<Nothing's Carved In Stone "Silver Sun Tour" Interview>
──まず、昨日(9月5日長野)のライヴはどうでしたか?
村松:
盛り上がりましたね。
生形:
ツアー中の今までで一番良かった。
──ツアー順調そうですが、前半戦いくつかやってきてどんな感じですか?
生形:
今年も千葉LOOKからツアーをスタートしたんですけど、いつになく良いスタートが切れていて、演奏はもちろんなんだけど、いいライヴの空気的なものが初日から作れてて……それを作るのは結構大変じゃないですか。だから、それが初日で出来たから、そのままいいテンションでこれてます。
大喜多:
わりと(ツアーの)最初から良くて、グルーヴが太くなってきている気がする。
日向:
いつもの(ツアー初日の)感じだと演奏がちょっとバラバラだったりするけど、それもなかったらしいんだよね、PAさん曰く。それは凄いなと思いましたね。
──それは演奏中も手応えを感じているんですか?
村松:
まだ演奏中はわかんないかなぁ(笑)。
一同:
(笑)
日向:
僕的に今回のツアーはあまり表に放つというよりは内に向かったノリというか、自分の中でもうワンテンポ上な壁を作って、それに向かってやっているという感じですね。
生形:
個人的に今までと違うことをやろうと思っていて……言葉で言うのは難しいんだけど、今までがむしゃらにやっていたのをもう少し深いところでやりたいというか、それがうまく出来ている気はします。
村松:
俺は逆ですね。前回のツアー(echo tour)が閉じていく部分を感じていたんで、今回はオープンマインドで、バンドのフロントマンとしてライヴを牽引したいなと思っていて、だから内側に留まってる自分のこだわりを持ちつつ、オープンになっている感じですね、今回は。
──それはオーディエンスに伝わっていると思います、フロアの盛り上がりをみていると。
日向:
あんだけ盛り上がるのはびっくりしたね。
──ダイヴも凄かった。
日向:
「待ってました」感があったよね。
──ライヴで新曲をガンガンやっていますが、演奏してみて手応えは?
生形:
気持ちいいね。演奏していて気持ちいい。今回は割と(楽曲が)シンプルだからね。
日向:
今作を作った手応えがライヴにすごく反映している気がしていて……フレーズの細かいところのニュアンスとかも(オーディエンスに)ラウドに伝わってる気がする。その感触があるっていうところでの手応えはすごいデカい。
生形:
割と丁寧に弾いたりしているとそっちの方がラウドになったりするんだよね。それが面白い。
日向:
それを許してくれる楽曲の力がある。
生形:
そうそう、シンプルなだけにね。
日向:
だから1本のフル・ライヴになると、そのメンタルと昔のノリが渦になっていって巻き込んでいく感じがすごく面白い。
大喜多:
俺も今回のツアーは思いっきりいっているんだけど、実は手首とかを凄く脱力しているんですよ。それでもいつもよりラウドに伝わるというのが凄く興味深くて、こういうのを目指していたんだなと思う。
日向:
叩いている姿がより肉感的になったよね。
大喜多:
今回はヘッドホンが外れているのもあるかな。嬉しいのが、ひなっちも真一も拓もダイナミックに打ってるとそれに反応してくれて。それがわかるのもすごい面白い。
生形:
バンドの空気が出来てきたんだろうね。誰かがいってるのが見えるというか、ドラムが後ろでやっていてもシンバルがちょっとでかいなとか、だから盛り上がっているんだろうなとか、ライヴの空気の読み方がバンドらしくなってきたんじゃないかなと思いますね。
日向:
拓はどう?
村松 :
質問を忘れちゃいました。すみません(笑)。
一同:
(笑)
──アハハ。で、ツアーで新曲をやってきての手応えを……。
村松:
とりあえず楽しいです。アルバムが出ないとニュー・モードに移行できないじゃないですか。ニュー・モードにいくことで新しい自分たちと昔の自分たちとの差を楽しむことが出来るというか、ツアー中ってそれが醍醐味になっているんで、今はその渦、その最中(さなか)にいる感じが心地良いです。
──それぞれライヴを日々重ねてきて、個人的にプレイや曲に対してのイメージ、気持ちの変化はある?
大喜多:
初日の千葉とかに比べるとやっぱ変化はあると思う。ダイナミクスだったり音源を録った時よりもフレーズとかニュアンスが変わったり、そういうのは反応するようにしているかな。
日向:
プレイが据わってきましたね。一発目から良いとはいえど、多少のメンタルとプレイとの勝負っていうのはロックやっている以上永遠のテーマだと思うので、それらのブレ幅が前よりも少なくなったっていうのは進化かな。
──傍らから見ていて、今回のツアーは明らかに今までのツアーとは違う気がするんだけど……。
生形:
(メンバーで)特に話した訳でもないけど、各々に目標があってそれがバランスとして上手く(バンドに)はまっているのかも。それが一番デカい気がする。
──バンドがすごい良い状態にあるのが、外から見ていてもわかる。
生形:
表面だけ盛り上がっているライヴじゃない方がいいなって気がしていて、心の底から俺らも盛り上がっていなきゃ嫌だし……音もそうで、俺らの音でありたいし、俺のギターだったらコード一発で打ちのめしたいというかそういう気持ちがあって、4人が一つの音になった時に圧倒したいというか、そういう気持ちは今回特にあるかもしれない。それだけ自信のある曲が出来たし、あれだけ音数の少ないアルバムで、あまりギミックもない曲で、その自信はあるかもしれないですね。
日向:
ウブも言っていたけど今回の勝負感は強い。「やっぱここらで決めないと」っていう決断力というか、覚悟はすごく感じる。
生形:
毎回アルバムに自信あるんだけど……正直に言うともっと動員が欲しいなと思うし、もっと売れたい、売れても良いんじゃないかとも思うし、そこであとは何をするかっていうと俺らがやれることってライヴをやることぐらいで、CD作ってライヴをやることが一番のプロモーションっていう言い方は悪いかもしれないけど、そういう気持ちは特にあるかもしれないですね。
日向:
昨日、一人で反省していてもっと頑張らなきゃなって。
生形:
頑張ってるでしょ(笑)。
──今回の新譜はもちろん、ライヴでもヴォーカルがいままでよりさらに前に出てきているように感じたんですが。
村松:
嬉しいですね。俺らのバンドって特殊な成り立ちじゃないですか。ELLEGARDENのギターがいて、ストレイテナーのベースがいて、元THE ZOOBOMBSでFULLARMORのドラムがいて、俺なんか無名じゃないですか。バンドのパワーバランスでいえば俺が弱じゃないですか。バンドにとってなにが必要かといえばヴォーカルが目立つことだと思うんですよ。目立つことっていうのは語弊があるんですけど、引っ張るというか、それが今まで出来なくて、自然とそういう風に見てもらえるようになってきたっていうのは自分自身少しずつ成長してきているのかなと実感にはなりますね。それに今回のツアーで俺はふた皮もみ皮も剥けたくて、ナッシングス自体が俺のバンドだって見られ方がしたいんですよ。それでこそバンドの他のメンバーが輝くと思うし、今までナッシングスを支えてきてもらった部分も俺がフロントマンとしてペイできるところで返していきたいというか。そういう思いが今回強いんでそう言ってもらえるのは嬉しいです。
──他のメンバーから見た拓の変化っていうのはどうですか?
生形:
今回のツアーが一番思うね。だからこそ俺らは弾けるというか、演奏で深いところにもいこうかなという気持ちにもなれたし。
──「歌が前に出たから俺らはそこで(楽曲に)表情をつけようと内に……」という。
生形:
まぁ、最後は全員ガッと出ちゃうけどね。
日向:
俺が、俺が、って(笑)。
一同:
(笑)
生形:
楽しんでるよね(笑)。
大喜多:
ライヴの流れは割と拓に任せてる。だから拓は自分の中で引っ張り通してやっているんだろうなとは思う。
村松:
ありがたいですね。
──今回のツアー、毎回セットリストを少しずつ変えているとのことですが、曲順はどうやって決めていますか?
生形:
毎回感覚。ここでこれ入れようかとか皆で話して、誰かがこの曲やりたいって言ったらそれを入れるし、それでやってみてハマらなかったらやめとこうかってなるし、その辺は揉めたりはしないよね。
日向:
俺は特にこだわりはないかな。ただ流れにはこだわりがあって、やっているうちに大きなグルーヴはわかってくるじゃないですか。その中で違和感を感じたら言うけど、曲をなにやるっていうのは何でも良いっていう感じ。
生形:
俺も曲の繋ぎにはすごいこだわりはあるけどね。
日向:
それってけっこう肝だよね。
生形:
それでライヴの展開が決まってくるわけだし。
日向:
それが色気だと思う。
大喜多:
切り替わりのところで、まだ前の曲が終わってないのに自分的には次の曲のきっかけを走らせてる時もあるので曲間が途切れない。
生形:
そういうのがあるとすごい良くなるよね。
──過去にアルバム3枚出しているけど、昔の曲はどうやってセレクトしてる?これだけいっぱいあると大変だと思うんだけど。
生形:
今回は“Silver Sun Tour”だから『Silver Sun』の曲をやるのが前提で、その間にハマる曲っていうのは限られていているし、でもツアーやってきて昔の曲でも思いの外盛り上がる曲があったりしたらそういうのは残して、ちょっと流れが良くなかったりいまいちだったものは外してたりとか、その繰り返しが今の感じになってるかな。
──『Silver Sun』が出た今、昔の曲をやると気持ち的にはどんな感じ?
生形:
過去の曲はお客さんがノリ方をわかっているから盛り上がるけど……。
日向:
委ねられるよね。曲が一人で歩いていく感じ。
──アレンジを変えたりっていうのは?
日向:
俺は細かい所はすごい変えてる。
──それは毎回そうか(笑)。
一同:
(笑)
生形:
俺らの特徴として、毎回ツアーで大胆にアレンジを変える曲があるけど、それは必ず新曲なんですよね。今回のアルバムの中からもまたやりたいねって話はしているところです。「この曲、初めて聴く曲なのにそんなにアレンジしちゃっているのか」ってのも面白いかなとは思いますね。
日向:
めっちゃリアレンジしてみる?(笑)
一同:
(笑)
──最後に、このあとツアー後半戦からセミファイナルの東京、ファイナルの大阪にかけて、どんな感じになりそうですか?
生形:
何度も言ってるけど、ライヴで精神的にもっと深い所にいきたくて、それが今の目標で、それを音で表現したい。東名阪っていったらツアーも最後の方なので、もちろん俺らは全ヶ所本気でやっているんだけど、どんどんヴァージョンアップはしていっているつもりだから、そこでどこまで魅せられるかなっていう。いけるとこまでいこうとは思ってますね。
日向:
とりあえず観に来てください。
生形:
観に来てくれないとね、なにも始まらないからね。
日向:
いっぱい来て欲しい。
村松:
僕は、みんなが演奏に入り込んでバンド全体が悦に入っていくような部分をもっと増えると思うんですよ。そういうのがただの内側のものにならないように、僕は前に立ってみんなに伝わるように入り口でありたいんで、そういうところをツアーで追求してもっとバンドを魅せれるようになれたらと思ってます。だからツアーファイナル観に来てくださいって本当に思います。
日向:
まぁそうなるよね。バンド的にはでかキャパがデフォルトにはきてると思うんだよね。だからそこにいきたいんですよ。そこにいっているんだが、そこでのせめぎ合いが(笑)。
生形:
言いたいことわかるよ(笑)。
──バンドの方は準備万端だから観に来てくれと(笑)。
日向:
そっちの方が魅せやすいしね。
──サウンドの方向性としてもそうだよね。
日向:
そうなんだよ。そのもどかしさが衝動になって良いんだろうけど。
──ツアーファイナル来てくださいということで、引き続きツアー頑張ってください。ありがとうございました。
一同:
ありがとうございました。