<Nothing's Carved In Stone 『A Silver Film』 Interview>
ーーまず結成4年目となった今年一年の活動を振り返ってどうですか?
生形:
やっていることは毎年変わらずで、アルバム作ってツアーまわったんですけど、客観的に見て一番の変化はレコード会社が変わったことだと思うんですね。今回のアルバムからエピック・レコードになったので、まわりの環境は変わりましたね。バンドに関わる人も増えたし、ラジオとかもやるようになったし、アニメの主題歌にもなったし。俺たちメンバーがやっていることは変わらないんだけど、それに付随してくるもの、いろいろなものが付いてくるようになった。それが始まったという一年でしたね。
村松:
僕も同じような感じですが、すごい充実した一年でしたね。いろいろ付いてくるようになったかわりに考えることも必然的に増えて、もちろんそこに責任も生まれるし……。自分で発信していくことが増えたので、いろいろ考えることができるキッカケになったと思います。
ーータイアップというかアニメの主題歌になったりするのはいままでにない動きでしたが。
生形:
もともとそんなに抵抗はなかったですね。俺たちの曲を(主題歌に)使ってくれるというのなら使ってもらいたいし……多少は選んだりはするけども。「キングダム」も原作が面白いと思ったし、いい話だったので前向きに出来ました。
ーーそのほかこの一年間でターニングポイントとなった出来事などありましたか?
村松:
"Hand In Hand"という自主企画を始めて……正確にいうと去年からなんですが、定期的に自分たちの意思表示が出来る場所、継続していくひとつのツールが出来たことはバンドにとっていい動きだと思います。ただ作品を作ってツアーをやってという一年だけだと活動自体に広がりを持たせることが出来ていない気がしていたので、そういうことが出来たのはよかったと思います。
生形:
オレはやっぱりツアーかな。今回のツアー(この夏に行なわれた"Silver Sun Tour")から(バンドの)スタンスがすごく変わった気がしていて……前からライヴ観てくれている人はよくわかってくれてる思うんだけど。今までのガムシャラにやってきていたのとは違って、バンドとしてもうひとつ上にいけた気がします、今回のツアーは特に。短い期間に詰め込んでやったのがよかったのかもしれないですね、現実に戻らない感じで。
ーーそのツアーの東京公演の模様は今回のDVDに収められていますが、それ以外でツアーの思い出や裏話はなにかありますか?
生形:
今回は日程的に詰め込んだから……10日ツアー行って、3日東京帰ってきて、また1週間行ってみたいな感じで。だから本当にあっという間でした。ひたすらライヴやって移動、ライヴやって移動という感じだったのでライヴに集中も出来たし。もちろん各地でおいしいもの食べたりしましたけどね。
ーー今回、初めて行った地域はどうでした?
生形:
初めて行ったのは秋田と和歌山。正直に言うと、集客も初めて行った割には悪くなかったけどチケット売り切れてなくて……でも、そういうのも初心にかえれていいかなと思っています。他の場所は年々動員が増えているのはすごく嬉しくて。やっぱりメジャーにいくとかそういうことよりも、一番大事なのは常にライヴをして全国をまわっていることなのかなと思いました。
村松:
ツアーはメンバーみんなと一緒にずっといたので楽しかったですよ。毎回そうですけど、各地に一緒に行って、一緒に散歩して、一緒に会場入って……でも、今回ライヴが劇的に良くなった気がするんですよね、ツアーを通して。短い期間にライヴ詰め込んで、メンバーやお客さんと対話をしながら、すごく濃密な時間を過ごせました。
生形:
ツアーやってるとライヴがどんどんよくなっていくのが自分たちでもわかって。それこそ最後の3〜4本は本当によくて……自分たちでいうのもなんだけど。で、ツアー終わってから翌週にイヴェントに出たんですが、オレらのお客さんなんてほとんどいない状態で。でも勝ち負けじゃないけど負ける気がしなくて。
ーーバンドのいい状態を感じるのは感覚的な部分?
生形:
感覚ですね。アンサンブルもそうだけど、やっぱり気持ちがデカいのかな。手も思うように動くし、身体も動くし、コミュニケーションもメンバーはもちろんお客さんとの取り方も出来ているし。だからライヴは常にやっていたいなと思います。
ーーそして、そのツアーの成果となるセミ・ファイナルの東京公演がライヴDVDになりますが、どんな内容になっていますか?
生形:
(東京公演で演奏した)全曲を入れていて、それプラス大阪のも1曲入れているから、曲数的にはかなりあります。22曲かな。いままでライヴDVD2本出してるけど、ライヴ全曲を入れたのは初めてですね。メンバー個々にはこの曲ちょっとミスっちゃったからとかあるかもしれないけど、ここらで全部見せてみたいってはありましたね。
ーーこの作品の見所は?
村松:
技術的な話なんですけど……バンドの技術的な話ではなくて、カメラとかの(笑)。今回、カメラが多いんですよ。だから撮るアングルも多くて、より臨場感も増していますね。おにぃ(ドラム:大喜多)のクローズアップの場面も結構あるので、バンドやっているコとかは嬉しいシーンが多いと思うんですよ。そういうのを見て喜んでもらえるといいですね。
生形:
毎回そうだけど、今回も俺たちが編集にすごく関わってて時間をかけて作っています。俺たちが見てほしいところと、客観的に見てここがカッコいいじゃないかというところで、何回も何回も作り直ししました。それはアルバムを作るのと同じだと思っていて、自分たちの作品だから自分たちが関わらないととは常に思っていて、ただのライヴDVDというよりは新しい作品を作ったという感覚なんで、そういうつもりでも細かいところまで見てもらえると面白いと思います。
ーーライヴ映像以外にレコーディング風景やリハーサル風景などオフショットも入っていますが。
生形:
それもやっぱりひとつの作品にしたいという気持ちが強くて……ただライヴを入れたものだけにはしたくないし。レコーディングとかリハーサルとか裏の作業は普段外部にみせることはないので、そういうのもみてもらいたいたくて、ちょっとずつだけど入れてみました。最後のエンドロールのMC(ダイジェストMC集)にしてもそうですが、俺が観る側だったらそういうの見てみたいと思うので。
ーーなるほど。そんなこだわりのこのDVD、みんなにどんな風にして観てもらいたいですか? 音はこだわったのでTVのスピーカーでなく、外部接続でいいスピーカーで聴いてほしいとか(笑)。
生形:
んー。いい環境で観てもらうに超したことはないけど(笑)。
村松:
そこまでしなくとも、たとえば部屋の明かりを消すとか……それだけでも違うと思うので。自分で映像チェックしてる時に明かりを消して観てたんですが、むかし観てた自分が好きなバンドのライヴ・ヴィデオみたいに興奮するんですよ。その場にいるような気持ちになれたり、ひとつひとつの瞬間に鳥肌が立ったり。そういうのを自然に感じてもらえたらいいなと思います。音がいいのが好きな人はスピーカーを良くしてもらえばいいし、臨場感が欲しい人は明かり消してもらえばいいし……。
生形:
きれいな映像で観たい人はブルーレイでね!(笑)
一同:
(笑)
生形:
まぁ、観てくれればどっちでもいいんですけどね、正直なところ(笑)。それでライヴに来てくれるのが一番嬉しいですね。
ーー最後に来年のナッシングスはどうなりそうですか?
生形:
新曲が「サイコパス」というアニメのオープニングテーマに決まっていて、その曲はもうレコーディングも終わってて、それがシングルで3月に出ます。そのあとはアルバム作ってツアーもまわる予定です。さっき話してた自主企画の"Hand In Hand"も出来るだけ多く、いろいろな都市でやりたいし、どんどん広めていきたいなと思っています。年明け早々、1月にはAXで[Champagne]ともやるしね。そういうのもありつつ、なによりもアルバム作ってツアーまわるのは1年に1回は絶対やるつもりなので、よろしくお願いします。
ーー来年はこうしたいとか、ああしたいとか野望みたいなのはありますか?
生形:
アニメのタイアップとかつくようになって、YouTubeとかの動画の再生回数とか増えているみたいで。いままで俺らのことを知らなかったであろう人たちに届いてると思うので、それってすごくいいことだなと思っています。主題歌に使うために曲を切られるとか、イントロをカットされるとか、以前だったら絶対に断っているだろうけど、いまは曲を聴いてもらえるならそれもいいなと思って。ここまでやってきて、自分たちがやっていることに揺るぎない自信がついたというか。そういうことも今後も話がくればやっていって、出来るだけ多くの人に聴いてもらいたいです。で、ライヴにも来てもらって、たくさんのところで、たくさんの人がいるところでライヴがやりたいと思っています。こないだみんなでColdplayのDVD観て、先は長いんだけど、やってみたいと思うことはたくさんあるからね。ああいう大きなところでもやってみたいし。
村松:
そういうところでしか出来ないこともあるからね。
生形:
そうだね。いまの俺らは狭いところでは出来るけどでかいところではまだ出来ないから……(笑)。だから、そっちを今はがんばりたいと思います。
村松:
僕は率直な気持ちは真一と一緒で、僕らの音楽を多くの人に聴いてほしいですね。そして活動の幅を広げて、少しずつ出来ることを増やしていければと思っています。いろいろ考えたんですけど、僕らのやっていることは自分たちの気持ちを届けることなので、誰かのために何かをするとか、人とのつながりとか、そういうことが重要で、バンド単位でそういうことと向き合って、自分ともバンドとも他のバンドとも向き合って、僕たちのことを必要と思ってくれるオーディエンスとも、より向き合えるようになっていきたいと思っています。前からそういう気持ちでやっているんですが、より気を引き締めていきたいと思います。
ーーわかりました。来年のナッシングスが楽しみです。今日はありがとうございました。