新作完成まで密着!! AA= Special Contents
Member Interview Vol.2 Minoru Kojima
AA=メンバー・インタヴュー。第2回目となる今回はギタリスト児島実。上田剛士とは旧知の仲となる彼は、上田の音楽活動のさまざまなターニングポイントで共に音を鳴らしてきた。今回は出会いやバンド結成のきっかけ、そしてAA=参加へのいきさつ、そして11月、12月にリリースされる2枚の新作について話を訊いた。
前編・後編と2回にわたり公開します。今回は後編。

前編はこちらから!

Interview & Text : New Audiogram
Interview Photos : Ryo Nakajima (SyncThings)
AA=はじまって5年くらい経ちますが、この5年やってきてどうですか?
そう考えるとマッドの時より長いよね、一緒にやってるの。
そうだね、長いね。もう5年かぁ、早いですね。やっぱり上田剛士の音楽をやる時というのは、どれだけ上田剛士の音楽を理解しているかというところでやっているので、それ以上は突っ込まないし、こっちに突っ込んでほしい時には言ってくるから、そうじゃない時にはちゃんと自分のポジションをきちんと理解してやるというのが俺はすごい大事だと思っていて、だからそういう意味で言うと、動かないというか、動じないというスタンスでずっとやっていますね、AA=は。間口(まぐち)の開け方はその時その時の剛士の気持ちだったり、その楽曲だったりで違うので、それをちゃんと見極める。どしっと構えて、見極めるというのがすごく大事だと思っていますね。
そういった中で、自分のギタースタイルはどのようにAA=に持ち込んでいますか?
自分のギタースタイルというか、俺がハードな(サウンドの)ものを弾いたらこうなるとわかっているから、剛士は俺を使っていると思っているので、俺が好きな音を出せば、そうなるのかなと。自分の気づかないところで、自分の良さを出してもらえていると思うし、一番理解してもらえていると思うので、俺はただそれに向かってやるだけです。
それを聞いて、剛士さんはどうですか? やはりそれをわかってやっているんですよね?
そうだね。そういう意味でいうと実は俺のこともよくわかっているし、俺も実のことはよくわかっている感じはありますね。実自身はAA=の中ではまだ全部出せてはいないんだけど、非常に幅の広いギタリストなので、いろいろ引き出しを持っているんで、逆に自分がわからなくてイメージでこんな感じのものが欲しいってふわっと投げると、それもちゃんと音として帰ってくるし、自分がキャパオーバーしてるのもわかってくれるので……。
それはやりすぎちゃダメなんです。やりすぎると剛士節が無くなってしまう。なので、その絶妙なところが大切なんです(笑)。
じゃあ、ギターアレンジとかはどのように?
一緒にやって、「実、なんかやってみてよ」って投げる場合もあるし、「ここはカッチリこうやって弾いて」って指定する場合もあるし。
剛士さんが曲を作ったときにある程度決まっているんですね。
リフとかは完全に決まっていますね。それにプラスどういうものを乗せていくかという感じです。ここはこういう風にしてほしい、もうちょっと広がりをつけたいとか。
AA=は打ち込みやシーケンスも多く、普通のバンドとはちょっと違うと思うんですが、AA=に参加する上で何か気をつけている部分などありますか?
気をつけている部分というか、印象的なシンセのフレーズとかループとかあるじゃないですか。この曲はどこを聞かせたいか、どこを一番印象づけたいか、そのことを考えて剛士もフレージングを出してきてくれているんで、そういうことは気にしますね。そこに対してオーバーアレンジにならないように。AA=は本人がベーシストなんで、ギターの立場って普通とちょっと違うんですよね。イニシアチブはベースが取ってて、ギターの方がリズム隊っぽいというか、底辺を支える側というか。でもすごく大事な楽器で、ギターのディストーションのノイジーな感じが楽曲の色の核にもなっているわけだから……そういう部分は気にしていますね。基本的には最初から出来てくるフレーズがすごくいいので、それをガツンと弾くという。剛士も言ってくれたことがあるけど、俺が弾けば俺っぽくなっちゃうんで勝手に(笑)。
なるほど。ということで、間もなく新作『#』と『4』がリリースされますが、新作ではギタープレイはどのような感じですか?
とりあえず、日々進化していかなくてはいけないので、タイム感など含め、いろいろ気をつけています。あっくんのドラムと剛士のベースとのグルーヴ感を追って、どうしてもグルーヴを聞いてしまうんですよ、僕は。そこはリズムで縦のラインのものが入っているので、なるべく聞かないんだけど、一緒にうねってられるというところに行きたいなと思って。聞くってことはやっぱりその分コンマ何秒か遅れるので、最近はその遅れが自分のなかですごい嫌で、なんとかしたいと思っているところなので、なるべく先を読んでグルーヴを聞けるようになればいいなと、今回は努力させてもらったというのはあります。あと今回は楽曲のタイプがいままでみたいなガツンとハードなものばかりじゃないので、そこでギターの色気じゃないですけど、そういうのを出すようにやらせてもらいました。
そういうのはいままでに無かったことですか?
アルバムの中には過去そういうのもあったけど、今回はアルバムごとコントラストをつけるのを意識した作品作りだったので、そういうことでは初めてなので、逆にいろいろ試せてやれましたね、そうやって割り切っていたので。
あと『#3』から入ってきてるんですけど、オブリギターっていうんですかね、バッキングが鳴っているなかで、空間を広げたり、雰囲気をつくるもの。そういうのが増えてきていますね。そういう意味では、音色的にもギターの聞こえ方が変わってきているかもしれませんね。
まだ全曲聴けてないのですが、その他にもいろいろなプレイが入っていそうですね。
激しいのもあるけれど、今回いろいろやってんだよね。今まではリフをベースとユニゾンで弾くというのが割とベーシックであって、基本的には他のことはシンセ関係が派手なうわものをやって、ギターはベースと一緒にリフを弾くというのが2トラック入ってるくらいだったんですけど、今回は全然そんな感じじゃないですね。かなりギターっぽいことという言い方も変ですけど、そういうのが結構満載な感じですね。トラックの数も多いです。
そうだね。今回はギターアレンジを非常に楽しんだアルバムでもありますね。
結構やったよね。
やりたがりだったからね、今回(笑)。
あはは(笑)
ディストーションギターでベースとユニゾンじゃないことがいろいろ入っていると。
そうですね。でも、それって昔から最初のバンド始めたくらいから、割とそういうのが好きでやっていたりしてたんで、ちょっと懐かしい感じもしたり……(笑)。
あはは。そうだね!(笑)
「この感じ、超懐かしいね!」みたいなことを言ってやってました。
(笑)僕ら80年代通ってきてるんで、その80年代ならではのって感じですね。
(ラックの)1Uのディレイを探して持ってきたくなる感じ(笑)。
そういうのが垣間みれるフレーズが入ってます(笑)。
すごい楽しみですね。ギタリスト的にその他に新作の聴き所などありますか?
聴き所……全部聴いてほしいんですが(笑)……。アグレッシヴな部分はAA=の真骨頂じゃないですか。そっちの方は十八番ってことで、それ以外だとさっき言った感じですかね。僕は(ライトハンド奏法のまねをしながら)こういうのはやらないんで、こっち系の話は何も出来ないです(笑)。
スウィープは無いんだ?(笑)
スウィープは無いなー(笑)。
じゃあ、アンプなどの音作りはどうですか? いつもと違うものを使ったとか。
アンプは使ってないです。昔一緒にMTRいじった仲なんで、僕も結構DTM派でして、アンプシュミレーター的なものがですね……。
そこら辺は今回新しい機材を仕入れてみて、今はまだ研究段階で、最終的にはこれからミックスの時にいろいろ試そうと思っています。
なるほど。ほぼラインで録ってあって、ミックスの時にサウンドやエフェクトをどうするか決めていくんですね。
そうですね。今回はアンプ鳴らして録ろうかって話もあったんですけど……今もリアンプとかやるのも完全に消えたわけではないですけど、基本的にはアンプではなくて、ラインで詰めていければなというのが実の意見でもあるんで。
めっちゃいい音するのがあるんですよ(笑)。
それはアンプを鳴らしているかのような音ではなくて、ラインだからこそ出来る音ってことですか?
アンプを鳴らしているような音の、アンプよりオン(音像が近い)でかっこいいんじゃないのって言えばいいでしょうか。もちろんアンプのサウンドが嫌いってわけではなくて、アンプももちろん好きなんですけど、アンプだとこうなっちゃうよねというマイナスの面も僕は感じていて、アンプの好きな人から言わせれば「アンプ・シュミレーターでしょ?」っていうのもあるだろうけど、やっぱりAA=のサウンドにはこっちのオンの方があうんじゃないかなということで……。
AA=は基本的にそうやって実験をしていくのがレコーディングの中でのひとつの目的でもあって、そこでいろいろなことを試してみる。アンプ鳴らして録るのはもう十何年もずっとやってきたことなので、そういう新しいものをいじくり倒してみるのが、AA=になってからのトレンドですね、ギターの音に関しては。1stの時からずっとそうです。
チューニングを落としているじゃないですか。だから、ラインの方が全然よかったりするんですよね。
デジタルならではのいいところ、悪いところはもちろんあるんだけど、それを含めて自分らの音としてやれるというのがAA=のスタイルだと思っているんで。
その新作リリース後はライヴもあると思いますが、ライヴはどのような感じですか?
そうですね。アンプ鳴らすんでアンプの音聞いてください(笑)。
だから、こないだのあっくんとのインタヴューでも言ったけど、ライヴと作品の違いが非常に大きいバンドで、それぞれ目指すところが全然違うんで、作品で作り上げたものをぶち壊すというか爆発させる瞬間がライヴなので。
それがまた新しい音になって聞こえてくるということですね。
そうですね。同じ曲だし、同じメンバーが演奏しているけど、全然違うと思うんで。
なるほど。最後に新作について、その他なにかあれば。
アルバム、ちゃんと買ってください!(笑)
爆笑
いいこと言った!(笑)
コピーしないでください(笑)。
そこはデジタルじゃなく、アナログで。
デジタルなものを、アナログなお金で買ってください(笑)。
あ、そういえば「HUMANITY2」ってタイトルは実のアイディアなんですよ。
そうそう。って、あれアイディアなの?(笑)
元々「HUMANITY」って曲があったんですよ、マッドの時に。それがあるから今回は2(ツー)なんだけど。この曲(「HUMANITY2」)のデモを実に聴かせた時、実からの最初の感想が「「HUMANITY」の感じ、においがするよね」って言われて。そのあと俺もずっとタイトルをどうしようか悩んでいる時期があって、その実に言われたことを思い出して、やっぱり「HUMANITYでいくべきなんじゃないか」って思って。そこらへんの感じ、においを知っているのはまさに……
俺らじゃないと出てこないよね。
そうだよね。本当にその時代を一緒にいたヤツが言うんだから「あー、やっぱりそうだよね」って思って。
「やべぇ、剛士まだ尖ってる。俺も尖らなきゃ!」って思ってね(笑)。
それがなかったらタイトルが変わっていた……?
かもしれない(笑)。
それはいいエピソードですね。新作聴くのがさらに楽しみになりました。今日はありがとうございました!
新作完成まで密着!! AA= Special Contents Member Interview Vol.2 Minoru Kojima