2008年の来日時は注目の新人くらいの扱いだったのに、あれよあれよという間に10年代最重要バンドになってしまったMGMT。今回、WHITE STAGEのトリを務める彼らにとっても、デビュー作の『Oracular Spectacular』(2008年)からセカンド・アルバム『Congratulations』(2010年)の2枚のアルバムの間の変化は劇的なものだっただろう。
終始深い青の照明を浴びながら、真夏の夜にドリーミーなランドスケープを表現する。分厚いシンセの音色でくるまれた『Oracular Spectacular』と、その色彩感をアシッドフォークの旋律に注入した『Congratulations』をバランス良く掛け合わせた今回のライヴ・セットは、その幻想的な光景と相まって、彼らの神秘性を高めていく。
「TELEVISION PERSONALITIESのDan Treacyが大好きなんだ!」という言葉の後には、もちろん『Congratulations』に収録の「Song for Dan Treacy」。インディ・シーンのカルト・ヒーローをリスペクトする姿勢にも好感が持てるが、まるでMichelangelo Antonioniの映画を思わせるような独特のサイケデリアの中には、彼のインディ・スピリッツが受け継がれているのだということを改めて感じ嬉しくなった。そしてわかってはいたけれど、「Time To Pretend」と「Kids」を演奏した時の会場の爆発は、まさに鳥肌モノだった。WHITE STAGEのトリに相応しい、ミラクルなステージを披露してくれた。
(KK)
雨のWHITE STAGEに入場規制がかかる。それも当然だろう。ONE DAY AS A LION、つまりRAGE AGAINST THE MACHINEのZack de la Rocha、そして元THE MARS VOLTAのJon Theodoreによるスーパー・プロジェクトの日本初ライヴ、いや、世界的にも実に貴重なライヴがはじまるのだ。THE MARS VOLTAのファンにとっては昼間に同じステージでJuan AldereteとOmar Rodriguez-LopezがVATO NEGROとして素晴らしいパフォーマンスをおこなっただけに、たまらない1日となったことだろう。
さて世界的にも貴重なこのパフォーマンス、EP『ONE DAY AS A LION』の印象とさほど変わらなかったというのが、正直な感想。サポート・キーボーディストを加え、クラウトロックのごとき酩酊感、ハウスのループも飲み込んだビートをベースにして、Zackがハンド・マイクとキーボードを交互に持ち変えフロウと全体のグルーヴをコントロールしていく。まだ彼らの今後の方向性を予感させるところまでは見出せなかったが、ライヴ前に韓国で違法解雇されたギター職人を舞台に上げて話をさせる、その限りない反体制の精神と問題意識は、その音からも余すところなく感じられた。
(KK)
身動きできないくらい観客が集結するなか、手で"C"を型どったシルエットのバックドロップが掲げられたステージに4人が登場。こうしたフェス空間におけるザ・クロマニヨンズの人気は絶大だ。「グリセリン・クイーン」や「鉄カブト」といった近作曲のみならず、「タリホー」などシンガロング必至のナンバーを立て続けに披露し、そのシンプルかつ即効性の高いロックンロールが、一気に会場を熱で包んでいく。
苗場というロケーションに相応しいブルージーな「草原の輝き」では、気持ち良くなり過ぎて長くなってしまったとヒロトが笑う。人々を繋ぐロックンロールの魅力について、ヒロトは「世界中がアウェイじゃない気がする」とMCする。例えば世界共通言語としてロックンロールを捉えるなら、最もその楽しさを伝えているバンドは、(あくまで私見だが)RAMONES、そしてきっとこのザ・クロマニヨンズがダントツであるに違いない。
(KK)
夏フェス・シーズンを前にアルバム『CREATURES』の全国ツアーを成功のうちに終了したSTRAIGHTENER。4年ぶりとなるフジロックについてホリエは「思ったより緊張する」とMCでこぼしたけれど、決して長いとは言えないは演奏時間の中で、バンドの進化とファンの待っているキラーなナンバーとを絶妙のバランスでしっかりとまとめ上げていた。
特にここ数年のブルックリン周辺のバンドたちを思わせるプログレッシヴなダンスチューン「Man-Like Creature」はWHITE STAGEのシチュエーションにハマりすぎだったし、「SIX DAY WONDER」あたりの拡がりに満ちた音響の連なりには、彼らもこうした世界観を確実に我が物にしたのだという自信とメッセージが溢れ、楽曲の風景をよりヴィヴィッドに見せてくれているのだと感じた。
またホリエから出た「これからも日本のロック・ミュージックをよろしくお願いします」という言葉は、自らがその矢面に立っていこうという宣言のようにすら聞えてきた。頼りになる心強い存在になりながらも、きちんとキッズのためのバカ騒ぎできる切り札も出す。バンドの真価と奥行きをアピールしきった見事なパフォーマンスだった。
(KK)
「ハロー、ウィー・アー・PONTIACS!」とベンジーが自ら紹介する。自分は決してブランキー原理主義者ではないが、浅井健一と照井利幸による新バンドという想像を超えるポテンシャルを持った"新人"の誕生を目の当たりにし、ある種の興奮を抑えきれない。
50分ほどのステージの全てが新曲で、完成度は高かった。アグレッシヴに攻める曲ばかり。ドラム有松益男と照井のリズム隊は浅井のギターや歌に拮抗しながらもファットで、浅井ソロやJUDEとも異なるギター・リフやソロが飛び出してくる。ふたりのグルーヴ、特に照井のベースラインが浅井のなかの創作意欲を刷新したことは間違いないようだ。
バンド名の通りロカビリー、ガレージ色濃いナンバーが多かったこともブランキー初期を重ねてしまうけれども、ベンジーの語り口は決して懐古的ではない。最後にはサーフクラウドさえ生まれた今日のオーディエンスの反応のよさもそれを証明している。披露された「僕たち3人で乾杯しようぜ 未来に向かって チアーズ」と歌う曲の通り、PONTIACSに祝福あれ。
(KK)
しかしCrispian Millsという男はまったく歳をとらない。もはやフジロックの常連と言える出演回数を誇る彼ら。いつぞやはとなりのRED MARQUEEでプレイしたこともあったけれど、やはり貫禄というべきか、本日のGRREN STAGEは観客でびっしりと埋め尽くされていた。
90年代より活動を続け、THE JEEVAS、そして再結成と紆余曲折を経てはいるものの、一貫して70年代ロックのヴィンテージ感とサイケデリアを追求してきた彼ら。貴公子然としたルックスに隠れてしまいがちだが、そのビートリッシュな旋律はポップ・ソングとしての強度が高い。
「Mystical Machinegun」、「Hey Dude」、そして「Hush」と後半に立て続けにプレイされた初期のナンバーもまったく色褪せないのだからすごい。彼らの美学は、やはりUKロックの歴史に名を刻むソングライティングであり、細かい仕掛けも必要なく、真っ向から挑むライヴであることを再認識させられた。
(KK)
FIELD OF HEAVENには"招かれる"アーティストと、残念ながら"そうでない"アーティストがいる。OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDはまごうことなく前者だった。ヴァイオリン、アコースティック・ギターを操るMartinの伸びやかな声は不思議な郷愁を呼び起こす。アイリッシュ・ミュージックのテイストやルーツ・ミュージックの素朴な手触りを大切にしている。
今日のパフォーマンスも、TOSHI-LOWがKAKUEIに代わりパーカッションを担当し、RONZIとリズムでセッションを繰り広げる場面など、BRAHMANでのとてつもない緊張感と瞬発力とは一変し、屈託なく音楽と戯れる楽しさと解放感に満ちている。
途中、Martinは「こんにちは、AKB48です」と自己紹介して場内の笑いをさそったけれど、このバンドは楽曲のリリックのテーマ、あるいはステージでの演奏についても、その根っこには必ず"スマイル"が存在している。そしてそれはいま、とても大切なことだと思う。
(KK)
ドラムの畑野が「ほんとうに素晴らしい景色!」とカメラを客席に向けてもらいGREEN STAGEからの展望を共有しようとしたり、そもそも彼らのライヴの根底にある"自由に楽しむこと"を大切にするムードが朝の苗場の空気を変える。
「Song Of Hate」、「RAINBOW RAINBOW」などキラー揃いのセットで会場を沸かせたことはもちろん、、自主イヴェント"1997"を主催し、小細工のない、ストロング・スタイルのパンクロックをインディペンデントな姿勢を崩さず提供し続けるHAWAIIAN6だからこそ言える「みんなのフジロックでありたい、だからいつまでも続くようにひとりひとつゴミを拾おう!」と呼びかけるシーンもやはり忘れてはいけない。実にHAWAIIAN6らしいパフォーマンスをGREEN STAGEでやってのけた。
(KK)
DAYDREAMINGに続いて早い2日目RED MARQUEEのトップに抜擢されたLITE。リリースされまもない『ILLUMINATE』から「Image Game」に象徴されるループ感やエレクトロニカ的手法の導入によりじわりじわりとピークに持ち上げていき、そこにハードコア / マスロックの複雑なアンサンブルをアグレッシヴに聴かせる楽曲を組み合わせ、新しいLITE像を現出させていた。
いつもは朴とつとしてるギターの武田が「めっちゃ楽しいっす」と感極まったように早くから集まったオーディエンスに感謝を述べ、フロアからもこれまでにないあたたかい声援と拍手が起こる。何より結果的として彼らのストレートな感情が全面に出たライヴとなったのが素晴らしいと思う。
(KK)
おはようございます!!
フジロック2日目の朝です。
今朝の空はこんな感じ。
曇り気味の空ですが、風も清々しく
過ごしやすそうです。
今日の1発目は
10:20からのRED MARQUEE
LITEのライヴ!!
それでは、今日もいろいろな感動やミラクルが
起こることを期待し、思う存分フジロックを楽しみましょう!!
(編集部 田中)