新作完成まで密着!! AA= Special Contents
Member Interview Vol.1 Nobuaki Kaneko
今回の特集のひとつの目玉、AA=メンバー・インタヴュー。初回となる今回はドラマー金子ノブアキ。 いままでは上田剛士以外のメンバーに焦点があたることはなかったが、デジタル・シングルのリリースを控え、さらに次なる新作も制作中とのことで、上田にも同席してもらい、AA=のメンバーになったきっかけや、AA=でのドラムのスタイルについて金子に話を訊いた。
前編・後編と2回にわたり公開します。今回は後編。

前編はコチラから!!

Interview & Text : New Audiogram
Interview Photos : Ryo Nakajima (SyncThings)
ドラマーとしてAA=はシーケンスのトラックが鳴っていて、テンポが支配されるその中で自分のドラムをどのように表現しようと思っていますか?
でも、やっぱり機械の音がずっと鳴っていて、それに対してのアプローチもそうなんですけど、大事なのは歌であったり、精神性であったり、行き着くところはそこだったりするので、もともとパンクロックもそうだと思うんですが、文学的なメッセージにたどり着くまで、お客さんを前にしてとか、CDにパッケージしたときとかに、文学的な響きを持たせるには、数学的に反復して何かを鍛えていくしかないんですよね。そうしないと言語感覚みたいなものが習得されずに(世の中に)解き放たれてしまうのは、ちょっと報われない気がしてならないんです……僕個人としては。打楽器は点で打っていくもののイメージが強いかもしれないですけど、実は真逆のような感じがして、リズム楽器というものの、限りなくメロディアスなものだと僕は思っていますし、特にこういうAA=のような音楽をやろうと思った時には、そっちに自分がバッと寄っていくような、点がバーッと並んでいるときに何でそれをつないでいくのか……その点を線にするような役割、特にライヴにおいてはそうなるかなと思います。心臓を動かすために血を流し続けるポンプのような、そんなイメージですね。
それを聞いて、上田さんはどう思いますか?
本当にあっくんの言う通りで、彼のリズムというのは楕円の感じ……感覚的にはゴムのボールが跳ねているような感じを受けますね。まさに歌ってる感じというか。彼自身が叩きながら打楽器で歌っているというのはすごくあると思います。
デモは打ち込みのドラムですが、レコーディングでそれを生ドラムに差し替えていくことで、どのように曲のイメージが変わってきますか?
やっぱり命が吹き込まれる感じですね。それまではロボットみたいなのが、半分人間のサイボーグになったみたいな。その混ざり具合が決まるとAA=という音楽が意味あるものになる。
レコーディングとライヴは別物というお話もありましたが、ライヴはどのような心構えで向かっていますか? ライヴなので、もちろんCDとはプレイは違うと思いますが、シーケンス鳴っていることもあり、ドラムはすごく勢いと躍動感を感じます。
場面によってはそうですね、悪ノリと捉えられても仕方ない部分がありますね!(笑) やっぱりそういうのもライヴの醍醐味だし。やっぱりその場でやっているとレコーディングではミックスしづらいプレイとかも、ライヴでは成立しちゃったりするんですよね、あの空間にいることによって。やっぱり「驚かせたいな」という気持ちも働くし、いたずら心というか(笑)。そういうのって、僕が他の人のライヴで観ててもそういうところに魅力を感じたりするし。だから、本番中に思いついたこと平気でやっちゃったりとか(笑)、尺を変えない限り、成立する範疇で思いついたことバンッとやって、それがハマりがいいとオフィシャルのライヴ・アレンジになったりして……ドヤ顔で(笑)。 
それをやらないと「アレ、こないの?」「いつものやんないの?」みたいな(笑)。
そんな感じなんで、楽しいですよね(笑)。
そんな中、ライヴでのリズム隊としての関係性はどのような感じですか?
引っ張っていくのはあっくんなんで、俺はそこに乗っかっていくっていう……基本的にはそんな感じ(笑)。彼が自由にやっていくのに自分は付いていく。
憧れていた先輩を引っ張っていくのはどうですか?
いやー、もう鉄砲玉です(笑)。
作品とライヴがこんだけ違うバンドもなかなかいないんじゃないかなと。
そうですね。
たぶんレコーディングは実験してるんですよ、みんなで。彼も実験好きだし。いろいろと試したくなるんです。ミックスで完成するまで、ずっとちょこちょこやってますし。
このご時世、デッドラインの直前まで、納期のギリギリまでいけるんで、スタッフ泣かせですよ(笑)。アレもやってみよう、コレもやってみようって。
そこでいろいろ実験して得た結果、それを爆発させる場がライヴみたいな感じで、全てを壊してもいいし。
アルバムの曲をツアーでやるのが初めてだったりするじゃないですか。ツアーごとライヴDVDも出していますが、それだけライヴで楽曲たちが変化していくのであれば、ライヴを重ねることで出来たアレンジで、あらためてリ・レコーディングしたいと思いますか? セルフカヴァー的な。
やってみたいですね! ライヴ盤は今まで出しているし、それはそれで面白いんだけど、スタジオ・ライヴ盤じゃないけど、ちゃんとレコーディング出来る状態を作って、1回ツルッと生でみんなで演奏してやるっていうのも、いまにやってみたいなと思います。
話を聞いてると、またそこで新たな発見がありそうですね。さて、ここでまたドラムのレコーディングの話に戻るんですが、通常のバンドサウンドと違って、ギター、ベース、ヴォーカル以外にも様々なシーケンス・トラックが鳴っています。その中でのプレイについては先ほどお話聞きましたが、それ以外にはどのように所に気を使っていますか?
レコーディングに関してはよりけりで、モニタリングでも何を返すか、基本歌を聞きながらというのは念頭に置くんですが、それ以外の走っているもの、どれを聞きながらやるのがしっくりくるのかというはやってみないとわからないんですよね。やってみてなんか違うなと思えば、ちょっとバランス変えてみたらきれいにハマっちゃったり……これまた人間の体は気まぐれというか正直なんだけど、自分の体なのにそういう反応は自分で制御出来るもんじゃないんですよね。カッコつけて「これでやります」とか言って、全然出来ねーとかもあるし(笑)、だからハマるとこがパッとくるとハマっちゃうんですよね。ハマってない時もやってる時はわかんなかったりするんです。OKかなと思って聞くと合ってねーなって。まぁ、そういうところも含めて、根っからの打楽器奏者なんでしょうね。やってみないとわかんない。気を使っていることとかいうより、思い切ってまずやってみる感じですかね。
シーケンスの中にビートを刻んでいるものも多くあるので、曲ごとにドラムの音決めとかチューニングとか大変そうですが、サウンド的なこだわりなどありますか?
毎回新たな何か試みをしようと掲げているので、今回も差をつけて、いろいろやってみようかなと思っているんですが、基本的には同期しているものが多かったり、シンセ関係が多かったりするので、極力オンマイクで、倍音を少なく録る。もう本当に生音だけを聞いたら「なんじゃこりゃ」て思うような状態で録ったりするんですけど、ミックスでそれをぐっと増幅させたりしています。そんな感じでレコーディングでは録っています。(前作の)『#3』ではピアノのブースにドラムを入れて、そこでがっちりミュートしたものを、近い距離で録っていく。やっぱりコンプレッションとかかけていくと(音が)ジワーっとにじんでくるんで、部屋の鳴りとかそういうものは無きゃ無いだけよかったりするんです。他はシンセとかギターとかベースの音で補完出来るので。トータルでみたときの倍音のバランスっていうんですか、要は地球があって大気圏があって、その大気圏の部分の熱みたいなものを、そこでどれだけ燃えている感をみせるかというは、ひとつの音で独りよがりで作ってしまうと絶対あふれてしまうので、それのバランスをずーっと考えながらやっています。『#3』やっと一段落といったらあれだけど(笑)、なんか「スゲー!」「キタ!」ってなったんです、作っていた時に。「どうだー!」って感じで。
それを経て今作は?
今作は、そういうやり方は見つけている部分もあるので、また違うやり方で録ってみたりとか……まぁ、プリプロダクションみたいな感じで、数日間みんなで演奏してから今回は入っているので、バンドの呼吸みたいなものは割と完成された状態で入ったので、今作はまた前作とは違ったやり方でいい落としどころがないかなと、それはギリギリまで悩んで、実験はまだ終わっていないので。今はまだ半分くらい録った状況なんですけど、曲によっていろいろ変えたり、より極端にやってしまった方が面白かったりするので、既成概念を取っ払ってやってみようかなと思っています。
わかりました。そんな中、9月にはデジタル・シングルがリリースされますね。出来たばかりだと思いますが、仕上がりはどうですか?
自分は今回テーマとして、この2つを出したのは両極端。自分の中にある音楽の幅の中の端と端じゃないけど、それをガッツリ分けた形のものを作ってみようかなと思っていたので、そのチャレンジは出来たかなと思っています。
こういう自分が録音したものが世に出て行く時はうれしいもんですね、親心みたいなのがやっぱりあるんで。スポーツでいうとシーズン中とオフシーズンみたいな(笑)。シーズン始まったなって感じです。シーズン開幕(笑)。盛り上がりますね!
この2曲に関してなにか新たなチャレンジはありますか?
ドラムに関してはさきほどのようにすごく極端な2つの地点から発信されているものだと思っているので、プレイに関してもかなり変えましたね、表情を。こういうシーケンス・ミュージックで特にAA=の音楽というのは同じMIDIのサウンドでも、例えば一方はものすごく残酷で獰猛に聞こえるものが、もう一方だと優しく諭しているような響きをもったりするんですよね。動物的だし、感情的だし、それに対して呼吸を合わせていくのは、すごく快感なんですよね。その喜びみたいなものをパッケージ出来ればと思って。だから、たぶんドラム叩いている時の顔面から違うと思うし、内側から出てくるものが違うので、そういう部分は音源に記録されているかなと思います。
この2曲を聴いたリスナーは次に出るであろう新作に期待が膨らむと思うのですが、どのような感じになりそうですか?
この2曲が次回作を予告するトレイラー的なものになっていると思います。いままでの3作とはちょっと違う、自分らなりの実験と興味と楽しみをやっている感じです。
この2曲が道しるべとなって、AA=が持っている可能性というか、感動の種類が、どんどん広がっていってくれればなと思います。さっきも言った機械の音が持っている動物的な獰猛さ、サメが噛み付く時みたいな待っててくれない感じと、そっと優しく話しかけてきてくれるような距離感と、あらゆる対局にあるいろいろなもの、数学と文学だったり、機械と動物だったりとか、そういうような感じをすごい受けていたんですね、バンドが立ち上がった時から。バンドのコンセプト自体も「ALL ANIMALS ARE EQUAL」で、原作を調べてみたりして、そういう剛士さんが描いていたコンセプトを、それを音楽を媒介として表現していこうと思って、5年から6年かけてビルドアップしてきたもの、それらが血肉になってきていると思うので、初めてに近いぐらいの感じで、すごく純度が高く、心みたいなものを表現出来たらいいなと思ってて、そうすると新しいところに行けるんじゃないかと思って……毎回そのつもりでやってますけど、やっぱり新しいところに到達したいです。
新作にはその新しいところに到達したサウンドが聴けそうですね!楽しみにしています。ありがとうございました!
新作完成まで密着!! AA= Special Contents Member Interview Vol.1 Nobuaki Kaneko