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Blu-ray
[2013-10-24 00:28]

131023.jpg


10月23日。
過去のDVD3作品を、Blu-rayにしました。
Blu-rayはDVDと何が違うのか?
今日はそんな話。


Blu-rayとDVDの違いは容量。
パソコンやスマートフォンでよく見る『〇〇ギガ』とかいうやつですね。
DVDより大きな容量なので、色々なものを入れられます。
例えば、収録できる時間が長くなるので特典映像をいっぱい入れたりも出来ます。
ただ今回の3作品に関して、内容はDVDと変わりません。
違いは高画質で高音質になったこと。

根拠のない予想ですが、家にコンポは無いけれど、テレビはフルHDを見れるって方、沢山いるような気がします。なので、より解りやすく体感出来るのは高画質でしょうか?
映像収録時に大きな容量の高画質で撮影されているので、DVDならば編集作業の過程でその容量に収まるよう小さくします。その際、若干画質が落ちてしまうのですが、僕はVHS育ちなので、それでもDVDは凄く綺麗な印象があります。
Blu-rayは撮影時の画質そのままとまではいかなくても、DVDより容量を小さくしなくても入れる事が可能なので、さらに綺麗です。
正直ビックリです。
家のテレビがたとえ小さくても、この違いは解ると思います。
百聞は一見に如かず。
見比べれば一目瞭然ですが
勿論、わざわざ両方買う必要はありません。


次は高音質。

これには映像と大きく違う点があります。
今回の3作品は、CDよりも高音質ではあるけれど、DVDにそのまま入れられるくらいの音質で録音されていました。(48kHz 24bit)
____________________
ちなみにそれぞれ入れられる音質は
CD  → 44.1kHz 16bit
DVD  → 48kHz 24bit
Blu-ray → 96kHz 24bit以上
数字が大きい方が高音質くらいの認識でOK
(収録時間によって変わってきます)
____________________

なので『録音した時よりも高音質にする』という作業をしないと、音質という面に限ってBlu-ray化する意味がないのです。
この高音質にするっていうのが、意外に厄介。
前提として『高音質』であることが、誰にとっても『良い音』であるとは限りません。
それは演奏者である僕らにとっても例外ではないのです。

全く別の機会に、とあるメーカーが採用(推奨)している方法を試した事があるのですが、僕は高音質になったという印象を受けませんでした。Blu-ray化にあたって、今回この方法を採用するのであれば、僕はこの作品に対して『高音質にしました』と言いたくない。
ただ、かといって全て1から作り直すほど時間も予算もない。
そもそも、携帯で撮った写真を一眼レフで撮ったかのような画質に変える、みたいな事を音に関して出来るのだろうか?
だけど高音質にしないのであれば、Blu-ray化する意味が半減してしまう。

んー、困ったぞ、と。

そこでメンバーや担当ディレクターと話し合い、新しい事にチャレンジする事も含めて色々検討しようということになりました。
今回のような48kHzから96kHzに音質を変える事をアップサンプリングと言うのですが、このアップサンプリングをする方法が、実は沢山あるらしい。その中から僕らがまだやったことのない方法を複数ピックアップして聴き比べし、良いと思ったものを選ぶ事になりました。

担当ディレクターが用意したのは3つ。
1、いつもレコーディングで使っている音楽制作ソフトを使っての96kHz
2、ドルビーのアップサンプリング技術での96kHz
3、DVDに収録されているそのままの48kHz

どれが何番か一切解らないまま、この3つをランダムに再生してもらい、好きな音を選ぼう、という事になりました。
ブラインドテストってやつですね。
もし皆が良いと感じた物が48kHzならば、DVDと同じ48kHzの音質を入れる。
その場合、高音質とは言わない。
ドキドキ。
幕張公演でもお世話になったドルビー中山さんに協力してもらい
ドルビーの視聴室をお借りしてテストを行いました。
ドキドキ。

ドルビーの高級スピーカーで聴く分には一長一短。
どれも悪くないけど、好みの問題かな、という程度。メンバー内でも好みが分かれる。
担当ディレクターの提案で、普通のスピーカーでも聴いてみる事に。
中山さんが急遽用意してくれたのはPCスピーカー大小2種類。
驚いた事は、PCスピーカーの方が、より3つの違いがはっきりでた事。
なんでだろ?不思議。
ここでメンバー満場一致2番。
勿論、人それぞれ好き嫌いがあって、『高音質』がイコール『良い音』ではないかもしれないけれど、僕らが感じた高音質っていうものを、ちゃんとリスナーの皆様に1つ提案出来る結果になりました。
小さいスピーカーでも違いが解るっていう事が解った事も収穫でした。
良かった。

良い機会、経験をくれたドルビーの皆様、有り難うございました。

長々と書き連ねましたが
Blu-rayだから出来た高画質、高音質と自信を持って言える作品です。
興味があれば是非!

久々に見たけど、とても懐かしい。

Keiichi Ejima : 江島 啓一 エジマ ケイイチ

Keiichi Ejima
江島 啓一 エジマ ケイイチ

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