ちょっとレトロな音色と複雑でプログレッシヴな構成に代表されるポップ・マニア的なセンスとエモなメロディそして疾走感を持つ彼らの最たる持ち味とは、その人懐っこさの滲みでたバンドのスタンスと楽曲にあると思う。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのフックアップで一躍日本での人気を高めたが、それも納得の日本人の琴線に触れるメランコリックな旋律と、伸びやかなWesley Milesのヴォーカルの心地よさ。ヴァイオリン、チェロの音色を決してクラシカルなだけではなく、モダンなアレンジメントに昇華する。
男女6人のメンバーが立つRED MARQUEE上は、常に何かが起こっているような躍動や祝祭性と同時に、“また来るね”と日本語で流暢にMCしてしまう、VAMPIRE WEEKENDほど洗練されない不思議な親しみやすさがあるのだ。
Text : KK
Photo : Ryo Nakajima (SyncThings)