FAKE BLOOD
TRIBAL CIRCUSのスタートダッシュを決めたFAKE BLOOD。イーヴンキックを基本にしたグルーヴで、このステージ直後には隣のGAN-BANブースに移りプレイを続行し、そちらでもトバしていた。
80kidz
次に控える80kidzの時間となる頃には、入口からオーディエンスが溢れだすまでに。すさまじい期待度が爆発し、演奏が始まるやいなやフロアはおもしろいようにドッカンドッカンきてました。もちろん予想されていたコラボもあり。『THIS IS MY SHIT』からの「Frankie」ではTHE SHOESとともにきらめくエレクトロニックなプロダクションをド派手にショーアップ。ニューカマーということは関係なく、次世代ダンスシーンを背負って立つ存在であることを文句なく実践してみせてくれた。
THE BLOODY BEETROOTS
THE SHOES
THE BLOODY BEETROOTSはレイヴィーでトランシーな音づくりでこちらも終始アッパーに。そしてTHE SHOESも再びロッキンなエレクトロにハチャメチャ感をでたらめなまでにミックスして攻める。
普段は天候や近くのグリーンのアクトの状況で密度が変化するRED MARQUEEだけれど、この夜はTHE CROOKERSが終了する朝方まで熱が途切れることがなかった。
THE CROOKERS
FRANZ FERDINANDの最新作『TONIGHT』は、スタジアム・クラスとなったバンド感にアンダーグラウンドなダンスミュージック・ファンをも納得させる視点が加えられていた。その高い完成度を受け継ぐ、エンターテイメント性とダンス感がウェルメイドに融合されたステージが繰り広げられていく。
序盤から「DO YOU WANT TO」などの人気曲を持ってきて、ニュー・ウェイヴな「TURN IT ON」といった新曲により、「THE DARK OF THE MATINEE」「TAKE ME OUT」のようなシャープにドライブするギター・サウンドがぐっと生々しく迫ってくる。そしてALEX KAPRANOSのDEPECHE MODEのDAVE GAHANなどの系譜にある影のあるデカダンなヴォーカルも、なまめかしさとロックの恍惚感を表現しきる。
ハイライトはアンコールの「ULYSSES」。あの麻薬のようなドラムとベースラインたるや! そして「LUCID DREAM」のホワイト・ファンクとディープハウスが出会ったようなめくるめく世界で、GREEN STAGE2日目のトリを華麗に締めくくった。
すでにアイコンとして、リヴィング・レジェンドとして知っている若いリスナーはいても、実際音を聴くのははじめてというフジロッカーズは少なくなかったのではないだろうか。ゆるりとステージに現れ、H.R.が先に伝えられているように今回のメンバー、DR.KNOW、EARL HUDSON、DARRYL JENIFERを紹介しながら、楽しんでくれよーと語りかける。
ファストなパンク・ナンバーとの間に丁寧にお辞儀をしてオーディエンスに応えるさまは紳士的かつ聖人めいた、なにか超越したたたずまいさえある。問答無用の「BANNED IN D.C.」もやってくれたし、メロウなレゲエのリズムではじまる「I LUV I JAH」の気持ちよさは何物にも換えがたい。
深いディレイのなかで、見守るようにたたずむH.R.を中心に、次々とリズムが変化していったり、メタリックなギターソロとダビーなレゲエのパートがランダムに繰りだされるスタイルは、彼らのストイックな精神性に自然に触れる機会を設けてくれるようだった。
なぜMELVINSがオルタネイティヴ・ロックのシーンで長きにわたり活動を続け、支持を集め続けるのか。
日本でも現在のインディ・ロック・バンド勢にも深い爪痕を残しているし、ちゃんと新作もリリースし、こうしてライヴも続けている。決して大胆なサウンドの変化を続けてきたわけでもない。BUZZ OSBORNEのキレたギターワークや執拗にまとわりつくリフ、DALE CROVERとCOADY WILLISによる、それだけで多彩な表情をかもしだすツインドラムとドラムソロ。JARED WARRENの、マッドなBUZZとバランスを成すベースとヴォーカル。破壊的でささくれだったノイズをふりまきながら、実はそのオリジナリティを磨くためにものすごく建設的であるのではないか。
そこは同じグランジの雄として語られ今年ともに出演を果たしたDINOSAUR JR.と似ているのかもしれない。とにかく、オルタナの歴史を築いた金字塔『HOUDINI』から「HOOCH」をやったときがいちばんクラウドは沸いたけれど、決してそれはノスタルジーではなかった。
FUNKY METERSやThe Neville Brothers、BOOKER.Tなどファンク関連も見逃せない今年のフジだが、もちろん彼らも人気だった。
RANCIDのTIMのお墨付きという高い音楽性。少々ルードなルックスなれど、STUDIO ONEさながらのヴィンテージなオルガン・サウンドをはじめスカやロックステディ、ダブといったバックビートをブラッシュアップしレゲエの旨味と楽しさとして凝縮させる手腕とフレンドリーなキャラクターは、FIELD OF HEAVENのオーディエンスを掴んでいた。
「ダーティ・レゲエって知ってるか?」ヴォーカルのJESSE WAGNERが彼らのキャッチフレーズであり、代表作について問いかけたような、そんな気さくな手触りなのだ。日本でもリリースされた『THE AGGROLITES Ⅳ』(名盤です!)から、ダンサブルな「FIRECRACKER」、ソウルフルな「FEELIN' ALRIGHT」などをプレイし、ラストにはTHE BEATLESの「DON'T LET ME DOWN」までをシンガロング。ダーティ・レゲエが今後この地でますます広まっていく布石を敷いた。
10年ぶりのGREEN STAGEへの帰還。そのときにはマイクにトンボが止まったという逸話もあるほど、UAと苗場の結びつきはマジカルだ。
オープニングの「悲しみジョニー」、そして「情熱」「リズム」「プライベート・サーファー」といったヒット曲が、極めて屈託なく開放的に続き、心を揺さぶってやまない。そこにはホーンそしてコーラスを加え、鈴木正人ら個性的なミュージシャンを擁するバンドが、フリーなニュアンスをベースにしながら、彼女の歌を聴かせることに徹しているからだろう。真紅のアシンメトリーないでたちから、幾分重心を軽くほがらかに歌う姿からは、稀代の歌い手としてのしなやかさがにじみ出ている。
この光景のために用意されたような「黄金の月」、そしてニュー・アルバム『ATTA』から奄美の言葉をフィーチャーした「TIDA」 など、思索やアバンギャルドな季節を過ぎて再びフラットな視点でみずみずしくナチュラルな歌を奏ではじめた、そんな一回りした新しいUAに拍手を。
昨日とうって変わり夏の陽射しがまぶしいWHITE STAGEに掲げられた黒いフラッグ。全国のフェスというフェスを制覇してきた9mm Parabellum Bulletが第2日のこのステージに最初に立った。
2曲目の「Vampiregirl」ですでにギターの滝がマイクスタンドをけちらすほどアグレッシヴにプレイする。それに呼応し、後半のダンスナンバー「Black Market Blues」「Discommunication」までくると、前方はモッシュピット化が加速。バンドの奔放さがこの広々とした場所でさらに伸び伸びと解き放たれている。
世界と生の苦悩を綴る「The World」でさえ、ヴォーカルの菅原の表情には満足感のようなものががあふれていた。途中、前日から入り会場内をまわっていたという彼が、その昔ROOKIE A GO-GOに応募して落とされたことがあるというエピソードを披露する。今日はそのときのデモに入っていた曲をリハで鳴らしてあげたのだそうだ。
そうMCで語ったように彼らを観たここにいるバンドマンが、この勇姿にたきつけられいつかフジロックに出られるようになったとしたら、どんなに素敵だろう。
今日は晴れそうです!!