時折降り注ぐ雨もすっかり止み、夕暮れを迎えた最高のシチュエーションのヘブンにアダム・ピアースとメンバーが現れる。清涼感に満ちた音の手触りを持ち味に刻々とサウンドをバージョンアップさせてきた彼らだが、今回は最新作となるセルフ・タイトル・アルバムのイメージを受け継いだ、折衷的な音のレイヤーに柔らかなボーカルを随所に置いたスタイル。初期の幾分実験的なポストロックの手法は、ジャズ、ボサなどあらゆる音を自由に編集してオーガニックなアンサンブルにまとめあげる姿勢にうかがえ、そこにライヴならではのダイナミックな感覚が持ちこまれる。「フジロックは初めてだけど、素晴らしいところだね」と、彼らも会場の雰囲気を満喫しているようだ。さらに、先ほどホワイトで感動的なアクトを終えたばかりの原田郁子が加わり、2005年の共演作『bam-vinda vontade』のめくるめく世界再び!幻想的なヘブンにぴったりの、スペシャルなコラボレーションだった。