レッドのステージにはサポートを加えた4人編成のKYTEが現れる。 UKバンドらしい叙情を持ち、琴線に触れるメロディラインを武器にする彼らの、日本での人気を裏付ける超満員のフロア。 アルバム『ラヴ・トゥ・ビー・ロスト』からを中心に、こわれもののような繊細な歌世界を奏でる。「戻ってこれて本当に光栄だよ!」とMCで繰り返すヴォーカルのニック。世界で日本が最もKYTEの良き理解者であることを確かめるように演奏を続ける。新曲もプレイされたが、これまたKYTE印のミッドテンポのメランコリックな名曲。あのアルバムのジャケットと同じく、一貫して物憂げな情景を描くなか、ライヴバンドとしての説得力というか、エレクトロニカ的な音響をルーツとしながらも、ロックバンドのダイナミクスを最大限に使うことがオリジナリティを生んでいるのだ。 そして誠実な音楽への姿勢のブレのなさを、そのひたむきなパフォーマンスから感じた。