日の落ちかけた苗場には、うってつけの連中がステージに現れた。その恐ろしくダークなサウンドはまさに夜の闇が苗場を包んでいくように、ほぼ満員のRED MARQUEEをすっぽりとダークなトーンに沈めていく。おそらく、そこにいた全員の予想を遥かに上回るダークさだったのではなかろうか。
先日の来日の際のdommuneやLIQUID LOFTでのDJプレイでも明らかだったが、ダブステップをはじめとする先鋭的なクラブ・ミュージックのエレメントをいち早く嗅ぎ取るJamie Smithの嗅覚とセンスは相当なもので、それはもちろんThe XXのサウンドに大きく反映されている。Oliver SimとRomy Madley Croftの後ろで、ときにパッドを叩きながらビートをコントロールする姿と、その尋常でなくダークなプロダクションに才気が宿っていた。
パーカッシヴなイントロから「VCR」への導入にはじまり、そのライヴはアルバム以上に徹底的に陰鬱な美しさに満ちていた。しかしその憂鬱こそが強力な中毒性を持っているのだということを、この場にいる誰もが理解したことだろう。
(KK)