2011.1.11 (tue) @ ZEPP TOKYO
ACTs : KLAXONS / POLYSICS / the telephones
洋邦の垣根を越えて、新たな音楽のアティチュードに触れてほしい、というイヴェントは多いが、なかなかその意図がハッピーなマリアージュに結びつくことが少ない中、今回のKLAXONS、POLYSICS、the telephonesが一堂に会した"EX-PRESS ver.4 / II.I.II"は驚くべき融合を見せた。その要因は、KLAXONSの単独ライヴの好況が速攻レポやTwitterで流布したせいかもしれないし、the telephonesが常に自身の音楽を入り口にして好きなバンドを見つけてほしい、極端に言えば「俺ら、捨て石でOKですから!」ぐらいのロックの未来を決してネガティヴなものにしたくないという意思を持ったバンドの少なからずな影響のせいかもしれない。でも、一番大事なのはやはり3バンドが放っている、エレクトロニックをあくまでエモーションとフィジカルに訴求する道具として、ロックを鳴らしている音楽性が共通していたからではないか。



冒頭からイヴェントの成功を勝手に検証してしまったが、具体的にそれぞれのアクトを追ってみよう。トップバッターで登場したthe telephonesはお初のお客さんにも入り込みやすいアップ~ミディアム織り交ぜた鉄板のメニューで勝負。当初、フロアは満杯にはなっていなかったものの、その場にいる90%のオーディエンスが1曲目の「A.B.C.DISCO」から、激踊り! チープなディスコ・チューンにも聴こえかねないが、逆にポジティヴなナンバーでこのイヴェントをスタートした彼らに気概を感じる。


全8曲とコンパクトながら、中盤にはドラマティックな「My Final Fantasy」も挟み、ラストは近作『We Love Telephones!!!』の1曲目でもある「I Hate DISCOOOOOOO!!!」で締め。30分強のセットでもバンドの全方位を放出しつくした。実はお立ち台には滑車が付いていて、スケボーのごとくそれに乗っかりステージを去ったノブに、あの意味不明なアクション以上のアグレッシヴさを見て、大笑いしてしまった。やっぱりまだまだ予断を許さないバンド……のような気が(いろんな意味で)。


そして真ん中に挟まれたのは、3人体制もすっかり板に付いてきたPOLYSICS。登場と同時に3月リリースのニュ―・アルバム『Oh! No! Heavy Polysics!!』から「Heavy POLYSICS」を披露し、ハヤシのゴリッゴリのギター、ぶっといバンド・アンサンブルをぶちカマす。現体制での第1弾ミニ・アルバム『eee-P!!!』収録のフミのヴォーカルをフィーチャーした「How are you?」も、ポップでありつつガレージ・バンドがエレクトリックな武器を装着したような図太さで、凡百のエレクトロ・ダンス・ミュージックとはまったく違うベクトルを示唆。6曲目にもニュー・アルバムから新曲「Let'sダバダバ」。従来のポリ・ファンも入りやすい、ねじれた文系×テクノ・ポップ・フレイヴァーのナンバーだったのが、いい意味で意外だった。


終盤はおなじみ「Kaja Kaja Goo」や「BUGGIE TECHINICA」がハードコアな意匠に変身して、ただでさえ盛り上がるこのナンバーでのダイバーを増やしていた。「トイス! って、初めての人はなんかわかんないと思うんですけど、"今、一番イケてる挨拶"だと思ってもらえれば。KLAXONSにもそう伝えておきました!」と、半ば失笑を誘うハヤシのMCだったが、彼らにとって2011年1発目のライヴを心底楽しんでいた、悔しいぐらいに。


十分あったまった状況の中、トリを飾ったKLAXONS。転換時からガッツリ、ホワイトとグリーンのバック・ライト計12基をステージに搭載。サウンド・チェックで聴こえるフレーズがすでに不穏! ワンマン・ライヴと同じ質・熱量で挑もうとしてる様子に軽く鳥肌が……。シェイクスピア劇でもはじまりそうな大仰なSEとともにメンバーが登場し、その高揚感にサイレン音が被さり、「Atlantis To Interzone」でスタート。存外、タフなバンド・アンサンブルと、フェミニンなファルセット・ヴォイスを聴かせるわりにカジュアルなたたずまいのJamie Reynolds(Vocal & Bass)に意表を突かれるが、なんといっても独特なのがサイモンのギターだ。


鳴り物入りのデビュー、すでに過去のタームになった"ニューレイヴ"、そしてまかりまちがえばハイプ呼ばわりされかねない彼らの立ち位置を、色眼鏡で見ることを許さない世界観と構築力、タフでソリッドになったサウンドという具体で証明したのが、新作であるセカンド・アルバム『SURFING THE VOID』なのは間違いない。しかし、それを踏まえた上で、なおかつKLAXONSが他のバンドとともにブームに埋没しなかったのは、まるでその場に異なる空気を作るようなSimon Taylor-Davisのギターだ。こんなギタリスト、Kevin Shields(My Bloody Valentine)かVini Reilly(The Durutti Column)か坂本慎太郎(ゆらゆら帝国)ぐらいしか見たことない。


メニューは2ndと1stから半々と、バランスよく選曲されているのだが、1st時にワンマンを観ていないせいもあるのか、その差異は曲それぞれの個性に過ぎないように感じた。ジェイミーのファルセットとJames Righton(Keyboards)の地声によるユニゾンの美しさ。メロディはメランコリックで幻惑的だが、バンドは正面きって演奏を叩き出す。その真っすぐな意志が、幻惑的な音楽性をさらに強靭にするという、他のバンドにはない一種のレトリックになって聴き手を引きずり込む。KLAXSONSの最大の魅力といえそうな、音楽のフェティシズムがすべて満載された感のある「Gravity’s Rainbow」や「Twin Flames」、本編ラストに演奏された2ndからの重要曲「Echoes」。重層的なアンサンブルが最高潮に達し、一瞬、ブレイクし、再びエンディングに向かう劇的な構成も、まるでベタに聴こえない。やはりUKの夜の蒼は濃いのだ……と妙に納得する。熱狂的なアンコールに応え、2ndの人気曲「Cypherspeed」、ソウルフルなものすら感じさせる、1stからの「It's Not Over Yet」でイヴェントとは思えない濃厚な3時間半が終了。ポリもthe telephonesも濃厚なアクトを展開してれたが、KLAXONSのZEPPのステージの広さ以上の広さを感じさせる、サウンドスケープは格別だった。それぞれのバンド、ファンにとって大きな収穫のある夜だったに違いない。
Text : Yuka Ishizumi
All photo (C) Creativeman Productions all rights reserved.
-Set List-
the telephones
01. A.B.C.DISCO
02. urban disco
03. I Wanna Die
04. SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!
05. My Final Fantasy
06. HABANERO
07. Monkey Discooooooo
08. I Hate DISCOOOOOOO!!!
POLYSICS
01. Heavy POLYSICK
02. How are you?
03. Young OH! OH!
04. Mach肝心
05. Boil
06. Let'sダバダバ
07. 人生の灰
08. Digital Coffee
09. Kaja Kaja Goo
10. Coelakanth is Android
11. Shout Aloud!
12. BUGGIE TECHINICA
KLAXONS
01. Atlantis To Interzone
02. Flashover
03. The Same Space
04. As Above, So Below
05. Gravity's Rainbow
06. Golden Skans
07. Twin Flames
08. Calm Trees
09. Two Receivers
10. Magick
11. Echoes
-Encore-
12. Cypherspeed
13. It's Not Over Yet
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