正直なところ、今年発表されたFOALSの新作 『ホーリー・ファイア』のメジャー感に驚いていた。彼らの初期からのエッジな変態性、 ダンス、インディー感、盛り上がりを拒否するようなループ、そして平熱感が弱められたような印象があったのだ。しかし雨のグリーンでの圧倒的なパフォーマンスで心配は見事覆された。ニュー・アルバム収録の「My Number」は人を食ったようなチープなシンセのダンスチューンだが、そこかしこに緻密なアイディアに満ちている。寄せては返すグルーヴ感を駆使し、一時期のブロック・パーティーがそうであったように、こっちが主流なのだという価値観の反転を起こさせてくれるバンドなのかもしれない。ヴォーカルのヤニスは雨のなか見てくれた観客をねぎらいながら、終盤はクラウドの前に降りギターをプレイ。最後の「Two steps, twice」のプリミティヴなビートで躍り狂うグリーンのオーディエンスの凄さともに、バンドのポテンシャルを再度確認できた。