PREMIUM:ココにしかないレアなオリジナルコンテンツが満載!
髭のニューアルバム『それではみなさん良い旅を!』がいい。ファンとしてはなんだか投げ出されたような気分になるアルバム・タイトルだが、その謎は聴けば解消されるはずだ。これまでフロントマンとしてすべての作曲を手がけてきた須藤寿が、メンバー全員での作曲を提案。結果、ハード&ドライな王道ロック・チューンから、ドリーミーな髭流ポップ、トライバルな開放感に溢れる楽曲や、ちょっとドローンでクールなものまで、全方位に展開。しかしそのことがむしろバンドの揺るぎない核……どこか謎で愛嬌があり、答えを性急に求めないロックバンドのプライドのようなもの……が曲と演奏のリアルさで表出しているのだ。9月に開催した初の日比谷野外音楽堂でのライヴでもアルバム収録の新曲を披露し、いい意味でから騒ぎ感のない、もっと前向きな愛情に溢れた表現を見せてくれた彼ら。バンドとしての新たな旅の始まりを作品として送り出す今、ここに至る心境、そして今の髭について須藤寿に話を訊いた。

Text & Interview : Yuka Ishizumi
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)
それではみなさん良い旅を! / 髭
COCP-36923 2,800yen (tax in)
2011.12.7 on sale
iconicon
-DISC 01-
  1. それではみなさん良い旅を!
  2. ウルティン・ペリン
  3. さよならフェンダー
  4. キッズはだいじょうぶ
  5. ラブ・ファントム(Let's go!)
  6. 奴隷
  7. バタフライ
  8. ゆらり姫
  9. トロピカーナ
  10. ロックナンバー
  11. ロンリーボーイの話
  12. ガイジン
  13. 魔法
  14. 魔法の部屋
<髭 『それではみなさん良い旅を!』 Interview>
 
──9月の野音でも感じましたけど、バンドのムードはすごく良さそうですね。
須藤:
まぁ、そうですね。基本的には「すごい楽しい」とすら思ってませんよ。何も思ってないっていうような状況ですよ。だから自然ですね。1年前の「バンド、存続できるのかな?」っていう厳しい時期を乗り越えたら、割と何も考えない楽しい時間ですね。 無心というか。
──アイゴンさんの加入はやはり大きかったと。
須藤:
僕は大船に乗ったつもりなので。もう完全に任せちゃってるんで。とは言え、僕が結局、自分でモノを言わないと気が済まないタイプなんで、一応、言ってるしね。それでも話がこじれることなく、アイゴンさんが解決してくれるだろうって信じてますね。それぐらい人としてもミュージシャンとしても尊敬してます。
──メンバーの中に敬語使う相手がいるって面白いですね。
須藤:
だってものすごい年上ですよ?
──(笑)。そりゃそうですけど。
須藤:
そこはもう任せてください。完璧にやってみせますよ、僕は。年功序列、得意なんで。ま、僕は特に気を遣ってるんじゃないですかね。やっぱりモノ作りの時はいちばん生意気なこと言ってるわけですから。みんなのほうがもっとフランクかもしれない。
──今回のアルバムはメンバー全員が曲作りに関わったことが大きな変化ですね。
須藤:
それは僕から提案させてもらいましたね。『サンシャイン』作ったのが1年前ぐらいなんで、さすがに似たようなテンションでもう1枚分作るには、時間もモチベーションも必要だし。それならみんなの才能をもっと世の中に発表するべきだっていう話はさせてもらいましたけど。もともと、みんながもっと作曲するべきだっていういうのは、バンド結成時からずっと言ってたことなんです。で、アイゴンさんが入ってからは「もうリード曲でもなんでもいいから書いてください」って、みんなの前でも言ってたし。それをみんなも肌で感じ取って、で、アイゴンさんもすごくラクに作曲してきてたんで。「あ、そのくらいホントにラクなんだ」って、堰が切れたんだと思うんですけどね。
──じゃあ、最初に作ってきたのはアイゴンさんですか?
須藤:
そうです、そうです。今回入ったのは「さよならフェンダー」と「トロピカーナ」の2曲ですけど、アイゴンさんがいちばん書いてきていただいて。でも僕が書ける曲しか歌詞書かなかったんで2曲しか採用されなかったんですけど。
──アイゴンさんらしくやって、そのまま髭になるんだなと思いました。
須藤:
それはホントに。いろんなものを俯瞰してやれるんだなって。「トロピカーナ」は「髭にない曲で、あっても良さそうなのにと思って書いてきた」って言ってて、「なるほど、面白いな」と思ってやってみたら、僕たちらしい愛嬌もあるし、でもあのビート感はなかったし、「髭はここだな」っていうピンポイントを見抜く力、それにはおみそれしましたっていう感じなんですけど。
 
──今回、レコーディングで須藤さんはギター弾いたんですか?
須藤:
僕は一切弾かないです。
──では、アイゴンさんと斎藤さんの相性はどう思いますか?
須藤:
完璧だと思いますね。特にあのふたりは最高にリズム感がいいんですよね。だからああいうギタリストふたりが傍にいると、「あ、僕ってギタリストじゃないんだな」って本当に思わせてくれますね。それに一切ギター持たなかったことで客観的にみんなの演奏を聴くことができたし。
──全員で曲を書いて集めたことで、トータルなイメージを共有するのがむしろ難しい面はなかったですか。
須藤:
なんだかんだ言っても、みんなが曲を書いてくるんですけど、僕が書けるものしか歌詞を書かないんで、最終的には選曲から曲順まで全部僕がやらせてもらってるようなもんなんで。今回は「旅」っていうトリップ感を曲のテーマとして統一することだけ伝えて、自由にやってもらったものを僕がまとめるんでって、話をさせてもらいましたけど。
──そこで筋が通ってるんだと思いますけど、今回の歌詞はわかりやすいものはわかりやすく、比喩に徹するものは比喩に徹しているというか。
須藤:
うんうん、そうですね。
──内省的な心情みたいな表現はほぼなくて。
須藤:
内省的な感情は、もう人に任せようかなと思って。そういうのを表現するのは日本人は上手じゃないですか? ね? もう……、内省的なものをハッピーの中から見つけようと思って。そっちのほうが僕の個性を活かせるなと。表層的な内省感っていうか、わかってほしい感って、僕は照れちゃうんで。傍から見たら掴み取れないものから掴み取れる人だけ掴み取ってパズルを組み立てるみたいなほうが僕の中ではすっきりするんですね。だから言葉選びは、より意味をなくしてると思います。
──内省的なものをハッピーから見つけてくるって、ラストの「魔法の部屋」にすごく出ていますよね。「君がいなければ僕がいない」っていう表現とか。ま、普遍的なテーマではありますけど。
須藤:
「魔法の部屋」はこのアルバムを作る上でキーになったなっていう詞が書けたから、なんかこうひと安心というか。そういう曲がないとただのパズルみたいなアルバムになっちゃうかなと思ったんで。
──確かにヴァラエティに富んでる上にインストも入ってて、謎が解けない感じかもしれない。宮川さんもすごくいい曲書きますよね。
須藤:
すごい才能あるんですよ。斎藤くんと宮川くんって。でも宮川くんはすんげぇシャイで、曲渡す時も赤い顔して「何が?」と思うんだけど、「どうかな?やっぱまじぃかな?」「いや全然まずくないんじゃないの?」って言っても「まぁいずれやりたいと思って」、「すぐ発表すれば?」って言って(笑)。どんだけシャイなんだよと思って。
 
──「バタフライ」はメロディも宮川さんですか?
須藤:
もう、完璧に宮川くんが。宮川くんの曲ってホントにすごいソフトで人柄をよく表してると思う。今回は斎藤くんと宮川くんの曲を発表できて嬉しいですね、僕は。
──ところでアルバムタイトルの『それではみなさん良い旅を!』そのものが、ちょっと謎なタイトルですね。
須藤:
今の僕らを象徴する……「それではみなさん良い旅を!」っていう言い草が僕達とリスナーの関係を良く言い表してるなぁと思って。
──「楽しんでよ」っていう意味にも「楽しむために頑張れよ」ってふうにもとれますけど。
須藤:
そう。そういう言い方をすることもできるじゃないですか。でも僕達の言い草として、こっちのほうが「らしいなぁ」と思って。
──たしかに。で、ちょっと大げさに言えば旅って人生みたいなものでもあって。
須藤:
うん。僕達ちょうど年齢的にも中堅のとこにきてて、前も後もいて。で、「これは長くなりそうだな」ってことがわかってきて。20代の時は長いと思ってなかったんですよね、リアルには。すごいスピード感を持ってて、自分たちがいる世界が全てだと思ってたんですよ。でも30代になったら、今後の自分たちのあり方も俯瞰して見られるようになって、そうするとむしろ尖れるし、自分の好きなものに邁進できるし。
──須藤さん今、いくつでしたっけ。
須藤:
34。
──32ぐらいから変わってきたって、野音のMCでも言ってましたね。
須藤:
そう。ちょっとずつ変わってきたんですよね。『サンシャイン』作る前あたりはヤバイなと思ってて。それは「自分が前に出なくてもよくなってきてるな、俺」と思って。
──そんなに目立たなくてもいいと思う自分を?
須藤:
やっぱりスポークスマンだし、バンドの。なんか俺が経年変化っちゅうか、前まであったイメージから急に丸みを帯びてきたらヤバイんじゃないかと思ったんですよ。「こいつ何も言わなくなっちゃった」とか「つまんなくなっちゃった」と思ってたんですけど、それがいよいよ今のモードみたくなった時に「なっちゃったからいいかな」と思って。
 
──思ってもない態度で振る舞うのも無駄だし?
須藤:
だからフェスとか行くと俺から挨拶しようと思って。俺からドアノックして挨拶してやろうっていうぐらい心境の変化があって。そのほうがいろんな人と素直に話せるし、よけいな脚色が自分にないから、そっちの方が尖ってんじゃねぇかな?と思い始めたんですよね。
──そうそう、だからなんであんなに「雅!雅!」言うかな?と思って(笑)。
須藤:
なんでしたっけ……?
──雅くんのリキッドルームでのライヴ終わったあと、「すげぇ! ロック・スター見たよ!」って(笑)。
須藤:
えっ? いました? 俺、すげぇ酔っ払ってたから覚えてない……。でも、その後、雅と会って荒吐で一緒にライヴしたら、すげえいいヤツで。雅は覚えてました。「須藤くん、ホントにありがとうね。あの日、すごい俺の宣伝してたけど、俺達知り合いだっけ?」って(笑)。だから「全然知らないけど、ま、酔っ払って調子良かったんだろうね」って。
──(笑)。すごい無防備な感じですよね、最近の須藤さんは。さて、今年もいっぱいツアーやりましたけど、来年は?
須藤:
ライヴはやりたいですね。唯一、僕達が具体的にお客さんの目を見てとれるコミュニケーションなんで。会いたいですね、いつでも。
──じゃあネクストステージなんで、来年は野音と言わず…。
須藤:
ね? 次どこなんですか? 武道館とか? あいだがないですよね。や、武道館はできないな。それくらいの常識はあるんですよ。
──なんか普通に言いましたね(笑)。
須藤:
いや、別にどこでやりたいとかホントに全然ないんですよ。「いいものを作りたい」っていうのはありますけど。
──では新曲をガッシガシやるライヴをお待ちしております!
髭 : LIVE SCHEDULE
髭 2012『それではみなさん良い旅を!』TOUR
DATE : 2012.3.10 (sat)
VENUE : Sapporo CLUB GARDEN, Hokkaido
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO: MOUNTALIVE 011-211-5600
DATE : 2012.3.18 (sun)
VENUE : SHIBUYA-AX, Tokyo
OPEN : 17:00 / START : 18:00
INFO : HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
DATE : 2012.3.20 (tue)
VENUE : Sendai CLUB JUNKBOX, Miyagi
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : GIP 022-222-9999
DATE : 2012.3.25 (sun)
VENUE : Numba HATCH, Osaka
OPEN : 17:00 / START : 18:00
INFO: GREENS 06-6882-1224
DATE : 2012.4.1 (sun)
VENUE : Fukuoka DRUM Be-1, Fukuoka
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : BEA 092-712-4221
DATE : 2012.4.7 (sat)
VENUE : Nagoya CLUB DIAMOND HALL, Aichi
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : JAILHOUSE 052-936-6041
髭 OFFICIAL WEBSITE
http://www.higerock.com/
髭 OFFICIAL MySpace
http://www.myspace.com/higerock