<KASABIAN 『VELOCIRAPTOR!』 Interview>
──今作を作るうえで、テーマやコンセプトになったようなものは何かありましたか?
Tom Meighan:
とにかく"アンセム"満載なアルバムにしたかったんだ。今までの作品は、それがちょっと欠けていたのかな? 言ってみれば今回は、"ポップ・サイケ・アルバム"というか……。今までの3作のアルバムと比べてもよりメロディアスになってるし、曲の幅も広くなってるし、とても巧みに作られた曲が多くなってると思うし。
──"ポップ・サイケ"という表現は、1曲目の「Let's Roll Just Like We Used To」からピッタリな表現だと思います。上手く言葉で表現できないんですけど……。どことなく呪術的というか、重厚で独特な響きの音色はまさに"サイケ"な感じで、オープニングからこういうテイストで来るのかと驚かされました。
Tom Meighan:
Right! まさに俺が言いたいことを言ってくれてる(笑)。チャレンジだね、この曲はまさに。今まで違うことをやりたかったから、あえてこういう世界観を1曲目に持ってきた。前の作品と同じものを、俺達は作れない。「Underdog」とか「Club Foot」とかと同じようなことは、二度と出来ない。やりたくない。前進するのみだから。なんて言えばいいのかな……。今回のアルバムは俺達にとって、"再生"のアルバムというか。だからこそ自分達にとってエキサイティングな曲を作れたんだと思うし、言ってみればこのアルバムは自分たちにとっての『Rubber Soul』で、ポップ・アルバムなんだよね。と同時に、KASABIANらしい斬新さももちろんもあるんだけど。
──なるほど。「I Hear Voices」のようなエレクトリック・サウンドを駆使している斬新な曲もあれば、「Goodbye Kiss」のようなポピュラリティ豊かなメロディを聴かせてくれる曲が増えているのは確かに印象的です。
Tom Meighan:
そういうものを今までやってこなかったからこそ、チャレンジしたかったんだよ。ある意味、シンプルなものにもね。元々、自分達の曲っていうのは"異端児"というか、その時そのときの時流とは全然違うところにあったりとかしたんだけど……。それともさらに違う、前作とも全然違う作品を、とにかく素晴らしい曲を作りたかったから。自分達の優しい面、穏やかな面も見せたい、こういうのも出来るんだよっていうことを見せたかったっていう思いが、今言ってくれた「Goodbye Kiss」とかにはよく表れてる。この曲で歌ってるような感情っていうのは、誰もがきっと一度は経験してるものだと思うんだよね。そういうエモーショナルな曲であり、例えばPhil Spector的な、モータウン的なああいう美しい音色も俺達は表現できるんだよっていうことを証明したかった。
──4曲目の「La Fee Verte」のメロディも、壮大で感動的ですね。
Tom Meighan:
うん、そうだね! これはSergio(Sergio Pizzorno/Guitar)が、曲の雰囲気にぴったりな歌い方をしたんだよね。まるで、子守唄みたいな歌い方を。自分としては、Pink Floydの「Dark side of the moon」を想像させるような感じかなと思うんだけど……。それを自分が歌うときは、美しくて、俺が感じたとおりの歌い方で歌いたいと思って。まるで、宇宙の中でこだましてるようなサウンドにしたくて。で、それに対して「I Hear Voices」とかは、難しいよね。こういうエレクトロ系のテイストをロック・バンドがやるのは。でも、どんなテイストの曲をやるにしても素晴らしいメロディ、美しいメロディがそこになかったら俺達がやる意味はたぶんないんじゃないかな。
──そういう、尖っているだけではなくて、時代を超えて聴き継がれていきそうな普遍性を感じる美しいメロディが今回のアルバムに増えた理由を、あらためて聞いてみたいです。
Tom Meighan:
そういう面は、じつは昔から持っていて。でも、そういう自分たちの手は最初から全てさらけ出さないように、わりと自分の心の近くに持っていたというか。俺達が16歳、17歳くらいでバンドを結成した当時は、ラヴ・ソングばっかり書いてたんだよね。でも、今までの作品ではそれとは逆のアグレッシヴな楽曲、例えばLed Zeppelin的なビッグなドラム、ベース、コーラスとかが多く前に出てきていて、さっきの「Goodbye Kiss」みたいな繊細な要素はあんまり表に出さなかった。でも、そういう面もそろそろみんなに知ってもらってもいいかなと思ってね。
──KASABIANの今まで知られざる一面や音楽性の深さを再確認できる、ファンにとってすごく興味深い作品だと思います!ティラノザウルスを倒すことができた唯一の恐竜だという"VELOCIRAPTOR(ヴェロキラプトル)"をアルバム・タイトルにした理由は?
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先日、プロモーションのために来日したTom(左)とSergio(右)。試聴会を開催した国立科学博物館『恐竜博2011』会場にて。 |
Tom Meighan:
仲間として結束がすごく固くて、お互いのためだったら団結して、敵を殺しさえするよね、恐竜は。それくらいの強力なパワーを持っているアルバムであり、それぐらいの強力なバンドであるっていうことかな。
──なるほど。KASABIANの結束の固さを表すタイトルですね。最後に、取材用にいただいた資料にあったちょっと面白いエピソードについてうかがってもいいですか? その中に、「奴はサンフランシスコの町を延々歩き回って、ゴールデンゲート・ブリッジを歌いながら渡るんだ。で、スタジオに帰ってきて、それを形にするんだよ」というSergioのコメントがありましたが、これは本当ですか?
Tom Meighan:
あぁ、うん! 実際にやってたね。歩いて、息をしながら、その周りにある景色と生活を眺めながら、スピード感を感じて……。そうやって、歩くことによって曲が頭の中に浸透していくような感じがするというか。
──へぇーっ、そうなんですね! Tomの迫力のヴォーカル・ワークを生み出す秘訣は、そういう長距離ウォーキングだったりするんでしょうか(笑)。
Tom Meighan:
健康的な感じが良かったのかもね(笑)。何かを覚えなきゃいけないときは健康的になって、それが終わってスタジオから一歩出ると、また健康的じゃなくなるかもしれない(笑)。でも本当に、今回のレコーディングはすごく良い雰囲気でやれたよ。あのときは、曲が自分に浸透していく感じがした瞬間だったね。
