアートワークも素晴らしいですね。このデザインはあなた自身のアイディアなのですか?
Alan Palomo:
うん。僕のアイディアで、Focus Creepsとのコラボレーション。頭の中に、まるで人間じゃない何かを隠すかのようにカメラからさっと自分の顔を動かす女の子のイメージがあたんだ。主人公がうっかり少しの間第二次世界大戦の戦場に送られてしまう『12モンキーズ』のシーンみたいな。過去の遺物を見てるような感覚を表現してるんだ。
──最後に、日本であなたの次の作品、そしてライヴが観れることを楽しみにしているファンにひとことメッセージをお願いいたします。
Alan Palomo:
パンク・ミュージックとテクノロジーの融合は、僕が日本の文化で最初に見た美学で、それ以来、ずっとその虜なんだ。最初に日本の映画だけで見ることの出来たものからはじまって、それが今では日々の現実になってるなんて素晴らしいよ! そんな場所で演奏することができのが、本当に楽しみで仕方がないんだ。君たちは最高だよ!
NEON INDIAN
テキサス州デントン出身のAlan Palomoによるプロジェクト。2009年10月にリリースされたデビュー・アルバム『Psychic Chasms』(日本未発売)は、チルウェイヴ/グローファイのパイオニア的な作品として位置づけられ、WASHED OUTと並び同シーンを牽引する重要なアーティストとして大きな注目を浴びることとなる。アルバムはPitchfolkのベスト・ニュー・ミュージックにも選ばれ、2009年の同サイトの年間ベスト・アルバムの14位にランクイン。アルバムからは2曲が同サイトの年間ベスト・トラックにも選ばれた。また『ローリング・ストーン』誌は「2010年最もホットなバンドのひとつ」とバンドを絶賛した。2011年の3月には、THE FLAMING LIPS with NEON INDIAN名義で、フレーミング・リップスとの4曲入りのコラボレーションEPをリリースし、こちらも大きな話題に。当新作『エラ・エクストラーニャ』は、THE FLAMING LIPSのプロデュースでも知られるDave Fridmannがミックスを担当(プロデュースはNEON INDIAN本人)。より深化しダンス・オリエンテッドになった同作は、まさに“LCD Soundsystem meets My Bloody Valentine”的なサウンドで、チルウェイヴ・シーンを大きく前進させる作品となった。リリースは、アメリカはMom+Pop、イギリス/ヨーロッパはTransgressive / Co-operative Musicから。
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