<Hurricane Bells 『Tides & Tails』 Interview>
──ハリケーン・ベルズ来日公演の決定、心から嬉しいです。2008年にロングウェイヴとして『シークレッツ・アー・シニスター』を発表し、翌年フジロックにも出演したわけですが、まずはハリケーン・ベルズをスタートさせるまでにどんなことがあったのかを教えてもらえますか?
スティーヴ・シュルツ :
ありがとう! ぼくもハリケーン・ベルズとして日本へ行くことにワクワクしているよ。ロングウェイヴでフジロックに行ったのも最高だったしね。あれは楽しい旅だったなあ。ハリケーン・ベルズをはじめたきっかけは、ロングウェイヴに合わない楽曲がたくさんあったからなんだ。で、あまり多くの人には教えてなかったんだけど、ひとりだけでレコードを作っていて、確か出来上がったのは前回日本へ行った頃だったと思う。そしたら、最初のアルバムに収録しなかった楽曲のひとつ「モンスターズ」が『ニュームーン/トワイライト・サーガ』という映画のサントラで使用されることになってね。こっちじゃ結構な大ヒット映画だから、僕は自分が作ったレコードを慌ててリリースすることにして、 ライヴの予定も組み始めたってわけ。そうしてアメリカ・ツアーは3回やったし、1度はインドにも行ったんだ。インドもスゴいところで、みんな最高に楽しんだよ。その後、少ししてからハリケーン・ベルズとしてのセカンド・アルバムに取り掛かり、それが新作『タイズ・アンド・テイルズ』となったわけだけど、今回はライヴで一緒にプレイしたメンバーたちを加えたいと思ったんだ。そうすればグループで活動しているっていう感じがもっと出るからさ。とはいえ、楽曲制作とプロデュースは僕が全て手掛けているのは前回と変わらないけどね。
──ハリケーン・ベルズと名乗ることにしたのは、どんな理由があったのでしょう。ソロのシンガーソングライターとして、スティーヴ・シュルツ個人名義で活動していこうという考えは最初からなかったのでしょうか?
スティーヴ・シュルツ :
スティーヴ・シュルツの名前でやることは考えた……でも僕は、プロジェクト名を使う方が好きなんだろうな。シンガーソングライターっていうか、「アコースティック・ギターを弾きながら歌ってる人」みたいな目で見られることに抵抗があったんだ。それにハリケーン・ベルズっていう名前が気に入っていたしね。ブロークン・ベルズとかスレイ・ベルズとか、いろいろいるのは知ってたけど(苦笑)。
──前作『トゥナイト・イズ・ザ・ゴースト』はどんな状況で作られたのかと、それは以前のロングウェイヴとしての音楽創作とはどのような違いがあったかを教えてください。
スティーヴ・シュルツ :
だいたい2年くらいかけて密かに制作したんだ。その頃、僕はギタリストとしてアルバート・ハモンド・ジュニアとツアーに出てて、日本にも2回行ったんだよ! そうしたツアーの合間に曲を作っていったわけ。最初はラップトップに入れたデモに過ぎなかったけれど、いつしか「これはちゃんと仕上げることができるぞ」って確信が持てるようになってね。そしたらきっと面白いだろうと思って、その通りやってみたんだ。
──新作『タイズ・アンド・テイルズ』は、あなたのソングライターとしての才能がますます発揮された、すごく良いアルバムだと思っています。1曲目「セカンド・チャンス」は、100年ほど前に火事で焼けてしまった遊園地の創立者による言葉を歌詞にしたそうですが、どこか自分自身の心情と重なる部分があったということなのでしょうか?
スティーヴ・シュルツ :
本当にありがとう! このアルバムのことはとても誇りに思っているし、どの曲もスゴく気に入ってるんだ。僕は、ハリケーン・ベルズのセカンド・アルバムを「もう一度チャンスをつかむ」って言葉で始めたいと考えていた。ロングウェイヴでの活動と、この新たなプロジェクトのことを考えるとそれが相応しいと思ったからね。ある日、自転車でニューヨークを走ってた時に、この言葉がふと頭をよぎって、その瞬間、まだ書き始めてもいないアルバムの最初の曲にはこれしかないって感じたんだ。それでとにかく曲を仕上げて、これがオープニングだって決めたんだよ。
──以前「アコースティック・ギター1本でも成立するような曲を書くようにしている」と語っていたあなたですが、ニュー・アルバムの収録曲は、ウクレレ、ウーリッツァー、オムニコードも使いながら、2週間ほど誰にも会わずに集中して書き上げたそうですね。今作でのソングライティングに関して、なにか新たに心がけたこと、特に意識したことなどはあったのでしょうか?
スティーヴ・シュルツ :
そう! 確かにそう言ったね。たった1本のギターでも楽しくプレイできる楽曲が好きだって意味で話したんだと思う。だから、楽器はピアノでもウクレレでも何でもいいんだけど、要するに、それひとつだけでシンプルに演奏しても良い曲だと思えるものってこと。このアルバムに関しては、今までよりもギターを使って書くことを減らしてみようとトライしたんだ。そこはもう熟知しているから、いつもと違う楽器を使うことで何が得られるか試してみたかったんだよ。
──『タイズ・アンド・テイルズ』は『トゥナイト・イズ・ザ・ゴースト』よりも、サウンド全体のバンド感が増しているように感じました。サポート・メンバーの協力が大きいのだと思いますが、あなた自身、ハリケーン・ベルズは始めた当初よりも「バンドになってきている」という実感があったりしますか?
スティーヴ・シュルツ :
イエスでもありノーでもあるかな。曲を書いているのはやっぱり僕だし、今のところレコーディングも全て僕がしているからね。とはいえ、今ライヴで一緒にプレイしている仲間のことは本当に大好きなんだ。だからこそ新譜のレコーディングに参加してもらったわけだし、次回も関わってもらいたいと思っている。彼らはみんな最高だよ。
──前回のインタヴューで、かつてバンド・メイトだったこともあるアシュン・カイランという女性の作品に参加したことを話してくれましたが、その後さらに彼女とコラボレーションする機会が増えたようですね。アシュンは、あなたに音楽面でどんな刺激を与えてくれますか?
スティーヴ・シュルツ :
アシュンは素晴らしい声の持ち主で、僕らは一緒に歌うことを楽しめるんだ。彼女はスカウトっていう自分のバンドもやっていて、僕はそこでギターを弾いてる。今後リリースすることになるスカウトのレコードのプロデュースもしているし、そこではスプーンのジム・イーノとも一緒にやったんだ。アシュンの歌は本当にいいよ。
──ところで、ロングウェイヴについては、いつか復活の可能性はあるのでしょうか? シャノン(ロングウェイヴのギタリスト)とは今でも連絡をとったりしていますか?
スティーヴ・シュルツ :
もちろん! シャノンはずっと大切な友人だよ。彼と話し始めたら、いつも時間を忘れてしまうほどさ。とりあえず、今すぐロングウェイヴを再開することはないと思うけど、まだ先のことはわからないね。これまでにリリースしていない作品もあるし、近い将来にはEPとかいろいろ、聴きたい人たちに向けて発売するつもりさ。ロングウェイヴでは本当にたくさんの曲を作っていたんだ。
──もうすぐハリケーン・ベルズのライヴを見られるのが本当に楽しみです。日本のファンに向けて、来日公演に臨む気持ちを言葉にしてもらえますか?
スティーヴ・シュルツ :
僕も心待ちにしているし、他のメンバーたちもワクワクしているよ! アシュンとコリンとクリスチャンを、築地とかZazous(原宿のショップ)とかキディランド、それと僕がお気に入りの寿司や神戸牛の店に連れて行きたいな。僕以外のみんなは未だ日本へ行ったことがないからね!
