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the band apartが新作『街の14景』リリースとともに、5月18日より全国ツアーを敢行する。初の全編日本語詞となるアルバムは、メンバー全員がそれぞれ楽曲のアイディアを持ち込むという制作方法により、さらにヴァラエティに富んだ曲調とグルーヴを獲得しながら、アルバムを通して驚くほどスムースな聴き心地を与えてくれる。このような音響と世界観となった経緯とそこに浮かび上がる見慣れた街の風景について、ヴォーカル/ギターの荒井とドラムの木暮に訊いた。

Interview & Text : Kenji Komai
街の14景 / the band apart
asg-025 2,800yen (tax in)
2013.4.24 on sale
  1. いつか
  2. ノード
  3. 仇になっても
  4. 夜の向こうへ
  5. 12月の
  6. AKIRAM
  7. 明日を知らない
  8. 師走
  9. 泳ぐ針
  10. black
  11. ARENNYAで待っている
  12. アウトサイダー
  13. 8月
  14. outro
「ノード」 Music Video
<the band apart 『街の14景』 Interview>
──今回のアルバムの構想はいつぐらいからあったのですか?
荒井:
とにかく今年の春にアルバムを出そうということは漠然とあって、そこに向けて活動していました。去年の10月ぐらいからかかろうとしていて、スタジオに集まって曲作りをしようとしていたんですけれど、そこではできなくて。実際には年末から年明けにかけて作ろうというモードになりました。
木暮:
テーマは、日本語にしよう、ということくらいだね。
荒井:
いつもコンセプトがない、というのがコンセプトのような感じなので。
──日本語詞が導入された昨年のシングル「2012 e.p.」でのリアクションも影響しているのでしょうか?
荒井:
あくまでこちらがやりたくて楽しくてやっているので、実際反響というのはあまり分からないんですけどね。
木暮:
周りの友達とか近しい人間に言わせると、日本語詞については賛成4、否定6くらいの割合で、そんなに評判は良くなかったんですよ。
──えっ!? そうなんですか。
木暮:
あとは、客観的に荒井の歌声や歌い方を聞いたときに、日本語のほうがいいなと素直に思えるようになった。徐々に積み重なってきたことではあったんですけれど、いま日本語にしよう、という強い感覚の変化がありました。これからどうなるかは分からないですけれど、自分のなかでは迷いはなかったです。
荒井:
「2012 e.p.」のときは、作るということでは大変だったところもあるんですけれど、今回はそれを経ているので、違和感や躊躇はなかったです。まず、僕がソロの弾き語りのライヴのときに日本語の曲をちょくちょくやっていたというのと、震災の後にHINATABOCCOに誘ってもらって、そこで日本語で歌うことに自然に入っていけました。さらにバンドとして言うと、原が病気で入院して、木暮とふたりでアコースティック編成でライヴをしたときに、日本語のセルフ・カヴァーを作ろうということになって。英語でやろうとしたら、どうしても乗らなかったんです。そのときに作っていたメロディがもう日本語っぽかったのかなと。それで、日本語の歌詞で一から作っていったら、いい感触で。そういう小さなきっかけが点在してありました。
──最初から日本語でいこうという意識は、実際の曲作りにも反映されているでしょうか?
荒井:
4人とも楽曲を作るので、作者によりけりですけれど、僕は作り方は一緒でしたね。
──全14曲、それぞれアイディアを持ち寄っていく段階で、日本語ということ以外にこんな世界観になりそうだ、という予感はありましたか?
荒井:
あまりにも曲ができなすぎて、ぜんぜん仕上がりの全体像が想像できないので、イメージできなかったです。結果は違いましたけれど、前作、前々作のような感じもあるのかな、と思いつつ、でもできてみたら、今の感じはこうなんだって、分かりました。
──とても穏やかで、平熱な空気感を感じたんです。
木暮:
自分の曲に関して言えば、自分が今聴きたい曲になってしまうから、どうしてもメロディの抑揚が過剰でないものになっていて。「そういう感じなんだよね」とさらっと言うと、荒井もそれを汲んでくれて、コブシが入った歌いまわしではなくて、すっとまっすぐ歌ってくれた。でも他の3人が作った曲を聴くと、必ずしもそうではなくて、メロディがたっている曲もある。だから、アルバム全体でそういうことを打ち消し合って平熱っぽくなっているのかな。
荒井:
楽器の音も、ずっと一緒にやっているエンジニアの趣味も出ていて、それも音の印象としてあるのかな。ミックスやアレンジについても、みんなそれなりに聴かせる要素があるんだろうなというのは話していて思いました。
── 荒井さんは、ヴォーカリストとして日本語詞に向かい合ってみて、どうでしたか?
荒井:
木暮はニュアンスを大事にするし、でも他のふたりは別のところを気にする。作者によって歌の指示が違うのですが、すっと入っていきやすかったです。英語詞のときと比べると、説明されなくても分かる。
──木暮さんの「12月の」は、とても淡々としたグルーヴなんだけれど、徐々に高揚感が満ちてくる曲ですね。
木暮:
「12月の」はいちばん自分の趣味が反映されている曲です。各楽器がパーツのようにあって、その配置で遊んでいるような作り方をしていて。このくらいのBPMは歌ものっていう感じなんですけれど、そこでソウルフルに歌い上げるのはいやだったんです。ちょっとよそよそしいくらいの感じが出ればいいなと。うちらの曲の作り方は特殊すぎで、録音するものが前日に決まったりするので、歌は予習していても他の楽器は自分が何をやっているのかよく分からないような状態で録っていたりするから。そういう演奏の温度が、アルバムのちょっとクールな感じに影響しているのかもなって。どこにダイナミクスをぶつけるのか、あまり分かっていないときもある。それも逆にいいなと思いますけどね。
──歌もひとつの楽器として配置されているような……。
荒井:
「12月の」や「ノード」はその典型ですね。すっと音がある、ふわっとそこにいる、というような。どの曲もそうかもしれないですけれど、自分が大げさにエモーショナルに歌いすぎると、ちょっと気持ち悪いなと思ったんですよね(笑)。原の書いた「ARENNYAで待ってる」なんか、怨念に近い気持ちがガッとこもった言葉があるので、思いっきり歌ってしまうのではなく、そこをうまく馴染ませるというか。みんな僕とは違うタイプの歌詞を書いてくるので、それを自分なりに消化して歌う作業でした。基本的に、歌を歌う人って必要以上に伸ばしたり、「行きたがる」人種だと思うんですけれど、僕は「そんなに伸ばさなくてもいいんだよ」と思われないくらいがちょうどいい。それから、その言葉が元々持っている意味はもちろんですけれど、音的なニュアンスも気をつけました。いちばんすんなり聴こえるように、というか。
──言葉のメッセージ性よりも、楽曲全体の説得力を信じたい?
荒井:
うちのバンドは、メッセージがない、というわけではないんですよ。でも、メッセージ性の強い言葉が前面にあるという音楽ではないじゃないですか。
──それでも今回は、アルバム・タイトルもそうですけれど、見慣れている街の風景や日常がありありと浮かんでくる曲が多くて、なぜこうした身の回りの事象をあらためて捉えようと思ったのですか?
木暮:
作詞作曲者が4人いて、好みもバラバラだから、バラバラな曲ができあがるだろうなと思っていたんだけれど、やっている奴は同じだから統一感はなくならない。では、このアルバムは何だろうと考えたときに、聴いてくれた人が思い浮かべるどこかの街の14個の主観の視点や俯瞰しているところ、という捉え方だったらまとまるかなと、このタイトルにしました。
──気のおけない友達との関係や、半径数十メートルの状況が描かれていますが、皆さんにとっていまの東京が住みやすさとか住みにくさを実感することはありますか?
木暮:
昔みたいに気軽に、ただがむしゃらに頑張っていれば明るい未来が来るとは信じられない、ということは話していました。絶望しているわけではないけれど、ちょっと諦めつつもでも楽しくやろうよ、というのは大いにあるし。難しいんですけれど、僕ら東京で育ってきて、便利だけれど、引っ越したいなって感じですね(笑)。継続してきて、このかたちがいろいろやりやすいし、でもそういうのをまるごと田舎でもできるんだったら、遠くに行きたいです。
荒井:
ほんとこの数年で考え方が変わりましたよね。東京って確かに中心だけれど、ただ震災のようなことがあると、一瞬で無くなるかもしれないんだな、と思う。ただ、ここに住んでるから、歌詞を書けば自分の見えているものが反映されるけれど、どこにいても街はあるわけで。僕個人としてはそういう部分がすごくこのアルバムに出たのかなと。儚いというか、すぐ無くなってしまうものだから、悔いなく生きよう、みたいな。でもそれを直接言ったりはしないです。切ない、でもがんばろうみたいなふたつの間を移ろうような。みんなそうだと思うんですけどね。
木暮:
生まれ育っているわりにはそんなに地元愛はない。いいところもあるし愛着のある風景もいっぱいあるけど、そこにぜんぜん執着はない。こうやってバンドをやって日本全国まわることを10年以上経験しているから、どこか風来坊的なところがあるのかもしれないですね。
──今まで積み上げてきたものなんてなんて脆いんだろう、と感じながらも、そこに絶望しているのではなく、前に進んでいく、そんな感情を呼び起こされる作品だと思いました。
荒井:
結局そうやっていくしかないよねって。不安に思うこともあるけれど、それだけじゃやっていけないので。東京限定の話をしているわけではないので、聴いた人それぞれの街を思い浮かべてくれたらすごく嬉しいです。
──日本語詞にばかりフォーカスが当たりがちですが、「師走」は初のインストゥルメンタルでかなりプログレッシヴですね。
木暮:
師走の追い込まれる感じが(笑)。
荒井:
これは原がずっと温めていた曲で、部分的には最近できたフレーズもあるんですけれど、4、5年くらい前からあったリフを曲として作っているうちに、インストとしてまとまりました。なんで今までインストがなかったのか、自分たちでもちょっと分からないんですけれど、これはぜったい偶発的にできた「奇跡のインスト」ですね(笑)。
──でもみなさんが持ち寄っていく楽曲のアイディアがより多様になってきた成果、とも言えるんですよね。
荒井:
自分の趣味がダイレクトに出ても、バンドで演奏すればthe band apartの音になる、という自負もあって。これだけ作風がバラけても、統一感がどこかに出せるのは、どのバンドもそうだと思うんですけれど、うちらもしかりというか。だから、なにやってもいける、ということはいま感じています。
──先日のNew Audiogram ver.6.3でも新曲をプレイしてくれましたが、ツアー前に新曲のライヴでの手応えはどうですか?
荒井:
楽しいですよ、ARABAKIでもいい反応をもらって良かった。今までの楽曲のなかに新曲が入るだけで、だいぶ全体の雰囲気も変わるし。これがツアーでもっと自分たちのものになっていけば、もっと楽しくなっていけばいいですね。
木暮:
「夜の向こうへ」や「8月」は最初からまとまっていて、演奏していて身になっているのが分かるんですけれど、「ノード」は全員テンパるというか(笑)。CDではスッと聴けるミックスにしているんですけれど、ギターが早かったり、4人の手数が多くて、お互いの音を今まで以上に聴かないと音源以下になってしまう。もともと音源の再現というところに重きを置いていないけれど、ツアーはCDとはまた別の側面を見せないと意味がないから、ライヴなりのかっこよく聴かせる演奏の仕方を今まで以上に考えたいなと思っています。もっと練習しないとダメですね、練習嫌いなんで(笑)。
荒井:
新旧織り交ぜた曲順にして、ツアーに行けばアルバムを聴いてもらって初めてthe band apartを観に来てくれるのも嬉しいんですけれど、昔を知っていて「あの曲が聴きたかったな」という人のためにもできればいいなと思いますし、いつも来てくれる人にも楽しんでもらえるツアーにしたいです。
the band apart : 『街の14景』 release live SMOOTH LIKE BUTTER TOUR
DATE : 2013.5.18 (sat)
VENUE : Matsuyama SALONKITTY, Ehime
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : DUKE 087-822-2520

DATE : 2013.5.19 (sun)
VENUE : kochi X-pt., Kochi
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : DUKE 087-822-2520

DATE : 2013.5.21 (tue)
VENUE : Oita LIVEHOUSE DRUM Be-0, Oita
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : BEA 092-712-4221

DATE : 2013.5.23 (thu)
VENUE : Kagoshima CAPARVO HALL, Kagoshima
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : BEA 092-712-4221

DATE : 2013.5.25 (sat)
VENUE : Matsue AZTiC CANOVA, Shimane
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : YUMEBANCHI 082-249-3571

DATE : 2013.5.26 (sun)
VENUE : Okayama IMAGE, Okayama
OPEN : 16:30 / START : 17:00
INFO : YUMEBANCHI 082-249-3571

DATE : 2013.5.31 (fri)
VENUE : Niigata GOLDEN PIGS RED STAGE, Niigata
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : KYODO HOKURIKU 025-245-5100

DATE : 2013.6.2 (sun)
VENUE : Nagano LIVE HOUSE J, Nagano
OPEN : 17:00 / START : 17:30
INFO : KYODO HOKURIKU 025-245-5100

DATE : 2013.6.4 (tue)
VENUE : Kanazawa VANVAN V4, Kanazawa
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : KYODO HOKURIKU 025-245-5100

DATE : 2013.6.5 (wed)
VENUE : Kobe TAIYO TO TORA, Hyogo
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : GREENS 06-6882-1224
DATE : 2013.6.7 (fri)
VENUE : Kyoto MUSE, Kyoto
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : GREENS 06-6882-1224

DATE : 2013.6.8 (sat)
VENUE : Nara NEVER LAND, Nara
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : GREENS 06-6882-1224

DATE : 2013.6.14 (fri)
VENUE : Mito LIGHT HOUSE, Ibaraki
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : DISK GARGE 050-5533-0888

DATE : 2013.6.16 (san)
VENUE : Yokoyama F.A.D YOKOHAMA, Kanagawa
OPEN : 17:30 / START : 18:00
INFO : DISK GARGE 050-5533-0888

DATE : 2013.6.18 (tue)
VENUE : Takasaki CLUB FLEEZ, Gunma
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : DISK GARGE 050-5533-0888

DATE : 2013.6.21 (fri)
VENUE : Shibuya O-EAST, Tokyo
OPEN : 18:00 / START : 19:00
INFO : O-EAST 03-5458-4681

DATE : 2013.6.24 (mon)
VENUE : Yamagata MUSIC SHOWA SESSION, Yamagata
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : GIP 022-222-9999

DATE : 2013.6.25 (tue)
VENUE : Ishinomaki BLUE RESISTANCE, Miyagi
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : GIP 022-222-9999

DATE : 2013.6.27 (thu)
VENUE : Miyako COUNTER ACTION MIYAKO, Iwate
OPEN : 18:30 / START : 19:00
INFO : GIP 022-222-9999

DATE : 2013.6.29 (sat)
VENUE : Ofunato LIVEHOUSE FREAKS, Iwate
OPEN : 17:30 / START : 19:00
INFO : GIP 022-222-9999
the band apart Official Website
http://www.asiangothic.org/the_band_apart/