PREMIUM:ココにしかないレアなオリジナルコンテンツが満載!

"ヤマモト×タイラダイスケ" 対談
[2010-07-23 22:48]

都内某所にて

ヤマモト: では、始めます。まずは紹介から。
タイラ: 改まった感じで。
ヤマモト: 平さんは新宿MARZの店長で、FREE THROWのDJでもあります。なぜ僕が平さんと対談したいと思ったかと言うとですね。
タイラ: そういえば、今、山本くんもDJに興味持ってるんだよね。DOMMUNEみてるから?
ヤマモト: そうなんですよ。DJってやっぱりバンドに近い感じがして、バンドの気持ちもわかってるし、バンドやシーンを盛り上げようとしてるし、そして平さんはライブハウスの店長でもあって、すごい面白い立場にいる人だなと。


———DJについて
タイラ: この間、DJやった時はどうだったの?どんな選曲だったの?
ヤマモト: あの時は、頭の中で構築してこれをながしたいっていうのがあったんですけど、実際始まったら、全然違う曲をかけてて。
タイラ: それは酔っぱらってて(笑)。
ヤマモト: DJってその場の雰囲気でかける曲がかわるんだなと。とりあえず盛り上げようと思ってBATTLESかけました(笑)。そのあとAt The Drive-Inをかけて。
タイラ: ルーツがわかるね。
ヤマモト: そう、ひたすらロック系で。
タイラ: でも、ダンスミュージックの方に興味があるんだよね?DOMMUNEとかは大体ダンスミュージックだよね。大沢伸一とか。
ヤマモト: 大好きですね。ルーツはフジロックにあって。昔はよくオールナイトフジとかに行ってて。
タイラ: 俺が行く時は、いつも雨で中止になってるんだよね(笑)。雨とか降ると意外とあっさり中止になるよね(笑)。あと入場規制とかね。
ヤマモト: あの空間だけ異質なんですよ。
タイラ: DJとかもすごくミニマルだよね。
ヤマモト: そう、ひたすらミニマル。そういうので影響受けてるかもしれないですね。昔、新宿にあった頃のリキッドルームとかも良く行ってましたね。
タイラ: 俺が東京に出て来た時には、もうリキッドルームは新宿から無くなっちゃってて。でも俺がダンスミュージックが好きになったのって、実はDJをやり始めてからなんだよね。
ヤマモト: 最初はどういういきさつでDJを始めたんですか?
タイラ: はじめは動機が不純で、もともとイベンターになりたくて、東京に出て来たんだけど、調べれば調べるほどイベンターになるのはすごい大変だなと思って。もう自分が好きなバンドは、自分たちでイベントを企画したほうが盛り上がるっていうのもあって、じゃあ俺がイベンターをやる意味ってなんだろうって考えて。それで考えついたのが、大学が水戸だったから、水戸でイベントをやれば東京からバンドが来てくれるんじゃないかなって思って。
ヤマモト: いい着眼点ですね。
タイラ: そう、知り合いもいっぱいいて、水戸の方がイベントやりやすくって。それで一番最初に自分で企画してやったイベントがDJイベントだったんだよね。なんでDJイベントかっていうと、東京からバンドを呼んでも、やっぱりなかなかお客さんが来ないっていう現状もあって、どうすれば人が来てくれるかっていうのを考えたら、知り合いのsoultodayのDJ 保坂壮彦っていう人がいて、ROCK IN JAPANでもDJをやってたから、彼を呼んだら盛り上がるんじゃないかなと思って。それで保坂さんとやり取りをしているうちに、soultodayが水戸に行くだけだったら1回で終わってしまうので、せっかくだったら地元のDJの人と一緒にやって、そういうシーンを根付かせたいって言ってくれて。
ヤマモト: なるほど。
タイラ: でもそういうイベントが水戸にはなくって、どこにDJがいるかわからなくて(笑)。で、俺がやればいいんだみたいな(笑)。それが最初で、今から6年前くらいかな。
ヤマモト: 意外に最近なんですね。その時は何をかけていたんですか?
タイラ: The Clashとかかな。実は自分のルーツはTHE BLUE HEARTSから入って、BLANKEY JET CITY、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTとかを通って、Hi-STANDARDからAIR JAMに辿り着いて。そこからさらに色々さかのぼって、パンク、メロコアから辿って行ってTHE SPECIALSとか聴いたり、そこからレゲエを掘ったりとか、ロカビリーまでいっちゃったりしてたかな。そうやってさかのぼりつつも、日本の新しいバンドとかも聴いたり。その当時だとナンバーガールとか、くるりあたりを。
ヤマモト: 説得力が違いますね(笑)。

taira.jpg

タイラ: 例えば、LONDON NITEの大貫憲章さんは、The Clashのライナーノーツとか書いているんですけども、もともと日本で初めてロックDJをやった人で、UKにThe Clashのライブを観に行った時に、どのライブに行ってもツアーDJがいて、OPENからSTARTの間は、必ずDJの人がレコードをまわしてるみたいな。それも何十年前の話だよね。
ヤマモト: マイクワットも言ってたね。ミニットメンのD・ブーンもやってたことで、自分のイベントで来てくれたお客さんに、自分の周りのバンドを広めるためにやっていたらしいんですよね。それも何十年前ですよね。
タイラ: それこそAdebisi Shankが来た時も、ベースのVinnyがやってたよね。話を聞いたら、アイルランドは必ずライブの前にDJが入ってて、盛り上がって来た所で、バンドが出て来るみたいな。
ヤマモト: 確かに僕らがアイルランドでライブをした時も、DJがいましたね。その時は、ライブの後にDJがスタートしましたけど。
タイラ: 大貫さんは、そういうのを見て衝撃を受けて、日本に帰って来てDJを始めたみたいなんだけど、そんな大貫さんがThe Clashとかかけると説得力が違うよね(笑)。ちょうどその時期、Radioheadが"OK Computer"や"KID A"をリリースしたり、くるりが"ワンダーフォーゲル"をリリースしたりで、日本の音楽もダンスミュージックに接近した時期でもあって。そしてSUPERCARが後期のような音楽性になっていったり。そういう流れもあって、ロックとダンスミュージックをまぜてかけれたらいいかなって考えてたね。LITEとかもFREE THROWでけっこうかかってるよ、ダンスミュージックとして。
ヤマモト: "Infinite Mirror"ですよね。他の曲はかけにくいですよね(笑)。
タイラ: 今回のIlluminateの2曲目"Image Game"もかけたんだけど、中盤のブレイクが長過ぎるよね(笑)。
ヤマモト: 踊る事とは、真逆の方向ですからね(笑)。
タイラ: みんな機材が壊れたのかと思ってて。フロアの人があれっ?て感じになって(笑)。
ヤマモト: みんな焦るみたいな(笑)。途中で他の曲に繋いで下さいよ。
タイラ: 後は"Human Gift"とかも良くかけるよ。
ヤマモト: あれも9拍子とか10拍子ですよ(笑)。
タイラ: でも意外と奇麗につながったりするよ。FREE THROWだと、wooderd chiarieとかsleepy.abもかかるからね。
ヤマモト: でも自然につながっている感じがする。
タイラ: 錯覚というのか、アイディアかもね。
ヤマモト: 腕の見せ所なわけですね。
タイラ: 気合いかな(笑)。
ヤマモト: 僕もDJを初めて、DJの人のすごさに気づかされて。それに付随して思うのは、シモリョウ(the chef cooks me)と話してて、みんなも楽器を触ってみたら、もっとライブを楽しめるんじゃないかなと思って。
タイラ: うんうん。まだ一般のお客さんには浸透してないけどバンドには好かれてるバンドとかよくいるよね。それってそういう事なんだろうね。
ヤマモト: だからDJもやればやる程、面白くなってきてて。平さんは、DJで新しいバンドをかけようっていう意識はあるんですか?
タイラ: みんなはわからないけど、俺はかけたいかな。というかかけなきゃいけないと思ってるね。
ヤマモト: お客さんってDJの選曲眼を楽しみに来てる所もあるりますよね。


———LITEとの出会いについて
ヤマモト: 平さんってDJもやりながら、新宿MARZで店長もやっているっていうのが魅力的ですよね。新宿MARZとか下北沢ERAって、いま売れているバンドが下積みをしてきたライブハウスだったりもして。例えば、avengers in sci-fiとかthe telephonesとか。そういうバンドが無名な時から、DJでかけ続けて、いまのような状況になっているのは、かなりクールだと思いますよ。
タイラ: 俺って、実は東京に出て来たときに絶望したんだよね。イベンターになろうと思って出て来たのに、まったく自分なんかが必要とされている場所がなくて。そのときに思い出に残ってるのが、東京に出て来て1年くらいたった頃、下北沢ERAに出ているバンドがカッコいいっていう話を聞いて、ERAのコンピを買って。そこでthe chef cooks meも知ったり、他にも色んなバンドをそのとき知ることになって。で、実際に下北沢ERAにも遊びに行って、なんじゃこりゃーて(笑)。そんな流れの中、新宿MARZでLITEが、filmletsのレコ発の時に、すごく観たいと思って行ったんだよね。
ヤマモト: LITEが水戸に行ったのってその後ですか?
タイラ: その後だね。そこでおれ水戸でイベントやってるんですよって話しかけて、ツアーで水戸に来てもらう事になったんだよね。
ヤマモト: その時の印象ってどんな感じでした?
タイラ: その時は、インストロック・シーンみたいなのはあんまり知らない状態だったので、新鮮というか、こんな音楽があるんだみたいな。こんな風に、DJでかけてる曲って、ダイレクトにライブハウスからの影響を受けてると思う。でもこれは自然なことのような気がする。


———Illuminateについて
ヤマモト: Illuminateの感想とかも聞かせて下さい。
タイラ: 前作のTurns Red EPが今までのLITEからすごく変わった作品だったじゃない。
ヤマモト: 革命を起こそうとして第一歩を踏み出した作品でしたからね。
タイラ: 俺の中では、シンセを使うことがコンセプトな感じで、すごい実験的だったし、いままでのLITEからは想像つかなかったね。で、今回のはすごくニュートラルな感じがして、シンセも消化して、今までのLITEっぽさも出てて。良い意味で振り切れていたシフトがニュートラルに戻ったみたいな。
ヤマモト: Turns Red EPは"The Sun Sank"とかぶっ飛んでる感じはありましたね(笑)。今までスタジオでジャムって曲を作っていたんですけど、なかなか出来なくて。それで新しい風を入れよっていって、一から作り直したのがTurns Red EPで、今までのLITEをもっと大事にしようっていうコンセプトで作ったのがIlluminateなんです。
タイラ: でも今回、イメージ的にはニュートラルになって、音楽的には1歩進んだと思うんだよね。単純に音が良いっていうのもあるしね。
ヤマモト: ジョンマッケンタイアですね。
タイラ: Tortoiseの最近のアルバムとかも凄い好きで。シンセの音色とかも独特だしドラムの音も独特だよね。タムとかスネアの音が生々しいというか。
ヤマモト: 彼が録ったりミックスすると、彼の音になるんですよね。彼のドラムセットを使わしてもらったんですが、彼のスネアが完璧なチューニングで。こんなに奇麗かつ個性的なチューニングをする人は初めてで。
タイラ: チューニングもジョンマッケンタイアがやってるんだ。
ヤマモト: そう。普段使っているドラムセットを使わしてもらって。シンバルも何種類もあったり。
タイラ: 鳴りとかも全然違うの?
ヤマモト: ドラゴンっていうメーカーのシンバルがあって、ジョンはそれをすごく気に入ってて。驚く事に、何を鳴らしてもチャイナの音がするんですよ、ハイハットまで(笑)。それ1つ見ても彼が個性的なのがよくわかりますよね。スタンダードを知っているけど、スタンダードへは行かない。ちょっとひねくれているのが、音作りの面でもすごく良いですね。自分たちの曲作りにも通じてて。ちょっとひねくれたいっていう気持ちは常にあって。
タイラ: 十分ひねくれてるけどね(笑)。オレは思うに、Tortoiseの新譜とかにもすごいポップさがあるなと思ってて。音だったりリズムだったりにポップで。LITEの新譜にもそれを感じてて。昔からそれはあったけどね。オレがLITEを好きな理由って、ポップミュージックだからっていうのがあるよね。
ヤマモト: それはすごく嬉しいですね。
タイラ: 歌がある無いとかではなく、曲の中にドラムのパターンだったり、ギターのリフだったり、最近ではシンセの音だったりメロディーだったりに、キャッチーな部分があるなって。
ヤマモト: 嬉しいです。自己満足な音楽をやろうとは思っていないので、多くの人に訴えかけられるような音楽を作ろうと思ってやってますね。
タイラ: 井澤くんのベースとかめちゃくちゃ歌ってるもんね。filmletsの時は井澤くんのベースがすごいなと思って。井澤くんのベースがメロディアスだから。
ヤマモト: 他の3人がひたすら無機質を突き詰めてたっていうのがあるんですよね。だからベースの音が有機的に聴こえてくる感じですかね。
タイラ: あとライブがすごい楽しいっていうのがあるね。誰が何をやってるのかわからない時があったり、CDを聴いてライブに行くと、こういう事だったのかって。例えば武田くんの動きとか(笑)。
ヤマモト: 絶妙な動きしてますからね。某バンドには電動こけしって言われてますからね(笑)。
タイラ: すごいわかる(笑)。


from Yamamoto
Illuminate
Illuminate / LITE
RDCP-1005 / 1,600yen (tax in)
2010.07.07 on sale
icon icon
01. Drops
02. Image Game
03. On The Mountain Path
04. Andromeda
05. 100 Million Rainbows


follow me on Twitter

LITE: ライト

LITE
ライト

L→R
Jun Izawa (Bass)
Kouzou Kusumoto (Guitar)
Akinori Yamamoto (Drums)
Nobuyuki Takeda (Guitar)

2003年結成、4人組インストロックバンド。今までに2枚のフル・アルバムと2枚のEPをリリースし、独自のプログレッシブで鋭角的なリフやリズムからなる、エモーショナルでスリリングな楽曲は瞬く間に話題となり、また同時にヨーロッパのレーベルからもリリースし、3度のヨーロッパ、2度のUSツアーの成功させるなど国内外で注目を集めはじめる。そして昨年10月に立ち上げた自主レーベル【I Want The Moon】より、音響系 / ポストロックの巨匠で、TORTOISE,THE SEA AND CAKEのJohn McEntireを迎えて、シカゴのSoma Studioにてレコーディングされた5曲を収録したミニ・アルバム『ILLUMINATE』を7月7日にリリースする。近年盛り上がりを見せているインストロック・シーンの中でも、最も注目すべき存在のひとつである。

MONTHLY ARCHIVES
SEARCH