すでにアイコンとして、リヴィング・レジェンドとして知っている若いリスナーはいても、実際音を聴くのははじめてというフジロッカーズは少なくなかったのではないだろうか。ゆるりとステージに現れ、H.R.が先に伝えられているように今回のメンバー、DR.KNOW、EARL HUDSON、DARRYL JENIFERを紹介しながら、楽しんでくれよーと語りかける。
ファストなパンク・ナンバーとの間に丁寧にお辞儀をしてオーディエンスに応えるさまは紳士的かつ聖人めいた、なにか超越したたたずまいさえある。問答無用の「BANNED IN D.C.」もやってくれたし、メロウなレゲエのリズムではじまる「I LUV I JAH」の気持ちよさは何物にも換えがたい。
深いディレイのなかで、見守るようにたたずむH.R.を中心に、次々とリズムが変化していったり、メタリックなギターソロとダビーなレゲエのパートがランダムに繰りだされるスタイルは、彼らのストイックな精神性に自然に触れる機会を設けてくれるようだった。