2008年の来日時は注目の新人くらいの扱いだったのに、あれよあれよという間に10年代最重要バンドになってしまったMGMT。今回、WHITE STAGEのトリを務める彼らにとっても、デビュー作の『Oracular Spectacular』(2008年)からセカンド・アルバム『Congratulations』(2010年)の2枚のアルバムの間の変化は劇的なものだっただろう。
終始深い青の照明を浴びながら、真夏の夜にドリーミーなランドスケープを表現する。分厚いシンセの音色でくるまれた『Oracular Spectacular』と、その色彩感をアシッドフォークの旋律に注入した『Congratulations』をバランス良く掛け合わせた今回のライヴ・セットは、その幻想的な光景と相まって、彼らの神秘性を高めていく。
「TELEVISION PERSONALITIESのDan Treacyが大好きなんだ!」という言葉の後には、もちろん『Congratulations』に収録の「Song for Dan Treacy」。インディ・シーンのカルト・ヒーローをリスペクトする姿勢にも好感が持てるが、まるでMichelangelo Antonioniの映画を思わせるような独特のサイケデリアの中には、彼のインディ・スピリッツが受け継がれているのだということを改めて感じ嬉しくなった。そしてわかってはいたけれど、「Time To Pretend」と「Kids」を演奏した時の会場の爆発は、まさに鳥肌モノだった。WHITE STAGEのトリに相応しい、ミラクルなステージを披露してくれた。
(KK)