最初にこの"New Audiogram ver.4.1"の情報を聞いたとき、普通のイヴェンターの企画するイヴェントではなかなかあり得ない、実はなかった競演だとうなったけど、トリのHiGEまで、とにかく楽しくて充実していた。
コテイスイが「もりあがる」と書かれた紙とプチプチを胸に貼って登場という、なんだかワカラナさからの「ギルティーは罪な奴」、「ロックンロールと五人の囚人」の出だしの2曲で確信したのは改めてHiGEはロックンロールなバンドだということ。ループ感を強調した「嘘とガイコツとママのジュース」に代表されるダンス・ミュージック的なアプローチでも、はたまたパンクでも、手当たり次第飲み込んだ彼らの音は、ロックではなくきちんとロールしている。斉藤とアイゴンが胡座かいてギター弾いたり、ステージでの自由度を目の当たりにすると、アイゴンが加入したことが、バンドとしての安定感ではなく、さらにクリエイティヴな野放図に向かっているところが痛快。
ツアーの折り返し地点、かつ久しぶりの東京でのライヴということで「つつましいよね、彼ら」とサイトの対談取材の際のエピソードやらなぜか兼六園の日除けの被り物やら、「俺はプリンセス・ピーチだからまた救いにきてくれ」と須藤のMCテンションの高めなのとだらだらっぷりがおかしい。レコーディングを続けていたということもあり今日は2曲の新曲を演奏したこともつけ加えておきたい。
個人的なハイライトは、中盤で「ブラッディ・マリー、気をつけろ!」、「MR.アメリカ」とストレートな楽曲に続いてプレイしたアルバム『サンシャイン』の1曲目「青空」。アイゴンのギターと須藤のヴォーカルに胸ぐらを掴まれた。本編最後の「虹」とともに、ギリギリのところでニヒリスティックにいかない髭の語り口に、素直に心動かされた。
Text : KK
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)
-Set List-
01. ギルティーは罪な奴
02. ロックンロールと五人の囚人
03. 新曲
04. 嘘とガイコツとママのジュース
05. ブラッディ・マリー、気をつけろ!
06. MR.アメリカ
07. 青空
08. ハリキリ坊やのブリティッシュ・ジョーク
09. イカしている俺は×××
10. ペインキラー (for Pain)
11. 新曲
12. テキーラ!テキーラ!
13. 虹
-Encore-
14. サンシャイン
15. 髭よさらば
16. ダーティーな世界(put your head)
シューゲイズでインプロビゼーション的なイントロから、浮遊するベースラインが印象的な「ひとり乗り」でOGRE YOU ASSHOLEがスタート。
渋谷O-EASTのフロアに降り注がれるスケールを増幅したアンサンブルに驚くとともに、サイケデリックな「ヘッドライト」、出戸の歌にあるタフネスにもバンドの成長を感じる「ピンホール」までシームレスで繋ぐ構成力は、ここ最近の彼らライヴの楽しみの大きなひとつ。また、幾分ガレージ感とダンス度高めのラウドな音の鳴りの「バランス」といったところに、これまでいい意味で音の余白を活かす構築をしてきたオウガの魅力とは別の何かがたち現れているような気がしてならない。
「コインランドリー」、「フラッグ」、「アドバンテージ」というアッパーな古くからのレパートリーで固めた後半の流れからも、定番の曲でもウ゛ェニューやイヴェントによりモードを変えてくる4人のライヴへの果敢な姿勢が窺える。ラスト「ワイパー」の柔らかなサイケデリアで締めるのも心憎いばかり。
12インチ・ウ゛ァイナルを発表したばかりの彼らだが、8月にリリースすると告知されたニュー・アルバムで、どのような新しいアクションを聴かせてくれるのだろう。
Text : KK
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)
-Set List-
01. イントロ
02. ひとり乗り
03. ヘッドライト
04. ピンホール
05. バランス
06. コインランドリー
07. フラッグ
08. アドバンテージ
09. ワイパー
柔かなサイケデリカとどこか捻くれた不思議な世界観!!
OGRE YOU ASSHOLEワールド全開の素晴らしいライヴでした!!
もうすぐレポートもアップしますので、お楽しみに!!
オープニングアクトとして登場したPredawn。昨年リリースした『手のなかの鳥』が各所で評価を得た彼女だが、アコースティックギターの弾き語りでのパフォーマンスの多いなかでの貴重なバンドセットでのライヴだ。
ウッドベース、ブラシをメインにしたドラムとともにステージに現れ、最初ストラップの調節にとまどっていたものの、つま弾かれるギターから「Insomniac」がはじまったとたん、優しくもピリッとした空気が会場に満ちる。「呼んでいただいてありがとうございます」というMCからも飾らないキャラクターが感じられる。
COUNTDOWN JAPAN以来だというバンド編成の演奏は、フォークやカントリー、トラディショナルな香りが漂いながら、決して懐古趣味でない味わいがある。例えばFLEET FOXESの伝統に対する解釈と通じる、フリーフォームで風通しのよい空気。それがシンプルかつ丁寧なバンドのサポートにより、作品より弾き語りよりダイレクトに伝わるアクトだったと思う。お客さんの顔がよく見えるので緊張するけれど、と断りながら「すごいいい笑顔ですね」と語りかける姿に、そして透明感に溢れたヴォーカルの存在感に誰もが引き込まれたことだろう。
Text : KK
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)
-Set List-
01. Insomniac
02. Little Green
03. Free Ride
04. Keep Silence
05. Tunnel Light
06. Over the Rainbow
07. Suddenly
08. Sheep & Tear