またしても極彩色のドリーミーなサイケデリアを出現させバンドの新たな代表作となった『MERRIWEATHER POST PAVILION』のイントロと同じく、深海にいるようなムードでライヴが幕を開ける。
作品以上にAVEY TAREとDEAKINによるヴォーカルが際立っている。というか歌いまくり。チャントやケチャのごとくプリミティブなヴォイシングは歌の野性的な効力を信じ、重要視しているからだろうか。そしてその横でマッド・サイエンティストよろしく一心につまみを操作し続けるPANDA BEAR。
革新的なのが、ライヴだからと安易にロック的なキックを打っている曲がほとんどないこと。しっかりしたボトムが顔をのぞかせるのが、開始から40分ほど過ぎた頃なんだから、じらし上手にもほどがある。それだけに、この異能集団のサウンドは中毒性が高いのだ。あっけにとられた人も少なくなかったみたいだけど、ある意味これこそむちゃくちゃラディカルなプロダクションなんだと思う。